立憲民主党は9月5日、第8回目となる双方向のライブ番組「立憲ライブ」を配信。「次の内閣」文部科学大臣・子ども政策担当大臣の菊田真紀子衆院議員をゲストに迎え、「チルドレン・ファースト」をテーマに立憲民主党の子ども・子育て政策について話しました。司会進行は、広報本部長の逢坂誠二代表代行が務めました。

 菊田議員は立憲民主党が掲げる「チルドレン・ファースト」について、「子どものことを第一に、どのような家庭の環境にあっても全ての子どもたちの学びと育ちを社会全体で応援するという考え方」だと述べ、国内総生産(GDP)に占める割合がOECD諸国のなかで最低クラスにある教育予算の引き上げていくべきだと主張。今年になっていきなり「異次元の少子化対策」を打ち出した岸田政権との理念や、政策のポイントの違いを指摘しました。

 今年3月に発表した「子ども・子育てビジョン」については、経済的要因が結婚・出産・子育て・学びに関する大きな壁になっているという問題意識を踏まえた、(1)児童手当の拡充(2)大学等の無償化と給食の無償化(3)保育士の増員と教職員の働き方改革(4)賃上げの加速と正規雇用の拡大(5)子育て世代向けの家賃補助制度――の5つの重点政策等を紹介。あわせて、現在党として進めている「子ども予算強化キャンペーン」にも触れ、各地方議会での予算要望や、当事者との意見交換などの取り組みを進めていると報告しました。

 新学期を迎えるこの時期は、子どもの自殺が増える傾向にあるとされていることから、逢坂代表代行が「学業やいじめなどに悩む子どもにとって学校の再開が大きなプレッシャーになっていることが原因の1つとも言われるが、政治がすべきことは何か」と投げかけると、菊田議員は「悩みを持つ子どもが一人で抱え込まずに、周りに相談できる環境を整えることが大事だが、そもそも先生方が余裕をもって子どもたちと向き合う時間が取れないほどの業務量に追われてしまっているなど、日本の教育の抱える問題は非常に深刻で根深いものがある」と指摘。「小・中・高等学校などにおけるいじめの認知件数は61.5万件」「小中学校における不登校児童生徒数約24.5万人と全児童のうち2.57%が不登校」など、日本の教育が置かれている現状を説明し、特に教職員の職場環境の整備については、緊急的に取り組む必要性を強調しました。

 番組の後半では、「少子化なのに教員不足になっているのはどうしてですか」「最近、大学ファンド(基金)なる言葉を見かけますが、大学間の格差につながらないでしょうか。研究資金が足りないという国立大の先生や非正規の方の悲鳴に近い訴えも聞こえてきます。現状をどのように認識していますか」「列車で『子連れ優先車両』を作るのはいかがでしょうか」等、事前にSNSで寄せられた質問や、チャットでのコメントに答えました。

 菊田議員は日本の大学について、研究力が世界のなかで相対的に低下し良質な論文が出ないことや、博士課程の学生の減少、若手研究者のポストが不安定であること、世界のトップ大学との資金力の差(米国ハーバード大学4.5兆円、米国イエール大学3.3兆円、イギリス・ケンブリッジ1兆円に対し、日本で1位の慶應大学870億円、早稲田大学300億円、東京大学150億円)といった課題に直面しているとして、「こうした大きな差があるなかで、世界のトップレベルの研究を目指していくのはハードルが高い。政府が10兆円規模の大学ファンドを作って支援していこうとする方向性はいいと思うが、大学間の格差が生じることや、政府が望むような研究をするところにはお金はつくが、基礎研究にはお金がつかないということが起きる可能性がある」と懸念を示しました。逢坂代表代行も「学問は本来、役に立つ、儲かる学問だけをやっているのでは発展がない。日本の科学技術論文ランキングは、20数年前は世界4位だったが、今では13位。大学の試験研究などにはもっとお金を投じなければいけない」と発言。菊田議員は、大学の運営費交付金が減少され続けている影響にも言及しました。

 「子連れ優先車両」については、菊田議員はすでにJR東海が実施したことを紹介し、「いろいろなところで取り組んでもらいたいし、行政としても後押しできればいい」「小さなお子さんのいる人たちに対してもっとやさしい社会をつくるためにやらなければいけないことはたくさんある」などと発言。逢坂代表代行も、博物館や美術館を一例に、電車に限らず取り組みを広げるといいと賛同しました。

 菊田議員は最後に「人への投資を何より大事にしてきた。一人ひとりの子どもが心身共にしあわせに暮らしていける社会にしていきたい。しあわせをつくるための政治をやっていきたい」と力を込めました。