三重県で育ち、早稲田大学大学院修士課程を修了後、大手広告代理店で長年勤務した後、2022年に社会福祉士の資格を取得した三重1区のふくもり和歌子(ふくもり・わかこ)総支部長。なぜ政治家を目指したのかをインタビューしました。

■日々の生活で政治の力が必要だと感じていた

 父と伯父が障がい者であるため、小さい時から福祉にはかなり関心がありました。私が高校生の時に男女雇用機会均等法ができて、地方出身ということもあり、当時は「キャリアウーマン」に憧れて東京に出てきました。それなりに男女平等の会社で楽しく仕事をしていましたが、身内に障がいを持つものとしての目線や上京してから感じた女性としての目線からすれば、「やっぱり目に見えない壁みたいなものがあるな」と思っていました。また、「やっぱり地方と都会のギャップもあるな」と思えました。ギャップには良い面も悪い面もありますが、悪い面は正していき、福祉もジェンダーもギャップをなくしていくには政治の力が必要だと思いました。

■会社を早期退職、社会福祉士の資格を取得

 長年勤めてきた会社を50歳になった2020年末に早期退職しました。会社でやりたいことはすべてやってきましたが、いつも福祉のことやジェンダーのことが心の片隅にあったことから、これらの取り組みを第2の人生として歩もうと決意しました。退職後は専門学校に通い、1年で実習もこなし、猛勉強の末、2022年に社会福祉士の資格を取りました。資格の勉強をする中で、「傾聴」と、自分がどういう人間であるかを自己認識し、客観的に理解する「自己覚知」の重要性を学びました。さまざまな人とフラットに話をし、耳を傾けることが大事だと習い、その通りだと共感しました。それは実習先でも必要とされるスキルであったので、「そういう自分であろう」と心がけています。

 また、会社員時代には、世の中は忖度(そんたく)が必要な面もあり、相手の立場等を重んじなければと言葉を飲み込むこともありましたが、「ここはこうした方がいい」といった部分は「しっかり言える自分であろう」と特に思っています。


■一般公募を経て国政へ

 社会福祉士として福祉に従事することももちろん考えましたが、障がいを持つ方や福祉施設で働く方等現場の声をお聴きするにつれ、国政で、制度をより良いものに変えていきたいと思うようになりました。「地元愛」も強く、ジェンダー平等を掲げる立憲民主党が自身の政策理念に沿っていたため、2023年6月に立憲民主党の国政候補者一般公募に応募し、8月に衆院三重1区の公認候補予定者として決定していただきました。


■地元への思いと意気込み

 三重県はジェンダーギャップ指数において、経済分野の指数が47都道府県の中で46位です。男女の賃金格差などがまだまだあると思いますので、そういった課題はなくしていきたい。ふるさとに戻るとシャッター通り商店街も多いので、地域で活躍されている人に学びながら長年大手企業で働いてきた経験などを生かし、中小企業や観光分野の活性化など、地元三重県でも実現していきたいと思っています。

 衆院三重1区といえば、自民党の現職が相当強いですよね。それは地元、津市の小・中・高等学校を出ているから、すごく身に染みて分かっていることなんです。だからこそ対峙(たいじ)していかなければならない。女性や若者、普段投票に行かないような方、草の根で活動するいろいろな人に自分を知ってもらい、さまざまな人の話に耳を傾けて、うねりを作っていきたいです。


■選択的夫婦別姓制度への思い

 平成1桁の時代に選択的夫婦別姓制度の指針が示され、当時は自分が籍を入れる時にその法律が通るかもしれないと思い、期待して夫と籍を入れるのを2年くらい待ちましたが、結局、制度は導入されなかったため、現行制度のまま籍を入れることにしました。あれから25年以上も経つのにいまだ制度が導入されていない。そこはなんとかしたい、選択的夫婦別姓を実現したいと思っています。


■誰もが働きやすい社会を

 私が生まれた1970年代は福祉の法律が充実してきて、近年では障害者総合支援法の改正もありましたが、まだまだ谷間みたいなところがあると感じます。そこは改善していきたいと思いますし、介護が必要なのは高齢者だけではなく、いつ誰が必要な状態になるのか分からない中で現行の制度では不十分な点もあります。そうした部分を補えるよう、制度をよくしていきたいと思っています。

 私は一般企業で働いてきた人間で当初はガムシャラに働くことが良いことだと思っていました。「働き方改革」といった言葉が生まれ、どのような働き方がいいのか、労働環境をもっと良くできないか、特に自分が部長になってから大きく意識するようになりました。男性の育休もいまだ20%に満たない、介護休暇の保障制度は雇用期間の要件等があり、誰しもが取れるものではない。だから、みんなが等しく制度を活用できるように、職場環境の充実に向けた改革にも取り組んでいきたいと思います。