泉健太代表は9月29日、国会内で定例の記者会見を開き、(1)臨時国会開会(2)年収の壁問題(3)大阪万博の経費増問題(4)インボイス制度(5)衆参の補欠選挙――等について発言しました。

(1)臨時国会開会

 国会の早期開会について泉代表は、「岸田総理が、経済対策だとか、補正予算や減税という言葉を述べても国民にはなにも届かない」と指摘し、予算の審議をするために、早く臨時国会を開会するべきだと要求しました。

(2)年収の壁問題

 年収の壁問題について、「政府案は一時しのぎのもので根本的な解決ではない。私たちは厚生年金への加入を求めていく。個人負担や事業主負担が増えるところはあるが、将来的には働く側のプラスになる。企業規模要件を撤廃するなど、出来る限り多くの労働者が厚生年金に加入できるように勧めていくことが本筋だ」と述べました。

(3)大阪万博の経費増問題

 大阪万博の経費が膨らんでいくことについて、「物価高と言うが、これは想定外のことが起きたという話では無い。むしろ、計画通りに手続きや建設などが進んできていないなど、段取りのまずさがあり、バタバタとさまざまな発注を行うことが価格の高騰を招いているのでは」と、運営側のミスではないかと述べました。

(4)インボイス制度

 インボイス制度について泉代表は、「9月25日に官邸前で開かれたインボイス制度反対集会に、各党代表とともに参加した。反対署名が53万を超えた。私たちは個人事業主が集まった団体の方からヒアリングをしている。岸田総理にもぜひ、当事者として困っている方々の声を聞いて欲しい」と求めました。

 10月22日投開票の、衆参の補欠選挙について、「まさに与党対野党という形での戦いになる」として、立憲民主党としても、しっかりと力を尽くしていきたいと述べました。



泉健太代表記者会見

2023年9月29日(金)10時30分~11時21分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/Gg4kOMowrO8


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○経済対策 早期の国会召集の必要性について

【代表】
 おはようございます。
 まずは、国会の開会。総理、ぜひ国会を開会してくださいと。早くやりましょうと。まず、立憲民主党の姿勢はこうです。既に国対委員長、野党各党の皆さんにも集まっていただいて、国会の開会を求めるということで合意をしています。
 改めてですが、総理が幾らその言葉で、会見で経済対策だとか補正予算とか減税という言葉を述べても、言葉だけである以上は、これは国民には何も届かないわけです。ですから、改めてですが、早く国会を開き早く予算の審議をすべきということを改めて冒頭お伝えしたいと思います。
 経済対策も、本当に言葉が躍っている状態ですよね。例えば減税というのは何を指すのか。給付をもって減税見合いとしているのか。それとも、一部の所得の方々に限った給付にするのか、全世帯型の給付にするのか。また、はたまた中間層に対する減税なのか。これも定かでないという状況でありますので、そういったことも総理にはぜひ語っていただかなければいかんなと。

○連合定期大会について

【代表】
 10月5日に連合の大会にも出るということだそうで、これは連合に聞くと、毎年政府に招待状を送っているということですから、時の政権が民主党政権であっても自民党政権であっても連合としては政府に招待状を送っていますということのようでありますから、それは招待状が来たことをもって総理は行くということなのでしょうというふうに思いますが、ぜひそういう場で語っていただきたいですね。物価を上回る賃上げがなくてはいけないというふうに思っているときに、残念ながらまだそれを達成できていないどころか、実質賃金が下がり続けている。それが今の政権の手腕となっているわけですから、では、何をするのかということは、特に働く者の前で明確に語っていただきたいと、このようにも思います。
 連合としては、これは元々政治方針があって、労働運動で政府にさまざまな提案をしていくということと、政治運動として立憲民主党などと連携して緊張感のある政治体制をつくっていくということはもう明確になっていますから、連合にはそれをより明確にしていただいて、総選挙も近いわけですので、総理の挨拶は総理の挨拶、それは政府の挨拶として、労働行政についてできる限り前に進めていくということと、運動として、いよいよもう選挙に向けて、連合本部の立憲民主党の仲間たちの推薦というものも進んでおりますので、ぜひともそういった取組をさらに前に進めていきたいと思っております。

○「年収の壁」について

【代表】
 そのほかにも、いわゆる年収の壁、所得の壁というやつですよね。106万とか130万というところでよく言われるわけですが、今回政府が出してきたのは、ある意味、継ぎ当て、一時しのぎということであって、根本的なものではないし、では、それをいつまで続けられるんですかということになると思います。2年という話が出てきていますが、これは根本解決ではない。
 立憲民主党が言っているのは、やはり厚生年金に入れば、将来的にも労働者にとって、働く側にとってプラスだということです。これはもう間違いのない事実でありまして、確かに厚生年金で個人負担が増えるところや事業主負担が新たに増えるというところはありますが、トータルとしては働く側にとって将来的にこれはプラスになるというもので、できる限り制度的な公平性、入っている方々が、誰しもが同じ制度の中でこの厚生年金の恩恵を受けていくということが大前提だと思いますから、我々としては、例えば企業規模要件を撤廃していく。そして、できる限り幅広く多くの労働者が厚生年金に加入できるように進めていくということが本筋ではないかということも伝えていきたいと思っております。

○大阪・関西万博について

【代表】
 あと、幾つか最近話題になっている、問題になっていることで言うと、例えば万博の経費の問題です。
 これは元々1250億、それが1.5倍になって1850億円になったときがありました。これは2018年くらいのときにも、当時の大阪の松井知事が、厳しく見積もっていると。その1250から1850に膨らんだときに、今後のさまざまな物価の高騰だとかも含めて厳しく見積もっているということだったし、当時、吉村知事も、最後にしてほしいというふうに発言しておりました。そして去年、今度は市長になった松井さんが、去年の年末ですが、建設業界の代表の方が発言をしたことを受けて、徹底的に1850億円のラインを守ってやっていきたいというふうに言っているわけですよね。それが1年もたたずに、なぜこんなことになっているのか。
 去年の年末の段階で言っていて、これはおそらく岡田幹事長が万博会場を視察した際に、行政の側が1850については追加はありませんというふうに説明を現地でしたということとある意味平仄が合うわけですが、もうその時点で物価高は進んでいましたし、何も想定外のことがそれ以降に起きたという話ではないわけですよね。むしろ我々から見ていて何かおかしいなと思うのは、なぜその計画どおりにさまざまな手続や建設が進んできていないのか。その段取りのまずさというものがむしろあったのではないか。それがずるずるとここまで来て、よりばたばたとさまざまな発注をすることになって、さらに一層の価格の高騰を招いているとすれば、それは手法のミスですよね。運営側のミスということにもなろうと思います。
 改めて、では、このままいわゆる経費増を単に認めれば、これは国民の負担が高まる、増すということになりますから、維新の議員さんはいろいろなところに寄附をしているようですが、大阪、大丈夫ですかと。まず大阪の万博の資金難があるのではないですかということも指摘をせねばならんなと思います。

○インボイス制度について

【代表】
 次は、インボイスです。
 10月1日からいよいよ本格的に始まるわけですが、先日、私も官邸前の集会、ここに呼ばれまして参加をしてきました。各党の代表もそろっておりました。野党ですね。
 その意味では、立憲民主党ももちろんですし、他の政党、共産、社民、れいわ、国民など、各政党が同じように取組をして声を上げているという状況であると思いますが、署名が53万を今超えて、そして、松野官房長官が何かちょっと逃げたような発言をして、官邸に届けられたという事実はないと承知していますという話をして、別に官邸に届けたとか届けていないではなく、総理に受け取ってほしいと。こういうことをずっとお願いをしているわけで、届いた届いていないとかではなく、総理が受け取るか受け取らないか。ここをぜひ受け取っていただくような日程の段取りをしていただきたいと、このように思っておりますので、政府のほうに届けば適切に対応してまいりますと言っているのですが、それはそうではなく、総理が受け取ってくださいということであります。
 私はことし1月の代表質問も、VOICTIONという、まさに声優さんや芸能界で仕事をするアクターの方だとか、そういう個人事業主の皆さんが集まってつくった団体からもヒアリングをして、そのことはことしの代表質問でも取り上げて、総理にぜひ直接声を聞いてほしいと。何に困っているのか、このままだとどうなるのかという声を聞いてほしいという要望もしております。ぜひ総理には、やはり現場でまさに当事者として困っている方々の声を聞いていただきたいと、このように思っております。

○国政補選に向けた取組について

【代表】
 あと、10月22日の補欠選挙です。
 いよいよ選挙戦が近づいていますが、10月の、まず2日、私は徳島に行く予定をしています。ここでは、やはり今、地域の農業も大変厳しくなっていると。担い手不足ですとか鳥獣被害、そういった問題をぜひ聞きたいと思っておりますので、2日には、広田さんとももちろん会うのですが、農村に行って農業者の方々との意見交換、地域の集落の今後ということについても意見交換をしていきたいと思っています。
 そして、長崎のほうは、10月10日の告示日に合わせて、その第一声にもお邪魔したいと思っておりますし、前日からおそらく入る形にはなろうかなと。今のところそういう計画を持っております。
 これはまさに与党対野党という形での戦いになりますので、立憲民主党として、そういった形で、その両選挙区の候補者を応援できるということをうれしく思っているところであります。ぜひ、この2人の、広田一さんと末次精一さんの勝利に向かって、立憲民主党もまた力を尽くしていきたいと思います。


■質疑

○国政補選に向けた取組について(1)

【産経新聞】
 冒頭あった衆参両補選について伺いたい。補選で共産党が立憲民主党系の候補を自主的に支援することを明らかにされた。まず、こちらについての受け止めをお聞きしたい。

【代表】
 ありがとうございます。
 以上です。

【産経新聞】
 関連で、共産党の志位委員長はきのうの会見で、この支援に関して、野党共闘の再構築につなげていきたいと述べられた。立憲民主党としてこの戦いをどう位置づけるか、代表の考えをお聞きしたい。

【代表】
 長崎は、立憲民主党の公認候補。そこにさまざまな政党や支持者の方が応援をしてくださる、また、県民の方々が応援してくださるというのは本当にありがたいことだと思っていますので、これからも、そういった意味で、野党の議席の最大化を図るという、これは総選挙に向けた私たちの考え方ですが、各地方組織、それぞれの政党の地方組織がそういった形で支援をしてくださるというのは大変ありがたいと思っています。やはり今後も連携をして、力を合わせてやっていきたいと思います。
 徳島・高知においても同様で、形は公認ということではありませんので立憲民主党の候補者ではないですが、野党各党がそれぞれの形で応援をしているというふうに認識をしておりますので、広田さんのその支持基盤というものが県民多くに広がるとよいなと、そう思っています。

○臨時国会について(1)

【時事通信】
 臨時国会について伺いたい。10月20日にも召集する方向で調整しているというような報道もあった。改めて、この臨時国会で何を訴えていくのか。人事があった後の初めての国会ともなるが、その辺りを教えていただきたい。

【代表】
 マスコミの皆さんは、その各大臣の一つ一つの不祥事とかということを時々挙げられることはあるのですが、やはり国民生活最優先です。もちろん問題があるものを放置はしませんし、取り上げることはあるかもしれませんが、この物価高、政府が考えていた以上に長期化し、より深刻化して、10月1日からも値上がりする品目が4500くらいあるということの中で、では、岸田総理のほのめかすさまざまな施策、ちら見せしている施策というのは結局何なんだということを当然問わなければいけないし、立憲民主党として既に、ガソリンであれば25円しっかり下げるトリガー(条項)の凍結解除のほうがより効果が大きいし、電力料金も今の状況であれば大変国民生活の負担になっていますから、月3000円の電力料金補助、エネルギー手当というものを出そうと、こういう具体的な生活支援策を出しています。政府(案)の規模が今後どれくらいのものになるかというものも踏まえて、我々もさらに考えて今いるところですが、そういった経済対策の中身、補正予算の中身。
 また、同時に、政府の予算を使うのであれば、やはり新たな時代に転換していく。日本をバージョンアップさせていかなければいけないと常々思っているのですね。その意味で言うと、我々はそのエネルギー手当というものを出しながらも、今までも言ってきたのですが、例えば家電ですとか自動車のより環境性能の高いものへの買い替えだとか、住宅の断熱改修だとか、再生可能エネルギーの普及だとか、やはりそういうところに予算を使って社会そのものを前に進めていく。そうすることによって日本の国富の流出を防ぐことができるということを言っています。ずっと化石燃料を輸入する構造が変わらないまま国富が流出している状況をただ続けるということでは僕はいけないと思っているので、そういうこともこの国会の中で議論していきたいと思っています。

○インボイス制度について

【日本テレビ】
 インボイス制度について伺いたい。先ほどの冒頭発言にもあったが、代表も月曜日の官邸前デモに参加されるなどされているが、一方、インボイス制度自体は10月から始まり、たった今、このインボイスに関する関係閣僚会議も官邸で行われている。そのような中、もちろん当事者の声を聞くよう求めると先ほど冒頭発言でもあったが、改めてインボイス制度の問題点と、国会などを通じてどのように政府に訴えて働きかけていくのか伺いたい。

【代表】
 国会での働きかけという意味では、立憲民主党はもう既に随分前から多くの当事者の方から声を聞き、また、各議員たちが地域を回る中でも、やはり一人親方の方だとかフリーランスの方から相当、このインボイスってどうなるのと、そもそもインボイスって何なのという声も含めて数多く聞いていて、そういうものも踏まえて去年の国会で法案を提出しました。このインボイスを廃止すべきだということでの法案を提出したわけです。ですから、そういったこれまでの取組と、先ほど言った、ことしの通常国会冒頭で総理に対して、このままインボイスを進めるとえらいことになりますよということを国会で問いただしをした、そういうことを含めて立憲民主党として取り組んできました。
 引き続き政府には、特に財務省には、中小事業者、零細、個人事業主などの負担がどれほどのものなのかということを、もっと実感を持ってもらわなければいけないというときに、きょう初会合なんですよね、政府が。きょう初会合というのは余りに遅いし、対策もその分遅くなるということになりますからね。私たちとすれば、やはり導入の延期ということも訴え続けていますので、この政府のインボイスに対する考え方や、何をしようとしているのかということも、当然、通常国会でも問いたださなければいけないと思っています。
 問題点と先ほど言っていただいたので、それは一つは、そういった小規模事業の方ほど、全ての領収書を保存し処理していくということで、業務量が格段に増えます。元々人を雇う財政力だとかがないがゆえに個人事業主でやっている方々にとっては、経理のための人やさまざまな事務負担というものを新たに生じさせるというのは、もう死活問題、事業の継続に関わるということ。
 それに加えて、やはり取引排除が起こりかねないということですよね。登録事業者にならなければ残念ながら優遇を受けられないということになって、そして、取引から除外される可能性がある。こうしたことで、除外される方々にとっては大変痛手だということ。
 そして、これまで免税事業者として、それはしかし、国のほうにも小規模事業者を全て捕捉するのが大変だということもあり、一定の合理性を持って免税事業者というのが定められてきている中で、その方々に新たな負担が生じるということは実質的な増税であるということの観点。
 そして、今度はその仕事を発注する側にとっても、一人親方や個人事業主で、いい技術を持っている方というのは当然おられて、その方に今まで仕事を発注してきたのに、それが登録事業者ではなくなるということで発注することもできなくなる可能性も出てくる。そうすると、やはり仕事の質が落ちるということだってあり得るわけですよね。
 こういったさまざまな点が課題であると考えています。

○臨時国会について(2)

【共同通信】
 臨時国会の召集日について伺いたい。今ちまたで10月20日という日程感が言われているが、仮に10月20日ということになると、補正予算がこの時点では提出されていない。経済対策も10月末と言っているくらいで、開会して何をするのかというところで、早期解散の観測も上がっている。この日程感について、代表はどのようにご覧になっているか。

【代表】
 いや、まさに早期解散含みではないですか。ですから、政局でやっている感がありますね。経済対策の発言も、補正予算の発言も、国会の開会時期も、全て選挙対策、選挙含みで動いているのではないかと、そう感じます。

【共同通信】
 今回、臨時国会で補正予算ないし経済対策について議論をしないといけないと常々おっしゃっているが、そういった議論なしに解散された場合、立憲民主党としてはこの点をどのように突いていかれるか。

【代表】
 それは当然批判されるべきでしょう。我々も批判しますよ。だってね、国民に実際の果実を届けるのではなく、それよりも政局を優先させるということですよ。
 そして、もうずっとこの間、私たちも財務省だとかに、官邸からの補正予算の指示はまだないのか、まだないのかと、先月も聞いてきたし今月も聞いてきて、いつになったら総理は指示をするのかと。全然ここまで指示をしてこなかったわけですよね。やろうと思えば、もっと早くできた。要は、国民の皆様にその生活が大変だということで寄り添って、国民に早く果実を届けようとするならば、それはできたにもかかわらず、ずっと先送りして今に至って、ちょうど選挙の時期、有利か不利かということも踏まえて、戦えるのではないかという時期を見つけてきたから経済対策という言葉を出してきたと、そういうふうに見えますよね。
 これは果たして国民生活を優先しているのか、それとも政局を優先しているのかと問われれば、それは国民生活を後回しにしてきたということではないですか。そう思いますね。

○自民党人事 杉田議員の起用について

【朝日新聞】
 何点かあるが、まず、杉田水脈衆議院議員のことで伺いたい。札幌法務局から人権侵犯と認定された杉田氏が、自民党の環境部会長代理に就任する見通しになっている。代表は以前から、党の姿勢がこの問題は問われるとおっしゃっており、説明も謝罪もないままにこういうポジション、政策に影響を与えるポジションになったということだが、杉田氏の公認候補について明言を避けている状態で部会長代理にするような党の姿勢というか、そういったものを代表はどのようにお感じになるか。

【代表】
 ありがとうございます。
 それが自民党の姿勢だということですね。そういうことをぜひ多くの国民に朝日新聞さんも知らしめていただいて、我々はやはり国民の判断というのをしっかり待ちたいと思います。もう既に批判も上がっているわけですから、それをやはり自民党がどう受け止めるか。どんどん問われていくのではないですか。

【朝日新聞】
 この間の会見で泉代表は、もし党がこの問題を放置するのであれば臨時国会でも追及する可能性もあり得るとおっしゃっていたが、この点についてどのようにお考えか。

【代表】
 それは我々のほうで考えます。

○国政補選に向けた取組について(2)

【朝日新聞】
 次に、補選の件で改めて伺いたい。先ほどの質問にもあったように、自民対非自民の構図になったということで、野党の候補者の一本化がある種実現したということだと思うが、これは野党間の票割れというものもある種なくなったということだと思うが、代表のこの選挙にかける意気込みというか思いを改めてお聞きしたい。

【代表】
 先ほども話をしましたが、立憲民主党は両候補を全力で応援していきたいと思います。
 一本化というのが、では、全野党の代表者が集まって皆でこの人を応援しましょうというところまで行っているわけではないですが、しかしながら、やはり候補者がいて自民党と戦うということで1対1の構図であるということの意味は大変大きいと思っておりますので、立憲民主党としても当然全力を尽くして勝利に向かっていきたいと思います。

【朝日新聞】
 前回4月の衆参補選のときに、立憲民主党は、接戦の中、全ての選挙区で候補者が勝利できなかった事実もある。今回の選挙、この戦いで、両方とも接戦になっているわけだが、こうした点を踏まえて、例えば勝敗ラインとか、もしあれば教えていただきたい。

【代表】
 あなたたちは、はたから見ていて簡単に言うけれども、そもそも支持率でも大きく与党と野党の差がある中で、候補者を立てるのだって大変だし、そして、ずっと活動を続けて接戦に持ち込むのだって相当大変なことなんですよ。それは本当に県民の皆さんの力だし、各党の皆さんの力であって、それで負けたから何か全部負けましたねみたいな単純な話では僕はないと思います。そこまで行くだけでも相当な仲間たちや各政党の努力があったということは僕は評価したいと思います。
 その中で、自民党の支持率も今確かに下がってきている局面なので、やはり両選挙区勝利したいということで、勝敗ラインも何もないですよ、これは。勝つか負けるかしかないわけだし、勝利を目指していく。それだけですよ。

○臨時国会について(3)

【朝日新聞】
 最後に、10月20日にも召集される臨時国会の件だが、改めて、経済対策もそうだが、具体的に政府のどういった点を追及するか伺いたい。例えば経済対策であれば、特に立憲民主が問題だと思っている点、ここは特に問題だと思っている点を追及していきたいということがあれば改めて教えていただきたい。

【代表】
 これも先ほど話をしました、冒頭で。
 まず一つは、経済対策で、総理の言う減税とは何かというのが明確ではないということ。そして、我々はエネルギー対策、ガソリンと電力料金についての対策を既に具体的に提示している、このことについて政府はそれを実現しないのかということ。そして、減税ではなく給付みたいなものがあるのかないのかということも問われるし、先ほど話をしたように、新たな日本の社会の改革に向けた予算になっているかどうか、そういうことも問わなければならないと思います。
 そのほか、これまでも自民党の政務官だった人間の風力発電の汚職とか、例えば先ほど冒頭で話をした万博の経費の問題、これも政府の負担にもなる話ですから、こういう問題もあり得ます。そのほか、ここから、もしかすると国会が始まるまでの間に、また政府・与党のほうで問題も出てくるかもしれませんから、そういうものはやはり機動的に扱っていきたいと考えています。

○次期衆院総選挙に向けた取組について(1)

【読売新聞】
 この秋にも解散があるかもしれないというお話があったが、ことし5月に中堅・若手の方々から擁立目標として200人を掲げてほしいと言われ、代表も200人擁立する目標を掲げられたと思うが、この目標は変わりがないかどうか確認させていただきたい。

【代表】
 はい、変わりありません。

【読売新聞】
 早期解散だとこの秋にもということだが、現状では160人前後にとどまっているかと思う。本当に200人擁立できるかどうか、見通しを教えていただきたい。

【代表】
 とにかく頑張ります。

○SNS発信について

【毎日新聞】
 代表のSNSについて伺いたい。SNSは思わぬところで炎上してしまうリスクもあるかと思うが、そのリスクを取って力を入れている狙いを伺いたい。

【代表】
 ごめんなさい、「力を入れている」というのは何をもってというと、別に僕はまだまだかなと思っているほうでして、ほかの方のほうがたぶんいっぱい力を入れられているのではないかなと思いながらやっています。

【毎日新聞】
 まだまだかなと思われるのは、なぜそのように感じておられるか。

【代表】
 始めた時期も早くなかったし、世の中でもっともっとSNSでの発信で影響力を発揮している方がいると思っているからです。

【毎日新聞】
 SNSの発信力というと、党内でもかなりフォロワーの数が多い方がいらっしゃるが、その中で代表ご自身がされる思いというか狙いがあれば。

【代表】
 いや、一生懸命やっているだけです。

【毎日新聞】
 もう一つ。訪米中にインスタグラムのライブも始められたかと思うが、SNSの多角化という意味ではどのような狙いがあるか。

【代表】
 すごく難しいことを言いますね。
 そんなに、皆さんも、おそらく会社も、多角化とかを考えてやっているのかどうかわかりませんけれども、アプリがいろいろありますからね。やはりそれぞれのアプリを利用されている方があるので、そこはその方々にしか届かないというところもあるわけですよね。そのアプリを使っている人は、もしかしたらそのアプリしか使っておらず、情報をそこでしか得ていない方もいるかもしれませんから。また、そのアプリの特性もいろいろあるので、ここでは短めの動画がいいですよというアドバイスを受けたり、ここは文字でコメントしたほうがいいですよというのがあったりとか、いろいろありますからね、それぞれでやっているということです。
 ただ、ちょっとインスタライブは確かに帰国してからできていないので。だから、やはり「力を入れている」と言われるくらいになるには、もっとそういうものもやらなければいけないと思っています。

○大阪・関西万博について

【フリーランス】
 万博の建設費の2度目の上振れについて、泉房穂前明石市長は、上振れを認めるのではなく縮小万博をやって経費を抑えるべきだと、今までと同じ額にすべきだという趣旨のことをおっしゃっているが、この考えについてどう思われるか。先ほど維新の寄附の話が出たが、デザインの簡略化とか面積の縮小で足りなければ維新の議員が寄附してでも埋め合わせるべきだというようなことを意味しているのかなと思ったが、お考えを。

【代表】
 議員の寄附の額は、万博の経費から比べると余りに少額ですので、埋め合わせには到底ならんなというのがまず一つです。
 とにかく、1250から1850になり、2300億円になるというのを、ただ許容していくということではいけないのではないでしょうか。政府だってこれはきちんと予算の管理をしなければいけませんし、運営側の課題についても今から修正をしていかなければいけませんし、そして、経費で削れるところが何かないのかということの検討もすべきだと思います。

【フリーランス】
 ということは、2度目の上振れは認めるべきではないと。

【代表】
 それはおかしいと思いますね、そのまま行くというのは。きちんと検証し、国民に説明すべきです。国民が納得するかどうかというのは、また別の問題だと思います。

【フリーランス】
 そもそも上振れした理由として、軟弱地盤で大型建造物の建設に不適切なところを選んだのも影響しているというふうにお考えか。

【代表】
 あの場所を選んだのは大阪側の意向もかなり強かったと聞いていますから、場所を選んだことによる経費負担があったとすれば、それは当然その場所を推した方々の責任だと考えます。

【フリーランス】
 とすれば、維新の議員が埋め合わせで、寄附である程度埋め合わせる必要も妥当性があるというふうに見えるが、その点はいかがか。

【代表】
 だから、今ちょっとあれですよね、府知事・市長という行政の側と、府議団とかの側と、国会の維新の方々と、そして、国・政府と、ばらばらなことを言っているような気がしますね。これは維新からしても、行政と議会、地方議員団と国会議員の言い方がばらばらというのはいかがなものかと思いますし、やはりそのばらばらな状況で、他の自治体に一生懸命寄附をしているだとか、そんなことをしているのではなく、大阪のこの万博の負担増大についてきちんと考え方を明らかにすべきだと思います。

【読売新聞】
 大阪・関西万博で関連して伺いたい。維新の馬場代表は、この上振れした関係で、国が費用を負担するようにという主張をしている。このことについて代表はどのように思われるか教えていただきたい。

【代表】
 そもそもの負担割合というのがまず一つ当然ベースですから、増額した分の負担割合が変わるとか変わらないとか、そういうところからのスタートではないのかなとは思いますが、そもそも増額が果たして妥当なものなのかということが今問われていますから、まずそちらのほうを問うのが先ではないですか。

○臨時国会について(4)

【北海道新聞】
 何点か伺いたいが、まず、20日召集との話も出ている臨時国会について伺いたい。昨年の臨時国会では統一教会の問題などで維新と協力する場面もあり、野党の主導型というか、追及されて救済法案などの成果もあったと思う。もちろん1年前と今で維新との関係も変わっておられると思うが、改めて野党各党に立憲として求めていきたいテーマ、もしくは、共闘の再開というのは非常に難しいというご認識なのか。

【代表】
 立憲民主党としては実は常にオープンマインドで、国民のために、今の自民党の緊張感のない政治は許さないと。そして、自民党が動かない政治テーマがあるときに、やはり野党の側が動かなければならないということで、別に維新だけではなく各政党に常に連携を呼びかけてきた。そういう中で、当時野党第2党としての維新との間の政策連携というのがクローズアップされたと。でも、あのときに2党だけでやっていたかというと、別にそういうことではないですね、各政党が共に取り組んできたテーマもあったということだと認識しています。
 そこから維新が何かいろいろな理由で、もう立憲とは何か金輪際やらないとか、そういうことで話がありましたので、それであればそれは仕方がないですよね。どこをやれるかどうかというのは、それはもう相手さん次第というところもありますから。
 ただ、我々のスタンスは変わらないです。国民のためであり、やはり声なき声をきちんと国会の中で取り上げて、困っている当事者の方々に寄り添って政治課題を解決していくという姿勢は変わりませんし、国民生活を優先させて、国民が潤う、国民生活が富む日本にしなければいけないという視点でやっていますので、そういうところで、これからもまた維新が、では、やりましょうということであれば、それはそうですかということで、国会でぜひ自民党ときちんと論戦をして対案を出して戦っていきましょうという話にもなろうかなと思っています。

○代表就任から2年を迎えるに当たって(2)

【北海道新聞】
 最後に一点。本日9月29日ということで、この間も同様の質問をさせていただいたが、(9月末日で)代表の任期まで残り1年だが、代表に就かれてからこの間、立憲の党勢であるとか、ご自身のリーダーシップをどうご覧になられているかと、残りのあと1年で、立憲の支持拡大に向けて力を入れたいこと、取り組んでいきたいことを教えていただきたい。

【代表】
 リーダーシップというのは、それは周りの方に聞いてもらうことかなと思います。それはいろいろなご意見もあるでしょうけれども。
 自分としてはとにかく、この厳しい状態からの船出の中で、党を安定させていくということ。そして、やはり党が党自身の政策をしっかり全国の国民の皆さんに伝えていくこと。立憲民主党自身が国民の皆様のお役に立てる政党であるということを愚直に示していくこと。それをとにかく言い続けてきたわけです。もちろん野党の議席の最大化をさせていくということで、今、取組をしていますが、何より立憲民主党自身が自己をきちんと持って確立をしていかなければいけないと思っておりますので、そういう姿勢を持ち続けて頑張ろうと言ってきた、この2年間であったと思っています。
 その意味では、私は、この通常国会が終わってからの数カ月間も含めて、立憲民主党の仲間たちは本当に懸命に地域で政策を訴えて国民の声を聞いてきたと思っておりますので、次の総選挙では必ず目標を達成できると思ってやっています。その意味では、これからも、もしかしたらもうじきかもしれない総選挙に向けての準備を、とにかく執行部としては速やかに進めて、体制をより整えていきたい。今はそう考えています。

【北海道新聞】
 確認だが、目標というのは150ということか。

【代表】
 はい、そうですね。

○「生活安全保障」「最低賃金引上げ」について

【「FACTA」】
 泉先生は去年の春に「生活安全保障」というエッジの立ったスローガンで参議院選を戦ったわけだが、3年目ということもあるが、もちろん3年目には当然ながら総選挙がある。このご自身のスローガンというのを何かブラッシュアップするとか、それは何かお考えになっているか伺いたい。

【代表】
 これは、「自身の」というのは、最終的に私がゴーサインを出しましたが、党内からさまざまな提案を受けて、その中から執行部で選ばせてもらったものですから、単に私のぽっと出たアイデアでのスローガンではなく、党として掲げた、党として民主的に、また、ボトムアップで決めてきたスローガンであるということはまずお伝えしていきたいと思います。
 基本的には、そういうものを、今回も党所属の国会議員初め地方組織の皆さんからもさまざまなアイデアを既にいただいていますので、まさにそういった意味でブラッシュアップというか、できるものであればやはりやっていきたいと思っています。

【「FACTA」】
 そのスローガンとの兼ね合いで言うと、やはり岸田さんが言う2030年代の半ばに最賃1500円。今、英国であれ、あの辺は大体2000円だから、これは何を考えているのかと。1000円が目標だったから、それに来たということ。円安の問題もあるが。ただ、中小企業が払えるかどうかという問題があるが。何がしかやはり支援をして、数値目標を立てて、1500円なのか幾らかわからないが、「生活保障」という意味では、この最賃の問題について私は争点にすべきだと思うが、泉さんはこれはどうしたらその最賃を上げられるか。水準もあるが、ある種のタイムスケジュール、その辺はどんなふうに。私はどう考えてもそこは岸田さんはおかしいと思う。もう非正規が4割を超えているわけだから。その辺をどうご覧になるか伺いたい。

【代表】
 立憲民主党は、さきの選挙でもそうだったのですが、既に1500円という数字を掲げて争点にして戦っていますので、これをぜひ目指していきたいと思います。
 先日も、ある大学生の皆さんとの意見交換会のときに話したのですが、イギリスって、1年で1ポンド最低賃金が上がったりするんですよね。ですから100円以上上がるというケースもあり得る中で、岸田さんのペースで行くと、今の上がり幅とそんなに変わらないかくらいのものを続けていったら、2030年を超えた段階で、半ば前くらいに1500円に到達するというくらいの話であって、全然何のアクセルも吹かしていない政策だと言えます。
 その意味では、この最低賃金の上げ幅というのは当然もっとスピードを上げていかなければいけないし、これは単に国内の問題でとどまるということではなしに、最低賃金が低いということであれば、日本の労働者だってどんどんどんどん海外に流出する可能性もあるし、海外から日本に労働者が来なくなるということにもつながるし、あらゆる点で日本が世界との競争に負けるということ。当然、国内の消費も伸びないですよね。我々はやはり国内の経済を活性化させるためにも、もっとスピードアップをして、この最低賃金を引き上げていきたい。
 イメージというのは党内でより具体的に議論しているところもありますが、今、方向性としてはやはり岸田政権よりも間違いなくスピードを上げて我々は1500円に到達したいと考えています。

○「少子化対策」「災害対応」「衆院解散手続法案」について

【フリーランス】
 経済アナリストの森永康平さんという、比較的若い方で、代表と同じくお子様が3人いらっしゃる方だが、この方がユーチューブの番組というかTOKYO MXの番組で、閣議決定のときの戦略資料というのを読ませていただいたと。そうすると、我々と、立憲民主党さんもそうだと思うが、ほとんど同じ認識で完璧な分析がなされていると。でも、そこから出てきた少子化対策に驚いたとおっしゃっている。ガソリンのこともインボイスのこともそうだが、完璧な分析が官僚から出てきているにもかかわらず、逆噴射的な経済政策をしている。ちょっと自民党というのが理解しにくいなと思うが、どのような都合でこのような運営になってしまうというふうにお考えか。

【代表】
 まずは、自民党の中枢を担っている方々が世代的にやはり随分と年配の方々が多いということ。ですから、今の若い世代の気持ち、環境、そういったものを理解できていないのではないかということが一つです。
 もう一つは、ずっと自民党の中にある、自己責任・自助努力論だと思います。子育ては自分たちでやるものだ。親の責任。こういうものが大前提にありますから、格差を許容してしまったり支援が遅れたりしているということは、まさにこの自助・共助・公助というところの自助を強調する、自己責任を強調する、そういったものがさまざまな施策に具体的に遅れとして出てきていると感じます。

【フリーランス】
 次の質問だが、27日に茨城県に行き台風の被害の様子を視察され各市町とお話しされてきたということだが、こちらの簡単なご報告と、そして、私たち巨大な予備費というのが本当に災害に使われているんだろうかというのもちょっと気になるので、そういうところがもっとよく出てくるといいなと思っているが、この件についてお願いしたい。

【代表】
 予備費は本来災害のために、コロナ(対策)前でも5000億は国で確保していて、それは大体各党合意をしていたというか認識をしていた額ですから、災害のときであれば、それは適切に使われるものだと思っております。
 一方でというか、三つの自治体を回りましたが、どの自治体でも今まで起こり得なかった場所で水があふれて水害が発生したということを口々に言っていました。線状降水帯という言葉もありましたが、これまでの排水設備だとか雨水の排水路だとかについて、やはり見直しをしなければいけない。今回やられたということは、この次もまたどこかであり得るかもしれないという視点に立てば、単に原状復旧すればいいということではなく、いかにして想定雨量をもう少し引き上げて対策を講じていくかということが求められているということを実感しました。
 各自治体からは、いわゆる激甚災害指定について、早期に調査をして取り組んでもらいたいという要望も受けました。
 また、どうしても、地方自治体といえども、それぞれの集落に住んでいる住民からの情報というのは上がり切っていないところがあって、床上浸水地域なども数多く発生していますので、私からは、そういうところに貸し出す資機材を用意できる団体を知っていたものですから、そこを紹介して、実際にその団体と行政をつないで、そういった資機材の貸出しにも今至っているという状況なので、お役に立ててよかったなというか、これからもそういうさまざまな情報をお伝えしたり、そして、被災地に役立つ取組をしていきたいと思っています。

【フリーランス】
 3点目だが、国会で議題が何が取り上げられるかという部分については国民ももっと声を上げていかなければいけないとは思うが、解散権の制限についての法案を立憲民主党単独で出された。与党がこれを議題として取り上げるかというとちょっと苦しいかもしれないが、木村草太さんのお言葉もいろいろ出ていらしたと思うが、今回の意義についてお話しいただきたい。

【代表】
 解散権の濫用が、事実上、国会の機能低下になってしまっているということを大変問題視しています。当然、選挙結果が与党のほうに余りに有利に働くということも、与党のほうは不意打ち解散ができて、そして、野党のほうはそれを受けざるを得ないということ。そして、本来任期4年というものが与えられる中で、国会議員もまた長期的な仕事もせねばならないときに、急に首を切られてしまうということが総理の一存でできてよいのかと、そういう問題意識ですね。ということで、今、立憲民主党ではワーキングチームの中で、そういった解散権について制約を加えるということができないかどうかと、こういった法案を策定している最中であります。