参院予算委員会で「令和5年度補正予算案」の総括質疑が11月27日に行われ、立憲民主党から牧山ひろえ、岸真紀子、石橋通宏の各参院議員が質疑に立ちました。

牧山ひろえ議員

 牧山ひろえ議員は質疑で、子ども・子育て政策などについて厳しく問いました。その中で、「異次元の少子化対策のための増税はしない。国民に追加負担は求めないと述べているが、この二つの条件を満たしたうえで、本当に3.5兆円の新財源を確保する見通しはあるのか」とただしましたが、岸田総理は、「基本方針として、賃上げと歳出改革によって実質的な国民負担の軽減効果を生じさせて、その範囲内で支援金制度を構築する。こうした支援金制度と既存の予算の活用と歳出改革の3本で財源を確保する。基本方針に基づいて具体的な制度設計を子ども・家庭庁で行っているところ。年末に向けて予算規模を確定し子ども未来戦略の中に明らかにしていく」と答えました。

 しかし牧山議員は、「国民の給与所得の増加分が、支援金徴収の上限と言うことか。これでは、せっかく実現した賃上げ分を間接的に取り上げることにならないか」と、追加負担にならないか疑念があることを指摘しました。

 さらに、子どもの不登校・いじめ・虐待問題にも言及し、「昨年度は過去最多を更新している。早期発見・早期対策が鍵となる。教職員やスクールカウンセラー、スクールワーカーなど、子どもをケアする人員を増やして子どもたちのシグナルをいち早く受け止めることだ。この定員数の改善は重要だ」とただしました。岸田総理は、人員増は重要だと認識していると述べ、「引き続き子どもの安全・安心のために充実を図っていく」と答えました。

岸真紀子議員

 岸真紀子議員は、新型コロナ後遺症、ワクチン健康被害の問題を取り上げました。コロナ後遺症は、新型コロナとの因果関係の立証が難しく、神経免疫の迅速な調査研究が必要との考えを示しました。また、後遺症は他人には分かりにくく、失業せざるを得ない場合もあるため、職場や学校での理解促進および治療終了までの休業手当や傷病手当延長の充実が不可欠だと武見敬三厚生労働大臣に改善を求めました。武見大臣は理解促進・支援措置など「職場で困難な状況に陥らないよう、われわれとしても努力をする」と応じました。岸議員は改めて「コロナ後遺症・ワクチン健康被害の救済に向けて、相談から治療まで全て完結できるワンストップサービスのような体制にしてもらいたい」と政府に要請しました。

 岸議員は、来秋に予定される現行の健康保険証の廃止について、時期尚早だとして廃止延期を求めました。マイナ保険証の利用率が現段階でわずか4.5%であり、本補正予算にマイナ保険証の利用促進として217億円が計上されていることに対し、「総理はマイナ保険証を利用させることにどれだけ莫大な費用をかけるのか」と指摘しました。岸田総理は、マイナ保険証のメリットを理解してもらうための必要な措置と答弁をし、岸議員は「マイナ保険証のメリットを分かってもらうためにも落ち着いた議論が必要だから、来年の廃止を延長した方がいい」と訴えました。

石橋通宏議員

 石橋議員は、岸田政権に対する国民の評価が厳しい最大の理由の一つは、政治と金、任命責任の問題に対して国民に真摯に説明していない政治姿勢にあると指摘しました。岸田総理は「重く受け止める。政治と金についても、それぞれの立場で政治の信頼回復のために説明責任を果たしていきたい」と答弁しました。石橋議員は、「『それぞれの立場で』が他人事だ」と批判しました。

 石橋議員は、派閥の政治資金違反の問題について、岸田総理が被告発人になっていること、何年にもわたって巨額の不記載があったことを指摘しました。岸田総理は「経理の状況については承知していない」と答えるにとどまりました。

 巨額の不記載が、指摘されている2018年から2022年まで数多く行われていることから、石橋議員は「単なるミスではなく、組織的に行われてきたのでは」と疑問を表しました。岸田総理は「修正の内容について説明を行うことが重要。各政策集団にその旨指示を出した」と発言しました。石橋議員は「総理は『名寄せ』と言ったが、修正訂正された中に、明らかに20万円以上だったものが出てきている。なぜ不記載が繰り返されていたのか」と次々と出てくる疑問点を指摘しました。岸田総理が「確認不足だった」と述べましたが、石橋議員は「それも含めてそれぞれの政治団体が説明すべき」と調査結果を委員会に提出するよう求めました。