参院予算委員会で11月29日、「令和5年度一般会計補正予算」について締めくくり質疑が行われ、杉尾秀哉議員が(1)岸田総理の政治姿勢(2)大阪万博(3)馳知事の東京五輪誘致をめぐる官房機密費発言――などの問題を追及しました。
(1)岸田総理の政治姿勢
杉尾議員は、岸田政権の支持率暴落の原因を「アピールや工夫の問題ではない。国民は総理を信じられなくなっている」として、岸田総理の「税をめぐる迷走」を指摘しました。
トリガー条項の解除について、昨年春に与党と国民民主党で協議を行い断念したにもかかわらず、岸田総理がまた協議を提案したことについて、杉尾議員は、「岸田総理は財務大臣にも説明せずに唐突に持ち出した。また断念するのではないか」「今度できなかったら総理の信用問題」と強く疑問を表しました。
(2)大阪万博
杉尾議員が1カ月前から要求している資料が出てこないことに触れ、「全体像はいつ示されるのか」との質問に、自見大臣は「早急に示せるように作業を加速する」と答えるにとどまりました。
会場のシンボルとなる「リング」について、わずか5mあげるだけで1億円かかるとの試算について、杉尾議員は「3分の1の予算でできるという専門家もいる。本当に精査したのか」と問いましたが、政府は「プロデューサーから提案があり、前回の増額の時に認めている」と答えました。杉尾議員は、「中抜きしているのかという疑惑がある。1億円の根拠を示してほしい」と述べ、予算委員会に資料を出すように求めました。
また、「パビリオンA50カ国のうち建設事業者が決まっているのは30超」との政府の答弁に対して、杉尾議員は、「本当に間に合うのかというのが大方の国民の意見」と指摘しました。
(3)馳知事の東京五輪誘致をめぐる官房機密費の発言問題
馳知事の官房機密費の発言問題について、官房長官が「誤解を与えかねない」と発言したことについて、杉尾議員は、「機密費をばらしたから不適切なのか。そう言っているようにしか聞こえない」と述べました。
岸田総理に対しては「馳知事が発言を撤回すれば済む問題なのか」と問うと、「統括する立場でない馳知事自身が発言したことが問題」と答えました。杉尾議員は「立場にないといっても政府のお金を使っている。もっと危ない話だ」と指摘し、「事実の精査が必要」と馳知事の参考人招致を予算委員会に求めました。
さらに、杉尾議員は「官房機密費は違法なものに支出してよいのか」と質問すると、松野官房長官は「会計検査を受けている。違法行為に使ってはならない」と答えました。
杉尾議員は、「機密費は問題が多い。何に使われているのか不明、不適切な支出であっても使途を言わないということで国民に明らかにならない。税金なのに、理解が得られない。一定期間後に使途の公開等透明性を高めるべきだ」と訴えました。
質疑終局後、採決に先立ち討論に立った高木真理議員は、冒頭「国民の暮らしは、物価高、エネルギー価格高騰が続く中、実質賃金が18カ月連続のマイナス、年金も実質カットと苦しさを増している。一刻も早い手当が打たれるべきところ、政府の補正予算の提出はあまりに遅いものだった。しかも国民の可処分所得を増すための減税が届くのは来年6月と全く遅すぎることに国民は大いに失望している」と指摘。そのうえで、本補正予算の反対理由として、(1)物価高を加速させかねない大幅な財政出動が盛り込まれる一方でのバラマキ予算であるなど、何を目指しているのか分からないこと(2)補正予算でありながら財政法29条の求める緊要性の要件を満たしていないこと――を挙げました。立憲民主党は、物価高克服の緊急経済対策として家計・事業者への直接支援、省エネ、再エネへの大胆投資に絞った支援策を盛り込んだ組み替え動議を衆院に提出したことにも触れ、「人へ、未来へ、まっとうな政治へ。国民に寄り添い、信頼を取り戻す政治の実現を目指していく」と表明しました。