衆院憲法審査会は12月7日、自由討議を行い、立憲民主党から道下大樹、奥野総一郎、中川正春の3議員が発言しました。

 道下議員は、現行憲法で「地方自治」に関して独立した章が設けられていることについて「地方制度に関する規定がなかった明治憲法と比べて高く評価すべきであり、戦後の地方自治の確立・発展に果たした役割は大きい」と評しました。その一方、憲法の地方自治に関する条文が少ないため、法律への委任項目が多くなり、地方自治の発展を阻害してきた側面もあると指摘しました。

 その象徴的な事例として、2000年の地方分権改革時に導入された代執行訴訟制度を使って「国が辺野古沖の地盤改良工事をめぐり、県に代わって工事を承認する『代執行』に向けて起こした裁判」を挙げました。代執行に関して「地方分権とは相反する制度を政府が悪用することについて、沖縄のみならず多くの批判が出ている」と問題視しました。

 奥野議員は、参議院の緊急集会及び議員任期の延長をめぐる問題について言及しました。緊急集会について「制定経緯から国家的な緊急事態を想定した制度であることが明らかであるとともに、戦前の政府による権力濫用の反省に基づき『徹底した国会中心主義』の見地から創設された、極めて優れた仕組み」であると評価しました。

 議員任期延長制度については、「任期延長された議員は選挙を経ておらず、その民主的正統性に疑義が残る中で、衆議院として『暫定的な』ものではなく『正式な』決定を行うものであること、また、戦時中に戦争遂行体制の整備を口実に衆議院議員の任期が延長された歴史的事実を見てもその悪用のおそれは否定できない」との見解を示しました。

 中川議員は、憲法審査会における議論の進め方について、与野党の筆頭幹事間で「できうる限り幅の広い合意を形成することを目指すこと。その合意のもとに、幹事会なり、特別の小委員会なりを作って、それぞれ話し合いのもとに、憲法改正素案を練っていくこと」を共通認識にしてきたと説明しました。

 これまでの議論を踏まえ、「意見集約できそうだと思われる課題は、国民投票法に関連した見直し作業」だと指摘しました。この課題に関して「ネット社会の進展などによって、当初の国民投票法のあり方では公平、公正な国民投票の実施ができない。新しい要素を入れた見直しが必要だ」と説きました。