岡田克也幹事長は12月28日、会見を開き(1)政治改革推進本部の拡充(2)市民連合との関わり方――などについて発言しました。

 政治改革推進本部について岡田幹事長は、これまでの自民党派閥裏金調査チームでの議論を踏まえ、年明けから政治改革推進本部を拡充し、政治とカネの問題について議論を詰めていくと述べました。

 具体的な論点として、(1)企業・団体からの献金、政治資金パーティーの禁止(既に「企業団体献金禁止法案」を提出済)(2)いわゆる政策活動費について、政治資金の透明性を高めるという政治資金規制法の趣旨に照らし、新たな立法措置を検討(3)インターネットでの収支報告については、既に収支報告書ネット公開法案を提出しているが、保存期間の問題などを議論し必要があれば新たな法案を提出すること(4)調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の公開(既に使途公開の法案を提出済)――の4点を挙げ、法案を提出していない点については議論を重ねて必要な対応をしていくと述べました。

 市民連合との関わり方について、連合の芳野友子会長が市民連合が仲介する共産党との会合に今後参加しないように求めているという報道に関連し、連合の清水事務局長と岡田幹事長が会談したと述べ、(1)一部の組合員の方から市民連合との会合について懸念が伝えられたことは事実である(2)報道にあるような市民連合の会合そのものに参加すべきではないという話は出なかったと認識している――と述べました。

 かねてから次期衆院選に向けて野党議席の最大化のために各野党と連携し力を合わせていくことは何度も表明しており、今回のような市民連合による会合もその趣旨に沿うものだとして、今後も参加していく考えであると述べました。また、その際には連合とは連携を取りながら対応していきたいとも述べました。

 沖縄県辺野古沖の米軍新基地建設に伴う地盤改良工事をめぐり、国が沖縄県に代わり工事を承認する代執行を行ったことについて問われると、岡田幹事長は「沖縄とのコミュニケーションが完全に不足している」「地方自治の観点から見ても非常に問題がある」と述べました。


岡田克也幹事長記者会見

2023年12月28日(木)
発行/立憲民主党役員室


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○政治改革について

【幹事長】
冒頭2点申し上げる。1つは政治改革の議論、山井さんはじめ(裏金)調査チームで議論を重ねてまいりました。年明けには政治改革推進本部を拡充した上で、しっかり議論を進めていきたいというふうに思っております。大きく言って4つだというふうに思っております。1つはやはり企業団体からの献金、あるいはパーティーということについて、規制を強めていくというか、そもそも、私達はそれを廃止をするということを言っているわけであります。これはもう、国会には法案提出済みであります。そして次には、いわゆる政策活動費の問題。これについて、しっかりと何かできるようにしたいというふうに思っております。我が党も収支報告で明らかになり皆さんと同じように支出はありますが、秋以降そういう支出はしておりません。やはり必要だから支出をしたということでありますが、政治資金の透明性を高めて、国民のチェックを常に受けるという政治資金規正法の趣旨からいうと、疑問なしとしない訳で、新たな立法措置をして、これを制限するというそういった議論を、党内でしっかりと行いたいというふうに考えております。3番目は、より透明性を高めるための、インターネットによる収支報告ということで、これも法案は我が党としてネットによる収支報告(書の公表)ということで法案を出しておりますが、これで十分なのかどうかですね、ここはもう一度しっかり議論をして、保存期間の問題とか、様々な論点が出てきておりますので、もう少ししっかり議論をして必要があればですね、追加的に法案の形で提示していきたいと思っております。4番目は旧文通費の話で、これも維新とすでに法案を出しております。きちんと公開するということでございます。そういった大きな4つの柱ぐらいで、もう既に法案出してるものは、もうそれで要は完結してるわけですが、そうでないところについて、しっかりと議論がされて、必要な対応をしていきたいというふうに考えているところであります。これが1点です。

○市民連合

【幹事長】
それからもう1点は、先般の連合の芳野会長の記者会見で、一部の報道では、連合が市民連合を介する共産党との会合には今後参加しないように求めているという報道がありました。この点について、私の方から申し上げておきたいと思います。清水事務局長とお会いをして、清水さんの方の申し出があったんでお会いしたのですが、私と選対委員長で、お話を聞いたということであります。その際、一部の組合員の皆さんから、先般の市民連合の会合について、懸念が伝えられたということは事実であります。ただ一部報道されるように、事務局長の方から市民連合の会合そのものに参加するべきではないというようなことは、出なかったと私は認識をしております。私達はかねてから次期衆議院選挙に向けて、野党議席の最大化のために、各野党と連携し力を合わせていくいうことを、この場で何回も述べたところであります。今回のような市民連合による会合は、その趣旨に沿うものと考えておりまして、今後も参加していく考えであります。またその際、連合とは連携をとりながら対応していきたいというふうに考えております。以上が、私の冒頭発言でございます。


■質疑

○大野参議院議員事務所の強制捜索について

【NHK】
冒頭とは別件になるんですが、まず1点目で、安倍派の大野参議院議員の(事務所)に、今日、強制捜索が入りました。これについての受け止めを。

【幹事長】
一連のそういった強制捜査が始まっております。それは警察の動きですので、我々はそういう動きをしっかり見守りたいというふうに思います。捜査の結果、どういう結論になっていくのかということを注視していきたいと思います。

【NHK】
疑惑が続いているからこそ強制捜査ということだと思うんですが、こういう疑惑が具体化していることへの受け止めなどがあれば。

【幹事長】
もう既に十分報道されていた他にも、疑惑のある人はいるわけで、順次そういうことがこれから行われるだろうというふうにと思う。

○柿沢前法務副大臣逮捕について

【NHK】
別件になるんですが、柿沢前法務副大臣が、今日選挙違反の疑いで、逮捕されたと報道がありました。これについても受け止めを。

【幹事長】
逮捕に至ったということであれば、身の処し方を、しっかり自分で判断していただきたいというふうに思います。議員として適切なのかどうか。もちろん柿沢さんの方は柿沢さんの違法な金ではないと、配ったのはですね、いう論理かもしれませんが、私はそれは破綻してるというふうに思っております。しっかり我が身を省みて、見直しの仕方を考えてもらいたいというふうに思います。

【朝日新聞】
柿沢氏の逮捕に関しては、国会議員が地方議員だったり、その自分の選挙区の中のですね、政治家に金を配るというような行為そのものが やっぱりこうしたあの疑惑の事件を招くのではないかと思うんですが、こうしたことに関しても、もう少しこう立憲民主党として規制なりをするという考えはないでしょうか。

【幹事長】
1つタイミングはあると思いますね。もう選挙の直前だったということで疑惑が募ってるわけです。ただ地方議員を支援するということ自身は否定されるべきものでないので、きちっと領収書をとって、疑念の残らないような形で支出をすると。 当然、それは収支報告に配った国会議員の側も、受けた地方議員の側も載せて報告するということであれば、全てダメだということにはならないんだと思います。

○衆院島根1区補欠選挙について

【フリー】
来年4月下旬に補欠選挙になるかと思います。島根1区の補欠選挙に立憲民主党として臨む姿勢を教えてください。

【幹事長】
ぜひここは勝利しなければいけないところだというふうに思います。亀井さんも、頑張って活動してもらってます。私も2月の初め頃、島根に行く予定にしておりますが、そこから始まって、しっかりと党としても後押しできる体制を作っていきたいというふうに思います。

【フリー】
確認ですが、もう、亀井さんが候補予定者ということで、ほぼ決定ということでしょうか。

【幹事長】
形式的にはまだなんですけれども、もう実質的には、総支部長でもあるわけですから、そうなる可能性が極めて高いというか、(県連から)申請が上がってくれば、私たちとしてはすぐそれを認めるつもりでございます。

【フリー】
他の野党への推薦の依頼といったことは、どうなりそうでしょう。

【幹事長】
まあ、そういう話はこれからですね。

○政治資金パーティーについて

【フリー】
それからもう1点、政治資金パーティーに関してですけれども、立憲民主党の中では、岡田さんと、松木謙公さんと、小沢一郎さんと、3人の議員だけだと思いますが、毎年同じ時期に大体同じ人にお願いをする政治資金パーティーを個人後援会で開かれてるかと思います。この法律案を出して成立してといった中で、岡田さんご自身はどうされますでしょうか。

【幹事長】
3人だけっていうのはちょっと、多分違うと思います。もっと幅広いというふうに思います。法案が通れば、それに従っていくということになります。

○次期総選挙について

【東京新聞】
仕事納めの時の幹事長のご挨拶の中でですね、 今まで、かねて次の選挙で議席を増やして、その次の次で政権交代を目指すと言ってきたが、私はもうその考えを捨てている、次の選挙こそ勝負だというお話がありました。他の公の場で同じ説明されていたら大変恐縮ですけれども、この間、そのお考えを少し変えられた背景について教えてください。

【幹事長】
この会見の場でも、そういうことはもう既にお話をしております。強大な与党に対して、まあしっかり力をつけてというふうに思っておりましたが、与党がこういう状況で、まあ長すぎた、自民党、自公政権に対する国民の批判も高まっています。野党、もっとしっかりしろと、そういう声だと思っています。その声に応えていかないといけないと、この国の政治がこれ以上おかしい状況を続けていくわけにはいかないというふうに思ってます。

○政治改革について(1)

【北海道新聞】
話題変わりまして恐縮なんですけど、冒頭の発言での政治改革について、政治改革本部の拡充ということ言及されたんですけれども、具体的に拡充っていうのがどういった意味なのかを、可能な範囲で教えていたいただければと思います。

【幹事長】
それは決まった時にご報告します。

○連合・芳野会長の発言について

【時事通信】
冒頭にあった連合の芳野会長の発言についてお伺いしたいですけれども、連合の芳野会長からは、こうした会合に参加することで、組合員の説明など、連合の中での負担感が高まっているような話もあったんですけど、この辺についてどう捉えられているか、お考えをお伺いできればと。

【幹事長】
この間、連合とは色々と意思疎通を図りながらやってまいりました。連合の選挙に臨む方針とも齟齬を来しているわけではありません。もちろん個々人に見れば、いろんなご意見あることは事実だと思いますが、それは連合の中でもしっかり説明してもらいたいし、私たちも、説明をしていかなければいけないと。

○ミッション型内閣について

【時事通信】
別件でもう1つお伺いしたいんですけれども、先日泉代表が提唱された、いわゆるミッション型内閣についてなんですけれども、これについて幹事長としてはどういうふうに考えるかの考えについて、(幹事長も)思いを共有されているのか、その辺についてお伺いできればと。

【幹事長】
(代表が)言われたことは重いというふうに思います。ただ、とにかくまずはこの政治改革について、しっかり野党がまとまって、与党に対して譲歩を迫っていくということが大事だと思います。その他のテーマもあります。それぞれ国会の場で、テーマごとにフォーメーションは変わるんだと思いますが、なるべくまとめて課題解決のために臨んでいくという。その先にあることまでは、ちょっと現時点で私自身は見通しがしにくい状況だと思います。

【時事通信】
泉代表の発言を聞いてると、維新の会だとか国民民主党との連立も視野に入れてるような印象も受けるんですけれども、その他の野党との協力、連立の形、もしくは候補者調整について、どうお考えになってるのか、お伺いできれば。

【幹事長】
連立を視野に置いてるというふうには私は思っておりませんし、先般、私の名前で、皆さんには注意喚起をしたところです。

【共同通信】
今の質問に少し関連するんですけれども、来年の通常国会は、もう政治改革国会になるというふうに思われますけれども、日本維新の会や、国民民主党、他の野党との連携、そのあたりはどうお考えでしょうか。改めてお聞かせください。

【幹事長】
それぞれお考えあると思いますが、なるべくまとまっていった方がいいというふうに思っています。ただ、我々は主なところでも法案出していますので、 文通費については維新も国民も一緒にという形ができてるというふうに思いますが、パーティーとか献金のところについて、維新や国民はどう考えられるのかというのはですね、お互い意見を交わしてみないと、同じ形でできるかどうかはわからない。なるべく揃えていった方がいいとは思います。

【共同通信】
テーマごとにそれぞれ連携できるところと連携して与党を追求していくと、そういうお考えということでしょうか。

【幹事長】
予算委員会のレベルでは、法案の中身というよりは、法案はもちろん今もう出してますので、それは当然あるわけですけれども、まあそれをベースにしながら、しっかりと説明責任を果たさせていくということが大事だと思います。

○普天間飛行場の辺野古への移設について

【共同通信】
話題変わりますけれども、沖縄の普天間飛行場の辺野古への移設に関してなんですけども、本日、国が沖縄県に代わって代執行に踏み切ったんですけれども、これについて受け止めをお願いいたします。

【幹事長】
沖縄とのコミュニケーションは完全に不足しておりますし、この制度は、そういうものではないはずで、国が地方自治体に対して、それをオーバーライドするような、そういう結果になっているっていうのは、地方自治の観点から見ても非常に問題がある、そういう対応だと考えています。

○政治改革について(2)

【朝日新聞】
政治改革に戻るんですけれども、自民党の方も年明けには、党の中に直轄組織を作り、政治改革の議論をするという話がありますが、現段階でなかなか見通しづらいかもしれませんが、何らか議員立法であったりということで、(自民から)一緒にやらないかと呼びかけがあった場合、どのように自民党と向き合うか、お考えありますか。

【幹事長】
議論をすることはやぶさかではありませんが、ただ、私たちの案は、(企業団体からの)献金・パーティー(券購入)の全面禁止ということであります。そこまで自民党が歩み寄れるのかどうかというと、かなり疑わしいと思います。それから、政策活動費についても、私はこれなどはすんなり認めて、政治家個人への寄付は認めないというふうにすべきだと思いますけれども、まあ何十億も毎年毎年そういう不透明な使い方をしている自民党です。 果たしてですね、そこまで歩み寄れるのかと、かなり疑問ですね。まあ、でも、公明党なんかは 逆に乗れるかもしれません。いろんな形で追い込んでいきたいというふうに思ってます。

【朝日新聞】
今のその政策活動費なんですけれども、党で議論するとおっしゃいましたけれども、基本的にはもうこれは無くす方向でということですか、それとも透明性を高めるということですか。

【幹事長】
それはまさしく党の中で議論するんですが、透明性を高めるって、特別高めようがないですよね。議員個人にポンと何億も何十億も渡して、その後は全然出てこないわけですから。それはやっぱり政治資金規正法の趣旨、国民が広くそれをチェックできるということで、透明性を確保していくという趣旨に反するという議論が出てても不思議がないというふうに思います。私個人はそういうふうに考えておりますので。党の会議で皆さんの意見を聞いてみたいというふうに思ってます。

○万博予算について

【東京新聞】
政府が、先日、万博予算の全体像を示して、国費負担は約1600億円と公表しました。御党が予算委員会や予備的調査などの手法も使って、明らかにするよう求めていたのに応じたということだと思いますが、今回の政府からの説明で、万博予算の全体像というのは示されたというご認識かどうか。あとは、まだ不足している部分、ここはどうなんだろうという問題意識等ありましたら。

【幹事長】
詳細を承知しておりませんので、これで十分かどうかはわかりません。それから、そもそもそれ万博の経費なのか、IRの経費なのか、万博にかこつけて、IRのためのインフラとか、そういうものを整備しようとしてるというふうにも考えられます。そう考えると、まだ、地盤強化対策とか、そういうIRの部分については、当然、そこに含まれてないわけですから、そういうことも含めて、そしてIRの是非について、全体像を示して、しっかり議論しなければいけないというふうに思ってます。これ、万博の話だけではないと。

【東京新聞】
インフラの整備には、民間と自治体、それから国、合わせて、9兆7000億円使われるということも合わせて公表されました。このうち国費の割合などは、まだ示されていないんですけれども、こういったものも、政府はより詳しく明らかにしていった方がいいでしょうか。いかがでしょうか。

【幹事長】
今まで言われるまで説明してこなかったですよね。それだけの経費がかかる。もちろん、それは万博のためだけということではありませんけれども、しかし、万博終わった後、そこは更地になるわけですから、じゃあ、何のために作るのかということになりますよね。それだけの多額のお金がかかるということがちゃんと説明されていれば、おそらく万博やるべきじゃないっていう議論、もっと盛り上がったはずですね。それをこう、覆い隠すようにして、少ない経費で、必要最小限のものだけ示して進めてきたということは、非常に問題だというふうに思います。

(以上)