泉健太代表は1月4日、党本部で年頭の記者会見を開き、(1)能登半島地震(2)羽田空港衝突炎上事故(3)自民党派閥裏金問題――等について発言しました。
■能登半島地震
泉代表はまず、1日に起きた能登半島地震により被災された方に哀悼の意とお見舞いを述べました。現段階で被害の全容が判明しておらず、救助が行き届いていない状況について、「一刻も早い人命救助・捜索に向けて全力を尽くしていただきたい」「立憲民主党としても政府に全面的に協力すると伝えてある」と発言しました。また、党対策本部の設置、党石川県連を軸に国では対応が難しい支援物資などの準備、募金活動の開始を報告しました。昨年12月に中央共同募金会へ寄付した所属国会議員全員の賞与増額分、約1500万円については、あらためて災害支援等に活用してほしいと述べました。本日(4日)開催予定の国対委員長与野党会談においては、考えられる今後の国会運営について協議するとしました。
■羽田空港衝突炎上事故
羽田空港で起きた日本航空と海上保安庁の航空機の衝突炎上事故について、泉代表は亡くなられた海上保安官5名に哀悼の意を述べました。その上で、関係機関は再発防止と混乱の早期解消について取り組んでもらいたいと述べました。
■自民党派閥裏金問題
東京地検の捜査が進んでいる自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題について、「本人の認識がある議員は、自ら説明してもらい、政界から一度身を引くことが正しい選択」と述べました。また、自民党内で、再発防止に向けた新たな組織の設置や政治資金規正法改正を検討する動きについて、「裏金を作るといった考え方でやられてしまうと、どのような法律でも通り抜けてしまう」「安易な改革でお茶を濁すことがないよう、自民党議員のけじめが必要」と問題視しました。その上で、「地震の対応はどんな政権にせよ全力で取り組まなければならないが、岸田政権を早期に変えていくことに、われわれとしても準備を進めたい」とし、引き続き、政治改革に取り組む姿勢を強調しました。
泉健太代表年頭会見
2024年1月4日(木)13時00分~13時20分
発行/立憲民主党役員室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/W7oVwsANZPU
■冒頭発言
■質疑
■冒頭発言
○令和6年能登半島地震
【代表】
年頭会見を、当初は伊勢神宮を参拝後に予定をしていましたけれども、予定が変更になりまして、この能登半島地震でですね、今はこの支援、救出に全力を尽くすということで、立憲民主党も対策本部を設置を、すぐさまですね、1月1日設置をいたしまして、現地とのやり取りを始めております。
この能登半島地震において、亡くなられたすべての皆様のご冥福をお祈りをして、そして、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。この能登半島を中心に、まだまだ被害が判明していない、完全に救助はしきれていないという状況であります。今は一刻も早く、この人命の救助、捜索に向けて全力を尽くしていただきたいと、このように思っています。すでに政府の方には、立憲民主党としても全面的に協力をする、このことを伝えてあります。様々情報が民間からもSNS等でももたらされてるところもありますし、そして立憲民主党としても、現地に活動している議員や仲間たちがおりますので、そういったところからもたされた個別の連絡が、途絶された集落ですとか、様々な情報についても、都度政府に集約をしているということであります。そういったこと、引き続きこれからも取り組みをしてまいりたいと思います。
また、次第に立憲民主党石川県連は金沢に事務所がありますけれども、そちらの方にも情報集約して、そして場合によっては、必要な物資で、なかなか国レベルでは対応できない細かなものですとか、きめ細やかなロットというものもあるかもしれません。そういったものが、我々ができる範囲、また現地が許す範囲で支援物資なども届けていきたいと、このように考えております。引き続き、この現地のニーズに合わせて、我々自身も行動してまいりたいと思っております。
また昨日から党としても、募金活動を始めております。ちょうど昨年の末、立憲民主党としては、所属国会議員全員のボーナスの増額分について、これを12月にですねえ、共同募金会に募金をさせていただいております。約1500万円ほどでありますが、これはまさに、その後の災害支援等々にお使いくださいということでも、募金をしておりますので、そういったものもご活用いただきながらではありますが、改めて立憲民主党として、全国の仲間たちにこの募金の呼びかけもしているということであります。
この国会での対応ということ、もちろん国会には、災害特等々があるわけですけれども、まずは政府の人命救助を最優先にして、その後に、徐々に次のフェーズに移っていく中で、被災者の支援ですとか、そういったものが必要になってまいります。そういった時においての国会における対応ということで、まずは今日国対委員長同士が与野党会談を行いますけれども、国会の今後の運びということで、与党の側とどういう運びが考えられるのかということについて、協議をさせていただきたいとこのように考えております。
○東京国際空港(羽田)における旅客機炎上事故
【代表】
また、羽田空港において2日にJAL機と海上保安庁の飛行機が衝突をするという事故が発生をいたしました。改めて、この海上保安庁の飛行機に乗っておられた5名の職員の方々に哀悼の誠を捧げたいと思います。本当に痛ましいい事故でありました。
改めて、これは運輸安全委員会、かなり専門的な領域でもありますので、関係機関の調査、また捜査を待って、今後対応していくことになりますが、再発防止に向けて、また混乱の早期解消ということについても取り組んでいただきたいと思っております。
○自民党派閥における裏金問題
【代表】
また昨年来、いわゆる裏金問題ということで、東京地検特捜部で捜査が進んでいます。このことについては、このこととして、やはり政治の側で、しっかりけじめをつけねばならないことであるわけでありますので、まず、自民党の既に裏金でですね、ほぼ本人としても認識のある議員においては、これはやはり、政界から一度身を引いていただくということが正しい選択であると思います。自ら説明をする、そして1度身を引いていただく、そういうことが大事であって、捜査に対しても協力をどこまでしているのかということがなかなか掴めない状況の中でですね、一方で、自民党の中では、新しい組織を作るだとか、政治資金規正法の改正をするだとか、少し的外れとも言える方向性で話が進みかねないと思っておりますので、改めて、この(政治資金規正法上収支報告書に記載する金額の)限度額を引き下げるそのものが今回の裏金問題の解決ということではないんだということはですね、明確にしておかなければいけないということであります。どんな法律にしようが裏金を作る、うその考え方で物をやられてしまったら、どんな法律も通り抜けてしまうわけであって、今回の自民党の裏金問題っていうのはそれぐらいに深刻で、根本的なことをやられたんだということですね。今回の自民党の問題は、法律を厳しくしたから守れるとか、解決できるという問題ではなくて、それすらも突破をしたとんでもない行為をしてしまったんだということはですね、改めて申し上げねばならないと思っておりますので、決して安易な改革でお茶を濁すということがないようにせねばならない、自民党の議員のけじめ、これが必要である。岸田総理の指示、説明責任、任命責任というのもそうですけれども、こういったものを問わねばならないと、このように思っているところであります。
○ミッション型内閣
【代表】
またこうした自民党の裏金問題に関してですね、立憲民主党としてはもう自民党の岸田内閣に正当性はないということで、野党による政権を構成すべきだということを、今こそ野党が立ち上がるべきだということを、昨年も、年末申し上げてまいりました。まあ改めてですが、この地震の対応ということは、どの政権にせよ全力で取り組まなければなりませんが、この岸田政権を早期に変えていくということについて、我々としてもその準備を進めてまいりたいと思います、 維新の会ですとか、国民民主党の方も様々なことをおっしゃられておりますが、ミッションは明確でありまして、当然ながら、震災対応、被災者支援というのはそれはどんな政権であっても、全力を尽くして取り組んでいくのは、もう当たり前のことであります。
そして、裏金、腐敗政治を根本から変えるということで、政治資金規正法の改正、これを言ってきました。さらには私たちが言っているように、教育の無償化ですとか、トリガーの凍結解除ですとか、こういったこともぜひ取り組みをしていきたいと。また、考えてみたら、防衛増税に対する反対というものも、野党各党の共通した項目でもあったと思いますから、そういったものも、しっかり取り組めば良いと思います。これを憲法に関する考え方がどうのこうのだとかということで、やらないと言っているようではですね、いつまでたっても政権交代はできない。
今の自民党政権を変えるということにおいて、10年先に変えますということではあまりに遅すぎるというふうに思いますので、改めて国民が何を望んでいるのか、何を求めているのかというところで、憲法改正から何から全てを新しい野党政権に求めるということで私はないと思いますので、政治改革を必ず行う、そして教育の無償化ですとか、このトリガー(凍結解除)、また防衛増税の廃止、こういう国民生活に直結した優先事項をまずやるんだと、そこで一致結束をするということができれば、その後の選挙区調整ということも十分可能ではないかと。まずはこの政策の合意ということについてですね。ぜひ互いにすべてを盛り込もうではなくて、虚心坦懐にそれぞれ思いをですね、新しい政権を作るというところに、1つにまとめていくということがまず私は必要なことではないかと考えております。
■質疑
○ミッション型内閣について
【時事通信】
代表が、最後の方におっしゃっていた、ミッション型内閣という言葉で説明しておられる連立政権についてなんですけれども、確認ですが、連立政権を呼びかける対象の政党というのはどこになってくるんでしょうか。
【代表】
現在は野党各党という形でお話をしています。これはですね、どこだけということではなくて、様々な形で閣内に入る入らないいろんな考え方はあると思うんですが。それでもですね、今の自民党、公明党の連立政権を変えようと思うならば、何らかの形でそれぞれの野党が役割を果たすということだと思いますので、今、呼びかけとしては、野党各党ですね。
【時事通信】
そのうえで、先ほど選挙区調整という言葉もあったんですけれども、これまで、選挙区調整を積極的に進めるという方針だったんですけれども、とりあえず今はそれは脇において、まずどのミッションで政権を取るかということを話し合っていく、こっちを先にするという考えなんでしょう。
【代表】
今までもそうでしたよ。何もないのに選挙区調整っていうのは、これはやっぱりなかなか考えられない話ですから、あくまでやれること、目指す目標というものがあって、もちろんこれまでも自民党の政権を変えるんだということにおいて、それのみで選挙区調整なるものが行われていたのかいないのかっていうと、明確に行われていたわけでもないんですけれども、やはり、共通する政策、そういったもので一致ができれば、選挙区調整っていうのも本格的に進んでいくことだと考えています。
【時事通信】
そのうえで、例えば日本維新の会さんとは90ぐらいの選挙区で競合しているという状況ですが、どのようにこの選挙区調整というのを進めるのか。
【代表】
だから、いくつ競合してるってのは、今全く関係ないですね。まず、やれることが一緒にあるのかどうかということだし、政権交代をしていく覚悟があるのか、また人材がいるのか。今の時点では我が党に政権交代ができる人材がいませんと言ってしまうのは、私はちょっと悲しいなと思いますし、維新さんだって決してそんなことはなくてですね、若手も随分育っておられるでしょうから、何もですね熟練工の、もう当選10回ぐらいじゃないと政権を担えないなんてわけでもないし、当選5回ないと政権を担えないなんていう話でもありませんから。改革の志があってですね、本気で政治を担える、政権を担える気持ちがあるのであれば、それは今からでも私は、政権を構成することは維新のメンバーでも可能ではないんじゃないかなと考えています。
【時事通信】
そうすると連立政権を組んででも政権交代を実現すると、それは次の総選挙でと考えているということでいいですか。
【代表】
それはやっぱり次の総選挙でですね、我々としては1日も早い政権交代。ただまあ、現時点で立憲民主党単独ではそれを果たせるだけの候補者がまだ揃っていませんので。年末も言いましたが、自民党や公明党の中から今の政治ではダメだという方々が出てくるんであれば、それももちろん、そういった意味での勢力として一緒にやれる可能性もあるかもしれないとこのように考えてます。
○政治改革について
【共同通信】
政治改革について、与党主導でお茶を濁すような話になってはならないということを代表おっしゃられました。通常国会では政治改革が1つ焦点になるかと思うんですけれども、これに向けて野党としてどのように議論を主導していくのか、あるいは、他の野党とどのように連携していくのか、意気込みを聞かせてください。
【代表】
年末の時点では3つのことを要求していました。政倫審の開催、そして閉会中審査、そして小泉法務大臣の辞任と、この3点ですね。改めてですが、年変わってでも、自民党の側、特に新しく就任した国対委員長に3点に応じる気持ちがあるのかどうか、ここをよく見定めなければならないと思っています。そして、この国会、野党としてやはり共通してですね、自民党ではいい法律は作れないと思ってますから、できる限り、共通した案作りということに努力をしていきたい、力を割いていきたいと考えてます。
○野中広務元衆議院議員の7回忌について
【フリー】
早いもので野中広務先生がお亡くなりになって7回忌となりますが、墓参するご予定とかあるかということと、何か野中さんから学んだことあるか、お伺いできればと思います。
【代表】
同じ京都の大先輩とも言える国会議員の方であります。また、地方自治にも大変詳しかった先輩でありますけれども、私が野中広務さんについてやはり印象に残るのは、1つはオウム事件ですね。官房長官を退任された後も、長年慰霊に参列をされていたということを思い出します。そういった意味で、責任感と情に溢れた方であったと考えております。また引退される直前でしたけれども、私は一緒に訪中団で、野中訪中団と言われましたけれども、超党派で当時の民進党、また共産党の穀田議員も含めてですね、訪中をさせていただいたことがあります。その時にもやはり両国の間に様々なことがあっても、平和を、友好関係を継続させていかねばならぬのだということについては、かなり強くその信念を持っておられたというのを感じております。そういった意味では、その単に与野党ということで与党ばかりを重宝するのではなくてですね、常に日本政治全体のことに目を配られていた方ではないかと思っております。私自身がですね墓参の予定というのはございませんけれども、大変私自身もご指導いただいた方でもありました。
○時期衆議院選獲得議席について
【朝日新聞】
まず1つ確認なんですけれども、泉代表は、150議席が取れなければ自ら退くという目標を、次期衆院選で掲げていらっしゃいますが、この点については今の状況を踏まえても何ら変わりないということでしょうか。
【代表】
はい、変わってません。
【朝日新聞】
裏金問題を受けての、政権の支持率が下がる中、改めて、この立憲を含む野党に、そのまま国民の支持が向かない理由の分析についてお聞かせください。
【代表】
まず1つは、1つの野党で政権を担えるだけのマンパワーを有していない。立憲民主党には、元大臣、元総理も含めて、人材は豊富ではあるもののですね、それでも絶対数が足りないということである。そうすると国民の皆さんからすれば、やっぱり300議席近くを持っている政党だから、政権を担うだけの、政務三役を出せるだけの人数がいるわけで。今、野党どの党も単独でその人数を残念ながら有していないというふうに見られていれば、岸田政権はダメだから単純にこの党にじゃあ政権をという話にはなりにくいということは言えると思います。もう1つ、野党の支持率が低いことの原因というのはですね、なんだかんだ言って自民党は全国津々浦々どこにでも衆議院議員がいる、参議院議員もいるわけですね。しかし、野党は前回の衆議院選挙以降、特に地方に行けば行くほど、自民党の対抗馬をまだ明確に定められていない空白区がたくさんあります。こういった空白区ではですね、日常の活動が行われていない現状があるので、どうあっても、なかなか支持率が出にくいという状況もあります。そういったいくつかの要因がなかなか、今の、単純に内閣支持率と野党の支持率でいってこいにならない、そんなことではないかと考えてます。
(以上)