政治資金問題等をテーマに1月29日、衆参両院の予算委員会で岸田総理大臣と関係閣僚が出席して集中審議が行われ、参院では小西洋之、熊谷裕人両議員が質疑に立ちました。

小西洋之議員

 小西議員は、派閥から議員個人への寄付が違法であるとした政治資金規正法を説明した上で、「検察は(この部分を)捜査していない」と述べ、派閥から議員の政治団体への寄付が合法ななか、会計責任者の虚偽記入罪という「国会議員をすぐ起訴・逮捕できる犯罪は放置し、国会議員を起訴・逮捕しにくい」部分で捜査・起訴をしようとしたと指摘しました。

 小西議員は岸田総理に、安倍派と二階派のキックバック等が所属議員宛か議員の政治団体宛か事前に確認しておき、この予算委員会で答弁するよう求めていましたが、岸田総理は確認したかどうかは明言せず、「起訴されたもの全てが政策集団(派閥)から議員側の政治団体への寄付であると認定をされています」「検察としてどう判断しているのか、これが重要であるとして政府答弁をさせていただいております」と政府の立場で答弁しました。

 小西議員は、違法である議員個人への寄付を合法である政治団体が受け取っていたものとして、明日にも収支報告書の訂正をし、事態の収束を図ろうとしていると指摘。政治資金を所管する総務省には実質的な審査権がなく形式的なものしかないことから、今回の訂正にも外部監査を義務付けるべきだと述べ、岸田総理に見解を問いました。岸田総理は「検察の捜査に基づいて政治収支報告書の修正が行われている」「それをもとに党として説明責任と政治責任について考えていく」と述べるにとどまりました。

 小西議員は、「国民生活が本当に苦しい時に、政治が公明と正義を立てなければならない時に、あなたはその先頭にちっとも立ってない」「いま岸田総理がやろうとしてることは犯罪行為の隠蔽、納税をごまかして脱税のお墨付きを与える行為」だと語気を強め、厳しく指摘しました。


熊谷裕人議員

 熊谷議員は冒頭、「政治とカネ」の問題は、正確には「自民党政治とカネ」の問題だと強調。政治の信頼を回復しなければ、これから審議予定の来年度予算の信頼性にも関わる話だと指摘しました。

 また今後、自民党の国会議員が政治資金収支報告書を訂正すると報じられていることについて、「よもや全額、繰り越し金のような形で修整するのではないか」と釘を刺したうえで、「政治活動として支出したのであれば、どこまで詳細な報告を各議員に求めるのか」と岸田総理に迫りました。これに対し岸田総理は、「(各議員の)訂正の作業等も見ながら、党としてもできるだけ早い時期に対応を判断していきたい」と述べ、総理総裁としての指示ではなく、各議員の作業に委ねる姿勢をにじませました。

 さらに、岸田総理総裁が「宏池会の解散を表明」したことについて、政治資金規正法上は、解散した政治団体の会計は凍結され、60日以内に収支報告書を提出することになっており、「派閥の解散までにすべて(収支報告書を)訂正しておかなければならない」と指摘。来年度予算の審議が始まる前に、速やかに収支報告書の訂正をさせるべきだと迫りました。

 その上で熊谷議員は、自民党の「裏金」に関するさまざまな事例を示しながら、「背任、横領、詐欺の可能性もある」と指摘。特に、自民党参院議員の安倍派グループ「清風会(せいふうかい)」では、参院選の年にはパーティー券の販売分を「全額還流」させていたとされるとして、事実解明のために、会長を務める世耕弘成前自民党参院幹事長の参考人招致を求めました。また、安倍派や二階派幹部の証人喚問も求めました。