衆院予算委員会で2月14日、「政治資金問題等」に関する集中審議が行われ、山井和則、井坂信彦、藤岡隆雄各議員が質疑を行いました。

■山井和則議員

 自民党が公表した、「裏金についての党内アンケート」について山井議員は、「国民の皆さんは大変失望したと思う。アンケートで聞いた内容は金額のことだけで、使い道やなぜ裏金を作ったのかなど、肝心なところはまったく分からない。85人の元現職議員の受け取った裏金の総額は5億7千万円。この(アンケート結果)だけでは裏金の実態は分からない。安倍派の幹部や二階議員を政治倫理審査会に出席させて説明をさせるべきではないか」と強く迫りました。しかし岸田総理は、「関係議員には説明責任を果たすよう促していく。政倫審への出席については国会で判断いただくもの」との答弁を繰り返すのみで、総理・総裁として問題解明に向けた責任を果たしているとはとても言えない答弁に終始しました。

 山井議員は、「問われているのは自民党の判断ではなく岸田総理の判断だ。国会で決めろと繰り返し言うが、それ(関係議員の政倫審への出席)を止めているのは自民党であり、自民党総裁の岸田総理だ」と厳しく指摘して質問を終えました。

■井坂信彦議員

 自民党の甘利元幹事長については、衆院選挙があった2021年10月、わずか35日間の在任期間中に3億8千万円の政策活動費を受け取っていた事実を踏まえ、井坂議員は「幹事長の在任中あるいは年末に使い切ったか」を、事前に確認をして答弁を求めていたことから、この点を質問。自民党総裁として甘利元幹事長に配った岸田総理は、本人に確認することなく「適正に使われているものと認識している」と繰り返しました。井坂議員は、「甘利氏、全国に『裏金』提供か、政策活動費が原資の可能性」と一面で報じた同日朝の一部メディアに言及、19年の参院選挙で当時の甘利選挙対策委員長が、全国各地の党公認候補者側に配った100万円について、使途公開の義務がない政策活動費を使って陣中見舞いとして裏金を配った可能性があるとの指摘を受け、21年の衆院選挙でも違法な裏金として配られていたのではないかと確認を求めました。岸田総理は「政策活動費の中身を明らかにすることは控える。しかし法律には触れているかどうかはあらためて確認をする。私が総裁のときの話なのでその点については確認する」と応じました。

 加えて、甘利元幹事長が接戦だった自身の選挙でも巨額の政策活動費を使い、候補者間の選挙運動の機会均等を図るために採用されている「選挙公営制度」の趣旨に反した、著しく不公平な選挙になっているのではないかと指摘しました。

 さまざまな問題が指摘されている政策活動費については、「禁止」としている立憲民主党をはじめ、各党の改革案で「禁止」または「使い途の公開」との考えが示されているとして、「温存ありきではなく真摯(しんし)に議論に向き合ってほしい」と岸田総理に求めました。

 自民党の聞き取り調査をめぐっては、「最大の焦点は、パーティーの裏金を各議員が個人宛と政治団体宛のどちらの認識でお金を受け取っていたかだ」と述べ、この点を確認。「政治資金収支報告書の修正の仕方として、政治団体から政治団体への寄付であったと判断し修正をしたと認識している」と答える岸田総理に対し、井坂議員は「まったく信用できない。当初、個人宛ての政策活動費だと思っていたから記載しなかったと皆さん証言している。政治団体宛てと言っているなら、聞き取り調査ではなく口裏合わせだ」「まったく不誠実な答弁。この裏金問題が最初に報道されてから3カ月経って名前と金額だけの調査。総理は最初の一歩の真相解明に、まったく後ろ向きどころか意図的に遅らせている、遅延行為をしているのではないか」と断じました。

■藤岡隆雄議員

 藤岡議員は岸田総理に対して「安部派幹部、二階元幹事長が政倫審に出席しない場合、自民党総裁としてどのような対応、処分をするのか」と問いました。岸田総理は「関係者に対しては説明責任を尽くすことを党としても促してきている。全体の説明責任を果たす上で具体的な国会の場における対応も一つの大きな要素になる」とだけ答え、具体的な処分には言及しませんでした。

 藤岡議員は「政倫審に出席しなければいけないという思いが感じられない」「全容解明に思いがないことが分かった」と岸田総理の姿勢を批判しました。

 藤岡議員は、昨日公表された自民党のアンケート調査の結果のうち、裏金を「事務所で保管」が最も多かったことについて、「にわかに信じがたい」「裏金を貯めこんで、事務所に貯めこんで、見つかったら無税の政治団体に逃げ込む」「脱税の疑いを多くの国民は持っている」と指摘し、総理の認識を問いました。

 岸田総理は「政治家個人で資金を受領した例は、現時点では確認されていない」と答えました。

 藤岡議員は、現時点でも政治資金収支報告書の訂正を行っていない自民党議員が多数いることに触れ、「収入を訂正できないなら、政治家個人に収入が帰属していることを自白しているようなものだと」と指摘し、「脱税の修正申告を即座に指示するべき」と岸田総理に求めました。

 藤岡議員は、金丸信元副総裁の所得税法違反について国税局が告発し、検察が起訴したケースに言及し「今回と似ている。総理は政策集団というが、組織的な脱税グループともいえる」と批判しました。

 二階元幹事長の書籍代3500万円問題について内訳を事前に岸田総理に質問通告していましたが、岸田総理は「まずは事情をよく知る関係者から説明すべき」としか答えませんでした。

 藤岡議員は「憲政史上に汚点を残す自民党の裏金問題、総理の全容解明の意思はまったく感じられない」と言い切って質問を終わりました。