衆院予算委員会では、2月26日の午後も集中審議が行われ、岡本あき子、城井崇、奥野総一郎各議員が岸田総理の姿勢をただしました。
■岡本あき子議員
岡本議員は、異次元の少子化対策の加速化プランについて、「政府は着手も遅い、本気度が見えない」と非難し、「子育て支援金」の実質的負担について岸田総理をただしました。
岸田総理が「子育て支援金」に伴う「実質負担はない」と説明していることについて、岡本議員は、「ごまかし、嘘がある」と指摘し、「国民、特に現役子育て世帯に大きく負担がのしかかる」「支援金ではなく負担金だ」と述べました。
岡本議員は、子育て支援金で1000円を超える負担が生じるとの有識者の試算について、その認識を岸田総理に問いました。総理は「加入者1人あたりの徴収額は、粗い試算で月平均500円弱になる」との説明を繰り返すだけでした。岡本議員は、労使折半を踏まえても「年間で2万円以上負担になる」ケースがあると指摘し、総理の「『実質負担なし』にはごまかしが入っている」と改めて指摘しました。
政府の「実質負担なし」の前提となっている歳出抑制について、岡本議員は「サービス縮小につながり、結局は、国民の自己負担増と変わらない」と述べました。
岡本議員は「負担論から逃げずに正面から取り組んでいってほしい」と訴えました。
■城井崇議員
今回の裏金には、税金を納めるべき裏金があるのではないかと国民は疑っていると述べた城井議員は、「雑所得として課税対象となる可能性がある。裏金を受け取った自民党議員は、今回の裏金を脱税していないか」と総理にただしました。しかし岸田総理は、「政治資金については、法令に則り適切に取り扱われることが必要」などと、一般論を答えるにとどまりました。城井議員は、「政治資金収支報告書に収入も支出も書いていなかった裏金は、その入手後に自民党議員個人がその存在を認識して所有していたならば、それは個人の雑所得として取り扱い、ルールにのっとった納税をすべきだ。確定申告をされた国民の皆さんからは、政治家だけ特別扱いか。脱税を許すな、きちんと調べろと怒りの声があちこちで上がっている」と強く指摘しました。
派閥のパーティー券の売り上げを裏金とした疑いのある、自民党議員の衆院議員51人の政治倫理審査会(政倫審)での弁明のあり方について城井議員は、「本日12時から政倫審の幹事会が開かれ、その中で自民党は、『傍聴、撮影・録音、院内テレビ、会議録のいずれも許さない』という完全非公開が提案された。国民に説明責任を果たすと言いながら、完全公開に反対するとは国民への裏切りだ」として、完全公開とするよう、自民党総裁でもある岸田総理に迫りました。岸田総理は、「今関係者が議論を行っている。あらゆる場面を通じて説明努力を促していくことは党の基本的な方針だ」などとし、前向きな答弁はありませんでした。城井議員は、「完全非公開では国民に説明が届かない。引き続き求めていく」と力を込めました。
■奥野総一郎議員
奥野議員は、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受け、自民党が行った聴き取り調査について質問。岸田総理は、安倍派(清和政策研究会)に影響力を持つと言われている森喜朗元総理大臣への追加の聞き取り調査の必要はないとの認識を示しました。その一方で、「この聞き取り調査だけで全てが把握できたものではない」とも答弁しました。
さらに領収書について奥野議員が質問すると、収支報告書の訂正作業が順次行われている中で可能な限り明らかにされるとの認識を示す一方で、聞き取り調査では、還付金等を政治活動費以外に用いたり違法に使用したと述べたものは一人もいないと強調。加えて今回の調査は、支出額ではなく使用目的が重要であることから網羅的に領収書の確認を行っていないと述べ、調査で多くが明らかになっていないことを示す答弁が続きました。
こうした答弁を受け奥野議員は、「やる気がない」と指摘。特に現段階で政治倫理審査会に出席表明のない安倍派幹部の萩生田光一議員と下村博文議員、二階派の二階俊博議員の3名について公開の場での政倫審出席と予算委員会での参考人招致を求めました。さらに予算案通過後に自民党が政治とカネの問題に消極的になることを牽制し、参考人招致が認められない場合には、予算案の衆院通過は困難だと述べました。
防衛増税と子育て支援金の国民負担について、段階的に引上げてそれぞれ1兆円程度となることについて、奥野議員は、「トータル2兆円の負担が新たに国民に加わる。この2兆円は消費税の1%分と同じ。消費税を1%上げるといったら、総理はもっと丁寧に説明する」と指摘。岸田総理は「重要なのは社会保障負担率」だと述べ、分子の保険料負担は歳出改革で負担が増えない、分母の国民所得は賃上げに努めていて、分母が増えることで負担率が増えないことを確実にするものだと考えていると説明しました。奥野議員は、国民にとって大事なのは社会保障負担率ではなくて、財布の中身。手取りがいくら減るかが大事であり必ず減る。そういうごまかしはやめていただきたい」と述べました。