参院予算委員会で3月13日、集中審議が行われ、塩村あやか、羽田次郎両議員が質問しました。

■塩村あやか議員

 塩村議員は、国際売春組織と「悪質ホスト」問題を中心に取り上げ、若年女性に返済困難な債務を負わせる悪質ホストクラブの「ビジネスモデル」の転換や改善の必要性を訴えました。

 塩村議員は冒頭、政府参考人として求めていた露木警察庁長官の出席を理事会協議で自民党に拒否されたことについて、「前例があるだけに残念」と述べました。

 その上で、最近アメリカのホノルルやロサンゼルス、ニューヨークなどの空港で日本人の女性が売春関係者ではと疑われて強制帰国をさせられているケースが相次いでいる記事を取り上げ、こうした事案を把握しているかを確認。上川外務大臣は「関連する邦人からの相談という形で在外公館に寄せられたとの報告は受けている」と答弁しました。

 塩村議員は、こうしたケースではホストクラブに多額のツケを抱えた女性が売春をしている事例が非常に多いとして、悪質ホスト問題との関連を指摘。上川外務大臣は「他に選択肢のない状況に立たされ、性的に搾取されるようなことは人権の観点からもあってはならない。貧困や性暴力被害など女性の抱える問題が多様化、複雑化しているなかで、それぞれの状況に応じた適切な支援が受けられるよう困難な問題を抱える女性に対する支援は強化していくことが重要」との認識を述べました。

 塩村議員は、「悪質ホストクラブは、若年女性の恋愛感情を利用して多額の債務を彼女たちに負わせる。そこにホストやスカウト、エージェントなどの組織が次々と関与していって女性たちに風俗勤務や売春をさせ、若い女性の若い肉体にお金を生ませるビジネスモデルが散見されている状況」だと説明。現地で稼いだお金は「海外売春斡旋エージェント」を通じて日本に闇送金され、さらなる違法活動の原資となっているとして、摘発強化の必要性を指摘。今後国内の社会問題から海外の売春問題に発展しつつあるとも述べ、こうした悪質ホストクラブの「ビジネスモデル」を転換させるため、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法)の見直しや新規立法が必要だと訴えました。これを受け岸田総理は、実態を把握した上で必要な対応を考えていくと答えました。

 茂木派の茂木幹事長はじめ新藤経済再生担当大臣、小泉大臣らが、多額の政治資金を公開基準が緩い政治団体に移動させ、裏金化しているのではないかとの疑惑をめぐっては、疑惑解消に向け求められている帳簿の公開に応じないことを問題視。自民党総務会で了承されたガバナンスコードの改正案には、外部監査や「見える化」の推進、政治資金規正法の違反への厳正な対応とあることから、あらためて総理から帳簿の公開を指示してほしいと要請し、「多くの国民に自民とカネの疑惑をもたれている。公開することが疑念を晴らすことになる」と述べました。

 自民党青年局の懇親会に、肌を大きく露出した女性ダンサーが招かれ不適切な内容の余興があったとされる問題では、企画者が「多様性」をテーマにしたものだと説明していることを踏まえ、「総理が目指す多様性と一致しているのか」と質問。岸田総理は「私、そして私の内閣の目指す多様性とは全く合致しない」と答えました。


■羽田次郎議員

 羽田議員は、自民党青年局の近畿ブロック会議後の懇親会で不適切な公費が使われた疑いについて、公費が使われていないとした具体的な根拠を岸田総理に問いました。「党の組織運動本部において関係者の聴取による」と答え、具体的な根拠を示せませんでした。羽田議員は「根拠がはっきりしない」として、予算委員会での説明を求めました。

 参院に政治倫理審査会を設置して39年にして、明日初めて開催されることに関連して、「国民の政治不信の理由」を岸田総理に問いました。岸田総理は「政治資金は政治活動の土台となるもの。この政治資金がゆらぐと政治自体が揺らぐ」と述べました。羽田議員は「国民が一番怒っているのは、事務局に責任を押し付けて、政治家が責任を負っていないこと」と批判しました。

 羽田議員は、いわゆる「キックバック」が復活した経緯などについて、それぞれの幹部の証言が食い違っていること、安部派幹部の違法性の認識について、岸田総理の認識を問いました。岸田総理は「検察は捜査を尽くした」と繰り返し述べるだけでした。

 羽田議員は、「誰がキックバック再開の指示を出したのか今もって確認できない」と指摘し、森元総理の参考人として証言を求めました。岸田総理は拒否しました。

 裏金問題に関わりながら自民党議員の大多数が起訴されなかった理由について問いましたが、岸田総理は「検察の捜査によって判断したこと」と繰り返すだけでした。

 羽田議員は、「法的に罪に問われなくても政治的、道義的責任は問われる」として、党としての処分内容について確認しました。岸田総理は「適切に判断したい」と具体的な内容については触れませんでした。