参院予算委員会は3月15日に開催され、田名部匡代、石川大我、水野素子各参院議員が質問しました。
■田名部議員
田名部議員は、(1)自民党の裏金問題(2)災害・食料安全保障――について取り上げ、岸田総理らの見解をただしました。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金問題をめぐっては、「まずやるべきは実態解明。総理は努力をしていると言われるが、その努力は何も見えてこない」と批判。14日の参院政治倫理審査会(政倫審)では、審査対象となる32人のうち出席者は3人のみで、その発言内容を含め政治的な責任がまったく果たされていないと問題視しました。
また、裏金議員が修正した収支報告書は、不自然な支出や「不明」記載が多いなど納得できない、国民に対しては許されないものだとして、党の責任で外部監査をすべきだと要請。「検察による捜査を経た上で事実が確認され修正が行われた」と繰り返し答弁する岸田総理に対し、田名部議員は「長年収支報告書に記載していないだけでも違法。それを訂正した。その中身は領収書があるかも、誰がチェックしているのかも分からない。誰がどのように裏金作りを始めたのか、国民の信頼を取り戻すべく本気になってやっていただきたい。森元総理にも、電話1本で確認できるのになぜその確認すらしないのか。そういう姿勢を示していただき、あらためて国会全体で政治の信頼を取り戻す。そのためにわれわれもしっかりと協力、努力はしたい」と述べました。
農業問題についてはまず、東日本大震災から13年、能登半島地震も含めて災害のたびに食料難が繰り返されていることに、自治体任せにすることなく食料備蓄の確保に努めてほしいと求めました。
その上で、首都直下型や南海トラフ等の巨大地震等への対応として、例えば首都直下型のような地震では政府としてどの程度の食料確保が必要だと考えているかと質問。岸田総理は、「発災から3日間は家庭等備蓄と被災地方公共団体での備蓄で対応することを想定し、国によるプッシュ型支援の必要量については、発災後4日から7日までに必要となる量として1都3県において約5300万食程度の備蓄支援を見込んでいる」と答えました。田名部議員は、最大生産力を持つ関東地域が計画停電などの影響で食料供給が難しくなる可能性も踏まえたシミュレーションが必要との考えを示しました。
田名部議員は、「最大の生産能力を持ち、備蓄で災害時に最も頼りになるのはお米。小麦や大豆は暑さに弱い。日本の強みである米を食料安全保障の柱にしなければならない」と強調。平時から再生産可能な農業を考えるべきだと述べ、「なぜ国内需要に合わせた米生産しか考えないのか。徹底して日本の強みである米を生かさなければならない。それが国土保全であり、環境保全であり、日本の農業、食料安全保障を守ることだと私は思う」と訴えました。
2050年までの主食穀物需要・国内生産・ギャップのシミュレーションによると、2040年に現状プラス200万トンまでギャップが拡大し、さらに輸入に頼るしかなくなると指摘。政府が進める水田畑地化事業にも疑問を呈し、「水田を畑地化した場合、直ちに水田に戻すことは難しい。ここが大きな分岐点。ここで政策を間違ったら日本の農業は本当にダメになる。今まで必死でやってきた農家の皆さんに報いていただきたい」と再考を求めました。
民主党政権時に作った農業者戸別所得補償制度では、他よりも利益を出せず赤字経営が多い米生産において、効率化や規模拡大しない方々も含めて支えることで、食料安全保障が確保できたと主張。岸田総理には、日本の農業食糧安全保障を本気で守っていく新たな仕組みを考えることが責務だと述べました。
■石川議員
石川議員は、(1)自民党青年局による「過激ダンス懇親会」問題、(2)同性婚を認めないのは違憲とした札幌高裁判決――などについて質問しました。
自民党青年局が「過激ダンス懇親会」を「ダイバーシティ(多様性)」をテーマに開催したとしていることについて石川議員は、LGBTQ当事者として怒りを表明。自民党和歌山県連内で動画撮影者の「犯人探し」が行われていると報じられいることについて、「告発者に不利益があってはならない」と岸田総理総裁に要求しました。岸田総理総裁は、自民党青年局の上部組織である党組織運動本部で聞き取り調査を行うとして従来通りの答弁に終始しました。
札幌高裁が14日、同性婚を認めていない民法などの規定は憲法に違反すると判断したことを踏まえ石川議員は、「同性婚を導入すべきではないか」と岸田総理に迫りました。これに対し岸田総理は、「現段階では確定前の判決であり、また他の裁判所に同種訴訟が継続していることから引き続き、この判断も注視してまいりたい」と述べるにとどめました。
■水野議員