立憲民主党・農林水産キャラバン隊(隊長・田名部匡代参院幹事長)は3月16日、宮城県色麻町・仙台市青葉区を訪れました。
田名部議員は農協青年連盟との意見交換の最後に「(政府は)農業が大事と言いながら農業予算は増えていない。防衛力は大事だが、食べ物がなかったらそもそも命を守れない。食料安全保障なくして国を守ることはできない。皆さんからの声を聞かせていただき、闘うところは一緒に本気で闘いたい」「現場に呼びつけて、ぜひ地元の議員にぶつけていただき一緒になって真剣に考えていきたい」と語りました。
このキャラバンは、「農政の憲法」と言われる「食料・農業・農村基本法」の改正案が今国会で審議される予定であることから、全国各地の農業現場を訪問し、各地で得た地域の声を党の政策に反映させ、地域と一緒に新しい農林水産政策を作っていく取り組みです。
今回は和牛の繁殖農家で飼育の現状を視察。その後、農業関係者、農協青年連盟とそれぞれ意見交換、勾当台公園市民広場で行われていた「食べて応援しよう!in仙台」(主催・農林水産省東北農政局)を見学しました。同隊隊長の田名部匡代参院幹事長、同事務局長の徳永エリ参院議員、岡本あき子、鎌田さゆり衆院議員、石垣のりこ参院議員、柳沢剛・宮城3区総支部長、後藤咲子仙台市議らが参加しました。
■和牛の繁殖農家を視察(色麻町)
和牛の繁殖農家を営む橋本拓未さんの案内で牛舎を視察。繁殖用の母牛を飼育し、産まれた子牛を一定期間育てるという「繁殖農家」の基本的な仕事内容から、実際の育て方、飼料の高騰、飼料用米・デントコーンを導入する場合の問題点、積雪地域なので梁を増やしており他の地域と比べ材料費がかかることなどについて話を聞きました。
■農業関係者と車座集会(色麻町)
色麻町の集会所で農業関係者と意見交換を行いました。関係者からは、「このままではみんな農地を手放し原野になってしまう」「農地を維持するより、新たに建設予定の工場などに土地を売ってしまったほうが楽かもしれない」「5年経ったら本当に食料危機になる」「AI化、スマート農業にした方が良いと言われるが買えない」など、今の農政についての不満と危機感、今後継続していけるかの不安の声を聞きました。
■「食べて応援しよう!in仙台」を見学(仙台市青葉区)
勾当台公園市民広場で開催していた「食べて応援しよう!in仙台」を見学。岩手・宮城・福島3県54店舗が名産品を出品。来場者から話を聞いたり、宮城を代表するホヤ貝を使った唐揚げを食べたりしました。
■農協青年連盟との意見交換(仙台市青葉区)
宮城県JAの若手農家が組織する「宮城県農協青年連盟」の皆さんと意見交換。立憲民主党が昨年6月に農林水産大臣に申し入れをした「食料・農業・農村基本法の見直しに関する提言」について徳永議員から説明を行い、その後、参加者から党への要望や農業政策についての質問などを受けました。
価格転嫁ができていないので進めていただきたい、戸別所得補償制度のバージョンアップをしてもらいたい、バラマキではなく頑張っている農家をより支援して欲しい、農業だけでは食べていけない農家への支援、農業・林業・水産業のどこに力をいれているのか、繁殖農家で規模拡大のため農地を使いたいが手続きに時間が掛かりすぎるので簡素化してもらいたい――といった話がありました。その中で6次産業化について分かりやすく教えてほしいという質問に徳永議員は、「私たちが民主党時代に考えていたものは、農家所得を増やしていくことを考えていた」と語り、絞った生乳を使いチーズやアイスクリームを生産することなどを例に挙げました。一方で自民党は農商工連携で全体の利益を膨らませていくことだと述べ、考え方の違いを説明しました。
意見交換の終盤に徳永議員は、「われわれ立憲民主党は、生産者の立場に立ち農業をしっかり強いものにしていきたいと思っている。自民党が考えているのは儲かる農業。収益性の低い、効率の悪い農業は駄目だといった考え方で規模拡大、企業参入、参入障壁を全部取り除く、生産調整を廃止するといったことで競争を促し、弱い者が淘汰され、強い農家だけが残っていくという農政をずっとやってきた」と指摘。「新聞の切り抜きの数字をお配りしましたが(農協関係予算、農業従事者、農地面積、農業産出額、生産農業所得、食料自給率など)全て下向きで良くなってるものは何もない。だから今回の改正で、私たちは農業者の声を聞きながら、農家の皆さんが希望を持って安心して営農を続けていける基本法にして、農家をしっかり支えていく、そういう政策にしていきたい」と語りました。
岡本議員は「稼げばいいという発想だけで農業政策が進むとすれば本末転倒。私たちが徹底してこだわっているのは、安全保障を考えた上での食料自給率向上。農地・里山、地域を守ることを誰が担っているのか。農業・林業・漁業の方々が一番に担っているところなので、国益を守る観点での農業政策に取り組んでいきたい」と語りました。
鎌田議員は、選挙区の泉区の例を挙げた上で「仙台市を俯瞰してみた時に、どこが調整区域で、どこが市街化区域なのかをちゃんとやっていかないと、このままでは政治家の圧力でまちづくりのゾーニングができなくなってしまう。中央の政権交代も必要だが、地方でも、いろいろな議員とお付き合いをされていると思うが、その方々がどのような活動をしているのかをぜひ注視していただきたい」と述べました。
石垣議員は、「いろいろな工夫をして、より良いものを消費者に届けるというマインドは絶対的に大事」だとした上で、戸別所得補償制度など税金が投じられることに心苦しさを感じるのであればもう少し広い視点で考えてもらいたいと述べ、投じられた税金が皆さんの手元に渡った後、銀行に預ければ銀行が活用し、そうでなければ、事業に投資もできるし、生活費として使うこともできる、そうしてお金が動くことで経済が回ると説明しました。
柳沢総支部長は、1カ月前に総支部長に就任してから元県会議員と一緒に地元の農家を訪問していると語り、今回の意見交換の話をしっかり肝に銘じていく、皆さんからの声をたくさん聞き、勉強し活かしていくと語りました。
後藤仙台市議は、「これからも一般質問などで農業の問題をずっとやっていきたい」と語り、今後も意見交換する機会をいただきたいと語りました。他の市の出席者からの指摘もあり、それぞれの地域の市議・県議も含め、地元地域の直近の課題などを意見交換する場を作っていくことが決まりました。