参院決算委員会が4月1日に開かれ、2022年度(令和四年度)決算について、田名部匡代議員、横沢高徳議員、岸真紀子議員が質疑を行いました。

■田名部議員

 田名部議員は、「いまだ事実が明らかになっていない」自民党の裏金問題を追及しました。

 田名部議員は、現在行われている自民党内でのヒアリングについて「聞き取りの対象者、ヒアリングでどういう事実が明らかになったかを公開すべき。その上でなければ、処分の適正性が判断できない」とヒアリング内容を公開するように求めました。

 岸田総理は「ヒアリング対象者が誰かは事前に公にしない」と明らかにしませんでした。

 田名部議員は「全くと言ってよいほど事実が判明していない」と再々指摘しましたが岸田総理は「明らかになったこともある」と国民の認識と乖離した答弁を繰り返しました。

 田名部議員は、自民党の裏金議員の政治資金収支報告書の訂正が「一般社会では許されないような訂正の仕方。『不明』『不明』『使途不明』ばかりのひどい内容がたくさんある。第三者のチェックを入れるべき」と訴えました。

 岸田総理は、「道義的責任、政治的責任も判断。追加の聴き取り調査を行っている」を繰り返しました。

 「キックバックはいつから始まったのか。裏金の仕組み、何に使っていたのか。政治家はまったく知らなかった。秘書が勝手に預かって支出していた。それが本当ならば、政治倫理審査会で説明したいと思っている議員がいたかもしれない。多額の裏金もらって議員の確認もないまま支出する。こんな勝手なことを事務局が行うことは考えられない。事情がさまざまならその事情も含めて事実を明らかにすべき。そちらに権限はない。こちらの求めに応じて答えるべき」と田名部議員は強く訴えました。

 岸田総理は「検察による法律と証拠に基づく捜査を尽くした。国会において事実の解明の努力がされてきたが、それを踏まえた上で政治家としての追加の聴き取り調査を行っている」との答弁を繰り返しました。

 田名部議員は「そういう答弁を聞かされてきた。国民が納得できる説明責任を果たした人がいると思っているのか。とかげのしっぽ切りをして早く済ませたい。それで許されるのか。許されない。一部の議員を早く処分してしまえばそれでいいだろう、こんな考え方で終わらせたら、また同じことを繰り返す。立法府に身を置きながらとんでもないことをしてきた」と語気を強めました。

 田名部議員は「今こそただすチャンス。これこそ与野党一致して信頼回復につとめなければならない。本気で改革が行われると信じられるように総理の責任でやってほしい」と岸田総理に訴えました。

 田名部議員は、食料アクセスの確保に向けた支援についても政府の姿勢を質しました。

■横沢議員

 横沢議員は、「子育て支援金」について質問しました。予算成立前の予算員会において、国民が負担する支援金の試算資料を岸田総理に提示するように再三求めたにもかかわらず、予算成立後に試算資料を公表し、さらに国民1人あたりの負担額が450円であるかのように報道されていることについて、「負担をお願いする国民に対し、誠実とは言えない」と政府の姿勢を問題視しました。

 その上で、加藤鮎子内閣府特命担当大臣に「(政府の資料にある)共済組合950円とは、事業者と被保険者1人あたりの折半といった考えでいいのか」「国民健康保険の最高額を納めている人の負担額」について、確認しました。加藤大臣は「共済組合の950円は被用者1人あたりで労使折半後の数値」と答え、国民健康保険の負担額については「試算の詳細は定まっていない。いずれの(医療保険)制度においても令和10年度の支援額は令和3年度の医療保険料額の4から5%と見込まれる」と答えました。

 横沢議員は加藤大臣からの説明も含め、岸田総理に「ちゃんとした数字で国民に提示するべき。資料を読み解くと国民負担が増えていくという理解になる」と説明を求めました。岸田総理は「共済組合の被保険者1人あたり950円については被保険者が世帯分を払っているわけで、その世帯の部分をまとめて支払っている額。加入者1人あたりの平均で言うと500円弱といった説明は矛盾しない」と答弁しました。

 横沢議員は「国民としては今支払っている金額に対し、負担がどのくらい増えるのか実際の金額が知りたい。わざわざ世帯の人数で割って、1人あたり『このくらい』といったところまで計算していない。自分の場合は実際どれくらい負担になるのかをわかりやすく説明する必要がある」と岸田総理に苦言を呈しました。

 横沢議員はその他、「自民党の裏金問題」、「障害者差別解消法(4月1日施行)」、「食料安全保障」等について質問しました。

■岸議員

 岸議員は冒頭、裏金の額が自民党で最多の3526万円である二階俊博元幹事長について、自民党が「処分しない方向だ」と報じられていることについて、岸田総理に対し事実確認を行いました。これに対し、岸田総理は「今現在、判断の内容、方向については何も決まっておりません」と述べるにとどめました。岸議員は、「裏金金額が最も多い議員であって、その当事者を処分しないと国民は納得しません」と釘を刺しました。また、参院政治倫理審査会において「記憶にも残っていない」と答弁していた自民党の世耕弘成前参院幹事長が、2022年3月に安倍派幹部の会合があったと認めた一方で、「キックバックについての協議ではない」と「明確に記憶している」と指摘。岸議員は、世耕前参院幹事長は「嘘に嘘を重ねている」として、「(自民党で)20年間も続いてきた悪しき還流をこの際、すべて明らかにすべき」と岸田総理に迫りました。

 また岸議員は、令和4年度(2022年度)決算について、1兆円の「ウクライナ情勢経済緊急対応予備費」は「不使用額が100%、まったく使われていない」と問題視。政府は「速やかに、緊急的に対応するため予備費」を計上すると説明していたが、「1円も執行しなかったのは理解できない」と強調。「あまりにも(予算の)見積りと積算が雑過ぎる」と指摘しました。

 さらに岸議員は、「決算審査を重視する参議院」として昨年、令和3年度決算議決において、4項目の警告を内閣に対し行ったが「いまだに問題が発生している」と指摘。4項目の警告決議のうちの2項目である、名古屋刑務所の刑務官による不適正処遇事案、防衛省・自衛隊におけるハラスメント事案について、いまだに問題が発生しているとして、「対策のためにはトップが姿勢を示すことが重要だ」と岸田総理をただしました。