立憲民主党子ども・若者応援本部とジェンダー平等推進本部は4月4日、「SRHR(性と生殖に関する健康と権利)についてフランスの先進事例視察報告と日本への提言」を議題に合同ヒアリングを行いました。お話しいただいたのは、NPO法人女性医療ネットワーク理事長の池田裕美枝さん(産婦人科医)、同ネットワーク理事の宋美玄さん(産婦人科医)、社会調査支援機構チキラボの荻上チキさんの3名。一行は昨年10月、フランス国内のSRHR関係施設を視察調査されました。

 開会で主催者を代表してあいさつした泉健太代表(子ども・若者応援本部長)は、「多様性ある社会のフランスにおいて性の自己決定権や選択権はどのように守られ、サポートされているか、それは共助なのか公助なのか、あるいは自己責任なのか、そういったことを日本社会と照らし合わせながら考える機会にしたい」と述べました。

 同じく主催者の西村智奈美ジェンダー平等推進本部長は、「性と生殖、健康に関する自己決定をどう日本で確立できるのか、また、女性と子どもの命を守るために日本の法制度はどうあるべきか、本日のヒアリングを参考にしながら政策に結び付けていきたい」とあいさつを行いました。 

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池田裕美枝氏

 ヒアリングで池田裕美枝理事長は、SRHR関連各施設での聞き取りや、現地のジャーナリスト、医師、研究者らとの情報交換を通じて得た知見として、「中絶」「避妊」「出産」の無償化に関する取組み、DV被害者支援、子どもへの虐待対策、「性の自己決定権」へのアクセス向上、子どものメンタルヘルスの向上、性的マイノリティの安全支援について具体的に説明されました。

宋美玄氏

 また宋美玄理事からは、今回の視察で得られた知見から日本のさまざまなSRHR上の課題と向き合うための5つの提言((1)避妊・中絶についての環境改善、(2)包括的性教育&性的同意教育、(3)思春期精神保健センターの充実、(4)Transgender and gender diverse 支援、(5)SRHRを日本から世界へ)について説明がありました。

荻上チキ氏

 荻上チキさんは「『子ども・若者応援』という枠組みの中に、実はSRHRはすべて置き換えて進めることができる。フランスの事例のいくつかを日本版として導入できないかと考えている」と述べました。そして「小さな困りごとを放置するとより大きな困りごとになる。避妊のタイミングで困りごとを抱えた人を放置すれば、その人は今後子育てのタイミングでも困りごとを抱え、それは虐待、暴力、DVなどいろいろな困りごとに繋がる」と述べ、早期介入と初期費用の投入が当事者の権利を守ることになると訴えました。

 ヒアリングには、衆議院から近藤昭一、大西健介、岡本あき子、早稲田ゆき、堤かなめ、馬場雄基の各議員が、参議院から川田龍平、古賀千景、村田享子の各議員が参加し、活発な質疑応答が行われました。

SRHR(性と生殖に関する健康と権利)についてフランスの先進事例視察報告と日本への提言.pdf