衆院法務委員会で4月12日、共同親権を導入する政府提出の民法改正案に関連して、立憲民主党等の提案の修正案が提出されました。米山隆一議員から提出者を代表して修正案の趣旨説明がありました。修正案に対して寺田学議員が質疑を行いました。質疑終局後に採決が行われ、立憲民主党は「修正案には賛成」「修正部分を除く原案に反対」の立場で、道下大樹議員が討論を行いました。賛成多数で原案と修正案が可決しました。

 採決に続き、米山議員が立憲民主・無所属、自民党・無所属の会、公明党、日本維新の会・教育無償化を実現する会の4会派共同提案による附帯決議案を提出し、政府及び最高裁判所に対し本法施行に当たり格段の配慮をすべき事項として、12項目の内容を読み上げ、賛成多数で可決しました。

立憲民主党等提案「民法等の一部を改正する法律に対する修正案」.pdf

民法等改正案に対する附帯決議.pdf

◆寺田学議員による質疑

 修正案のうち「子の監護に関する広報啓発」と「父母の双方の真意に出たものであることを確認するための措置」を附則に盛り込んだ趣旨を質問しました。

 米山議員から「離婚に当たって監護者又は監護の分掌のメリット、デメリットを知らせることに意義があると考える。監護者又は監護の分掌、養育費、親子交流といった子の監護に関する事項を取り決めておくことが極めて重要。そこで離婚を考えている各家庭がそれぞれの事情に応じた子の監護についての必要な事項の取り決めを行うため、その重要性について父母が理解と関心を深めることができるよう、政府に対し、必要な広報啓発活動を行うことを求める趣旨」、後者については「協議離婚に際し親権者を定めるにあたっては、子の利益を確保するため、経済的に強い立場の配偶者が他方の配偶者に強制的に迫ることによって真意に基づかない不適切な合意がなさせることを防ぐ必要がある。真意に基づく合意があって、子の利益にかなうよう適切に実行することができるようになる。真意から出たものかどうかを確認するために、どのような措置がありうるか検討し、必要な措置を求める趣旨」と答え、具体的には、提出者としては「離婚届けの書式を見直し、意味を理解しているかを確認する欄を追加することを想定している」と述べました。

 寺田議員は「この国会の審議を通じて、立法者の意思を示すことが重要」と述べて、これまでの委員会審議の答弁を確認しました。

 「何年もケアしていない、養育費も払っていない、コミュニケーションも取っていない。だけれども、 共同親権になった途端に介入をしてくる、あるいは妨害的なことをしてくるということになれば、 それはそもそも共同親権者としてふさわしくない、あるいは共同親権を行使するにふさわしくないという判断が十分裁判所において成り立ちます。(4/5 山井和則議員に対する小泉大臣答弁)」
 「父母同士のけんかによって、子の心身の健全な発達を害するような場合には、子の利益を損ねるという意味で、単独親権になる場合があると考えられます。(4/5 寺田学議員に対する局長答弁)」
 「養育費の支払い実績があるという事実のみをもって裁判所が必ず父母双方を親権者と定めるというわけではありません。(4/9 寺田学議員に対する局長答弁)」
 「子が意見を表明した場合には、その意見を適切な形で考慮することを含むものであります。(4/2 公明党・大口議員への大臣答弁)」
 「例えば親権者を変更するような手続の場合、子供の人格尊重権というのがありますので、子供がこちらの親を親権者にしたいという強い声があれば当然それは聞き入れられることになるというふうな形で、この趣旨がしっかりと生かされていけば、多くの子供の意見を徴することが可能になると思います。(4/9 共産党・本村議員への大臣答弁)」

 

 その上で、寺田議員は、これまでの委員会答弁、附帯決議等の取扱いについて質問しました。

 最高裁判所は「委員会で明らかにされた改正の趣旨と内容を裁判官、関係職員に的確に周知する。それを踏まえた適切な裁判を行う」等と答えました。

 寺田議員は面会交流について「現在の家裁はニュートラルフラットの立場だが、今回の法改正によって、原則面会交流に変容するのではないか」と問いました。法務省は「本改正は、変更するものではない」と答えました。

 最後に寺田議員は、「関与し続ける必要性を感じた」と述べ、党として本法案に関与し続ける強い責任と姿勢を強調しました。

◆道下議員による討論

 道下議員は、本法案の策定過程において、全会一致が慣例の法制審議会で採決、付帯決議がついた異例の経緯に触れ、生煮え、玉虫色の民法改正案が今国会に提出されたと指摘しました。

 離婚後共同親権の導入について「賛否、双方の意見が存在しているが、われわれが指摘する問題点や懸念が委員会審議を通じても多く残されたままだ」と述べました。

 道下議員は「子の意見表明権の確保の重要性」を挙げ、「急迫の事情」の具体的内容が曖昧な点、監護者の定めの義務付けがなされていないデメリット、子に対する支援が減少する等不利益となるおそれ、合意型共同親権であってもDV等のケースが紛れ込む危険性、非合意型強制共同親権では子や父母一方を危険にさらすリスクが高まる可能性――等について述べました。

 そして、道下議員は「共同親権導入に伴い、裁判や調停が発生することとなるが、家庭裁判所の体制が今でさえ十分でない」と懸念を指摘しました。

 以上のことから「修正部分を除く原案」に反対を表明しました。

 続いて、これらの不安、懸念を払しょくすべく、立憲民主党が求めた修正項目案を最低限盛り込んだ修正案について「原案のまま運用させることによって生じる被害を少しでも減らせることができる」とし、賛成を表明しました。