衆院予算委員会で4月22日、岸田総理出席のもと集中審議が行われ、岡田克也、石川香織、江田憲司、大西健介各議員が質疑に立ちました。

■岡田克也議員

 岡田議員は冒頭、海上自衛隊のヘリコプター2機が墜落したことについて、お悔やみとともに事故原因の究明と行方不明となっている方々の徹底した捜索を政府に要望しました。

 日米首脳会談については、「アジアのパワーバランスが変化する中で、アメリカを内向きにしない」という点では評価するとしつつも、岸田総理が米連邦議会の上下両院合同会議での演説で、平和には「覚悟が必要」と述べたことの真意をただしました。

 岡田議員は、麻生自民党副総裁が台湾海峡で戦争を起こさないためには「戦う覚悟」が必要と発言していたことも念頭に、「軽々しく覚悟という言葉を使うべきではない」と指摘。岸田総理が「日本は米国の最も近い同盟国」とも演説したことについて、岡田議員は「アメリカとイギリスの同盟よりも、日本とアメリカの同盟の方がより近いのか」とただしましたが、岸田総理は「比較したつもりはない」として明確な答弁を避けました。

 これを受け岡田議員は、岸田総理の米連邦議会での演説は「(存立危機事態ではない)フルスペックの集団的自衛権の行使ができるかのような印象を与えたのではないか」と指摘。「(イギリス同様の武力行使という)期待が高まりすぎると、いざという時に大きな失望につながりかねない」とただしました。

 裏金問題については、もはや自民党だけではなく「(投票率の低下など)日本の政治の危機」だとして岡田議員は、岸田総理には「危機感が足りない」と指摘。その上で、「安倍派の裏金は、いつ、誰が、どのように始めたのか」を明らかにするよう求め、(当時の派閥の会長である)森元総理への電話での聞き取りについて「記録はあるのか」とただしましたが、岸田総理は「記録はございません」と答弁しました。

 これに対し岡田議員は、「総理、もっと危機感を持ってください」「誰が信じますか」「そんなことでは本当に沈んでしまう、この国は」と語気を強めました。

 政策活動費の廃止については、岸田総理が「外部監査の導入やデジタル化による透明化」について言及する一方、「政策活動費の改革」については明言していないとして、「こんなことをやっていたら国民の信頼は戻らない」と強調。さらに、自民党以外は政策活動費について考え方を示しているが、自民党だけは「議論すると言うだけで、何も具体策を出さない」と追及しました。

 また、自民党本部だけでなく、都道府県連や支部においても「(名称に関わらず政策活動費が)個人に渡っている」として、「(県連幹部等の)個人から個人へ渡すのは違法」であり、「本当にメスを入れないと、国民の政治不信は止まらない」と岸田総理に迫りました。

■石川香織議員

 石川議員は、先日19日、衆院を通過した「食料・農業・農村基本法改正案」に関する一次産業の問題、「子ども子育て支援金」について岸田総理に見解をただしました。

 農家戸数が20年前と比べて6割減、農家所得が物価高の影響で昨年は2割減であったことに言及し、農家の経営持続には所得対策が不可欠であるとし、立憲民主党が所得の確保による経営安定の重要性を修正案に盛り込んだものの、与党が反対したと述べました。石川議員は、「価格転嫁できないことが農家の所得を圧迫している。価格は市場で所得は対策でと考えるのが重要」とした上で、あらためて、農家の規模に関係なく所得を底上げする「個別所得補償制度」を取り入れるべきと主張。収入の見通しがつくことで、将来的に機械の投資の計画も立ち、農家の意欲向上にもつながると述べました。政府の農家所得の認識については「現場と乖離している。円安・物価高に追いついていない」と、政府の対応が不十分だとしました。

 岸田総理は、「配合肥料コストの抑制策など用意がある。物価高騰対策は責任もって行う」「中長期的な生産性の向上や高付加価値化などを進めていく」「合理的な価格形成の仕組みの法制化も視野に入れる」と答弁しました。

 また、石川議員は、所得対策の重要性は漁業においても同様とした上で、残念なから岸田政権から漁業対策が見えてこないと指摘しました。

 子ども子育て支援金について、石川議員は「支援金という名の負担金」だと指摘。「税や借金ではなく歳出努力で財源を拠出する」「実質タダ」だといまだに繰り返し答弁する岸田総理に、隠し増税だと指摘した上で「実際はタダではない。2026年度より給与から容赦なく天引きされる」と強調しました。また、社会保険料として事業主負担が増えることにも、本来なら賃上げに回るはずのお金を総理が「賃上げを阻害しない」と発言すること自体に、「理解に苦しむ」と政府の姿勢に苦言を呈しました。

■江田憲司議員

 江田議員は(1)財政運営と保有資金(2)自民党の裏金問題に関連して岸田総理の責任(3)政策活動費――等について岸田総理を追及しました。

 江田議員は、政策活動費について「領収書の要らないお金として自民党内で運営されてきたのではないか」と問いました。岸田総理は「目的を定めた上で支出するものだが、使用については法律に定めはない。税務当局との関係においても、しっかりと説明ができる状況にしておく」べきだと答えました。

 江田議員は、「領収書を書類で示さなければ脱税になる」と述べ、政策活動費には闇があるとして「選挙期間中は法定上限があり、上限に違反の可能性がでてくる。公民権停止、政治資金収支報告書の不記載罪にもなりうる」と示し、「政策活動費の闇はいくつもあって、究極の裏金。法律違反の可能性があるから裏で配っている。脱税、選挙中に配る、公職選挙法違反、政治資金収支報告書にも書かないような金、政策活動費はやめるべきだ」と訴えました。

 江田議員は「年間14億円の使途不明金の『自民党は脱税、国民は増税』では、この国は立ち行かなくなる」と強調しました。

■大西健介議員

 「機能性表示食品による健康被害」について取り上げた大西議員は、冒頭で、「醤油や味噌など、日本の伝統的な発酵食品に使われている麹や紅麹色素は、今回問題となっている紅麹とは別のものなので、国民の皆さんは風評には惑わされないようにお願いしたい」と注意喚起をしました。

 大西議員はその上で「機能性表示食品という制度は、アベノミクスの成長戦略の中で、米国のダイエタリーサプリメント制度を手本に作られた。世界中に似た制度はあるが、届出のみで表示できるのは日米のみ。しかし米国と違い、健康被害の報告が義務化されていない。命と健康に関わるものであり、原因究明も大事だが、今国会中に法改正を行い、報告を義務化するべきだ」と岸田総理に迫りました。しかし岸田総理は、「政府の検討会で議論している。今後この制度の在り方を含めて5月末に取りまとめるのでそれからだ」との答弁に留まりました。

 大西議員は、「5月末の結論を待っていたら今国会中ではできない。今すぐやらないと第2の事件が起きてしまう。危機感が足りない。立憲民主党は今、改正案の議員立法を準備しているので賛同してほしい」と訴えました。