衆院本会議で4月25日、「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約(通称:GIGO設立条約)」に対する代表質問を篠原豪議員が行いました。
冒頭、篠原議員は、4月20日に発生した海上自衛隊のヘリコプター2機の墜落事故について、亡くなった方にお悔やみを述べるとともに、行方不明者の早期救助を求めました。また、昨年から自衛隊のヘリ事故が続いていることにも触れ、政府に徹底した原因究明と早期防止策を行うよう求めました。
篠原議員は、日本が同盟国の米国以外と初めて戦闘機を共同(英・伊・日)開発するGIGO設立条約について、(1)FSXの苦い教訓、(2)自主開発の問題、(3)第6世代戦闘機の開発能力、(4)日英伊以外の参加国、(5)日本主導の国際共同開発、(6)GIGOへの職員派遣、(7)武器輸出の問題――等について政府の見解をただしました。
篠原議員は、戦闘機の国際共同開発が今回で2件目だとした上で、1987年の米国との次期支援戦闘機FSXの共同開発では、F16がベースとなったにもかかわらず、開発費3200億円超すべてを日本が負担したこと。さらには日本側の技術は無償で米国に提供したものの、米側が担当した基幹部分の設計は日本には開示されず、改修すら自由にできずに運用面においても制約があったことなど、FSX開発の苦い経験からの教訓を踏まえた政府の総括、今回の開発について政府の見解を木原防衛大臣に問いました。
また、これまで日本が国産開発を視野に日本独自の試験用戦闘機エンジンを載せた先進技術実証機「心神」を初飛行させ、試験飛行を何度も行うところまで行ったにもかかわらず、政府がなぜ自主開発を断念したのかについても説明を求めました。
木原防衛大臣は、「当時は国産の戦闘機エンジンの開発技術が確立されておらず米国製エンジンを採用したが、戦闘機の開発を主導するためにはエンジン技術をはじめ主要な技術を国内で保有していくことが重要であるとの教訓を得た。次期戦闘機においては将来にわたり適時適切な改修の自由度を確保するとともに高い即応性等を実現する国内生産技術基盤を確保し、わが国主導の開発を進めていく」「断念した理由については、実現可能なスケジュール、コスト等のさまざまな観点から英国・イタリアとの共同開発が最適な選択肢であると判断した」と答弁しました。
次に篠原議員は今回、共同開発するF2戦闘機の後継機であるFXに求められているのは、現在最先端の第5世代を大きく上回る戦闘航空能力の開発だとし、2023年までに日本が第6世代戦闘機の開発可能な基盤を持っているのか。また、F2後継機の国産化を断念した背景に、三菱重工が税金投入したMRK開発に苦戦した状況もあり、能力はあるが自主開発にはリスクが大きいと判断したものなのか、防衛大臣に問いました。
木原防衛大臣は「国内に必要な基盤が確立できていると考えている」「民間のプログラムの状況が影響した事実はない」と答弁しました。
篠原議員は、英国・イタリアとの次期戦闘機の共同開発にあたり、3カ国それぞれが2035年頃に配備を目指す次期戦闘機の開発プログラムを有し、開発時期が重なるため、対等な立場で開発に参加ができることや、開発費を分担することで、総額5兆円を超えると言われる経費負担も軽減されるとしたメリットがある一方で、日本が目指す次期戦闘機の要求性能を満たすためには、わが国が主導権を確保することが必要だと主張しました。
最後に篠原議員は、GCAPに関わる完成品を日本からパートナー国以外の国へ直接移転を可能とする閣議決定を行ったことに言及。武器輸出に係る長年の基本方針を移転したことに対し、「武器輸出三原則に代表される政策は平和国家としての日本の基本政策であり、与党の密室協議だけで転換すべきものではない」と批判しました。その上で、改変には国民的な合意が不可欠だとし、国会において問題点を洗い出し、武器輸出に関する基本政策をまとめるべきと政府の姿勢をただしました。