立憲民主党は4月25日、「外国人労働者安心就労法案」(正式名称:外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案)を衆議院に提出しました。

 外国人一般労働者は、これまで技能実習・特定技能等の在留資格で多数受け入れられてきました。技能実習制度は、実習生(労働者)が出身国の送り出し機関に多額の債務を負担し、転籍が制限され、監理団体と受入企業の癒着が排除されず、低賃金・ハラスメントなど劣悪な条件・環境での労働を強いられ、失踪者が相次ぐ等、深刻な人権侵害を引き起こしました。

 政府は、制度の抜本改正を行うとして、今国会に技能実習制度を発展的に解消する法案(通称:育成就労法)を提出しています。しかし、政府案では労働移転・監理に民間団体が介在するしくみを残し、人権侵害が引き起こされる要因が除去されていない等、抜本改正とは程遠い内容となっています。

 本法案は、過去の実例から悪質な民間団体を排除しきれないとの認識の下、求職・雇用は公的機関を通じて行い、労働者支援も公的機関が行うこととして、適正な受入れ・雇用管理の実現を図るものです。受入れ後の外国人労働者との共生については、一昨年6月に提出した「多文化共生社会基本法案」でしくみを定めており、本法案と併せて、適正な外国人労働者受け入れと多文化共生社会を実現する道筋を示すことが可能となります。

 法案提出後の会見で、筆頭提出者の階猛衆院議員は、「単に労働者不足を補うだけでなく、待遇を改善することはもちろん、人権にも配慮し、 外国人との共生社会を作っていく。そういう多角的な面で、われわれの法案の方が優れていると確信している」と本法案の意義を語りました。

 石橋通宏参院議員(外国人受け入れ制度及び多文化共生社会のあり方に関する検討PT座長)は、「技能実習制度は、諸外国からは奴隷制度と強い批判を受けてきた。しかし、残念ながらこの問題は長年にわたって放置され、 多くの希望を持って日本に来てくれて、頑張ろうと言ってくれた外国の若者たちが人権侵害などさまざまな被害に遭い、逃げざるを得ない状況になっている」と技能実習制度の問題点を指摘しました。

 今回の政府案については、「技能実習制度の根本的な問題の解決に全くなってない。看板のかけかえだけで、技能実習生が多額の借金を背負う問題について、送り出し国側で抜本的な対策もされていないし、日本側でも監理団体が看板を変えて残り続けるということであり、政府案ではこの問題の解決にはならない」と批判しました。

 また、政府提出の入管法改正案に含まれている「永住許可の取り消し制度」について、「永住権の剥奪問題が突然入ってきたことについては、重大な問題認識を持っている。中長期で頑張りたいと言っていただける方が、明日どうなるかわからないということでは、安心して日本で活躍してもらえない」と批判し、本法案は政府案と異なり、安定的な中長期の在留を可能にする制度設計であると説明しました。

 さらに、本法案については、「私たちの案は、政府案と根本的に理念、思想、発想、制度が違う。民間の悪質なブローカーが介在してしまうような制度は廃止し、公的な制度に完全に切り替え、外国人労働者に対して国内の労働者と同等の待遇を確保できる制度として提案した。(わが党の案が成立すれば)今後安心して外国の皆さんに日本に来ていただいて、中長期に安定的に日本でご活躍をいただける」と政府案との違いを説明。

 また、すでに提出している「多文化共生社会基本法案」と本法案によって、多文化共生社会をしっかり作り、未来の安心を作るというまさに立憲民主党らしい提案であることを強調しました。

 法案提出者は、階猛(筆頭提出者)、近藤昭一、山井和則、中島克仁、井坂信彦、早稲田ゆき、道下大樹、吉田はるみ、鈴木庸介、渡辺創各衆院議員です。

外国人労働者安心就労法案【概要】.pdf

外国人労働者安心就労法案【要綱】.pdf

外国人労働者安心就労法案【比較表】.pdf

外国人労働者安心就労法案【法律案】.pdf