参院本会議で5月10日、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案」について質疑が行われ、高木真理議員が登壇しました。
高木議員は、「育児休業法の初施行が1992年4 月、介護が加わり育児介護休業法になって、介護部分の施行が1999年。それから四半世紀以上経ち、合計特殊出生率は、1992年の1.50から、20022年は1.26まで下がった。家族の形も変わり、少ない子どもで親を介護する時代になった。女性は20歳から60歳までの間、有配偶者でも年代を問わず75%前後の労働力率で仕事を持つようになっている」と経緯を説明し、「こうした中で、育児・介護と仕事の両立支援策の更なる充実が必要であることは論をまたないが、本改正案には、少子化や介護離職の実態を正面から見据える危機感が本当にあるのかと疑問を持たざるを得ない」と述べました。
高木委員は、以下の問題点等について質問しました。
(1)育児休業制度を充実させてきても、男性の育児参加は 22 年度で17.13%と思うように進んでいない現実が少子化に与えている影響について質問。武見厚労大臣は「男性の育児休業制度が直接的に少子化に影響を及ぼしているという統計はないが、両立しずらさがある」と述べました。
(2)育児・介護によりそれまでの仕事を離れる人々の人数と経済的損失について質問。武見厚労大臣は「離職者は約14.8万人、介護監護10.8万人。2030年には約9兆円の損失との試算がある。いずれにせよ、個々の労働者の事情に関わらず、誰もが活躍できることが企業社会全体にとって重要だ」と認識を述べました。
(3)高木議員は、「日本ではパートで社会復帰する女性が、不可欠の安い労働力として想定される経済になっているのだとしたら、そこから変える必要がある」と訴え、改正案における「柔軟な働き方」について、働く人が選べるのは、1種類だけでなく、いくつかを組み合わせる等、本改正案の「柔軟性」の拡充を求めました。
(4)高木議員は、子の看護休暇について、小学校3年生までに延長されるのは方向としては歓迎するとした上で、年齢制限、日数の拡充を求めました。
(5)高木議員は、介護休業と介護休暇について、「もっと利用しやすい制度への見直しをすべき」と訴えました。
(6)介護離職防止に向け介護サービスを維持する必要性と方策に関連して、高木議員は、今回の介護の報酬改定で、訪問介護の基本報酬の引き下げがあり、事業者からは倒産の危機を懸念する声が上がっていると指摘し、立憲民主党が国会に提出した「訪問介護緊急支援法案」「介護・障害福祉事業者処遇改善法案」の成立の必要性を強調しました。
最後に、高木議員は、「長時間労働が常態化していては、育休も介護休業も絵にかいた餅」と指摘し、「働く人の人間としての営みの側面を大切にするなら、長時間労働の現場を許していてはならない」と訴えて質問を終わりました。