立憲民主党つながる本部は5月15日、オンラインで「第6回つながる塾」を開催しました。同塾はさまざまな分野で活躍する方々と国会議員によるトークイベントで、今回のゲストは「NPO法人WELgee」の渡部カンコロンゴ清花さん。渡部さんが代表理事を務める同法人は、紛争・迫害などから逃れ日本にやってきた難民たちが、経験や専門性を生かして希望を持って日本で人生を再建するために「就労・キャリア」に特化したプログラムを展開する団体です。その活動から見えてきた世界の中の日本、そしてご自身の思いについて存分に語っていただきました。聞き手は辻元清美つながる本部長代理と石川大我参院議員(党多文化共生プロジェクトチーム事務局次長)が務めました。

渡部カンコロンゴ清花さん

20240514 つながる塾発表資料 渡部カンコロンゴ清花さん.pdf

 渡部さんは冒頭、幼少期や大学生時代のバングラデシュでの経験を振り返り、「国家が守らない、守れない国民はこの地球でどうやって生きることができるのか」というのが自分自身の最大の問いだったと語りました。そしてその後、東京で出会った多くの難民の若者が、まさにその問いに直面している人たちと知ったこと、それを周囲の友人に話しても「日本に難民なんているの?」というのが一番多い反応だったことなど、WELgeeを立ち上げるまでのさまざまな経験を語りました。

 日本の難民の実情について渡部さんは、難民認定される数がとても少なく、認定結果が出るまでの期間が平均で4年弱ととても長いことなどから、断絶と孤独の日々に堪えられず、身の危険を感じて脱出したはずの故国に帰らざるを得ない人が毎年いると語りました。その一方で、それでも「誰もが宗教やジェンダー、文化に関係なく、可能性を発揮できる機会を平等に与えられるはずだ」と信じている難民が今も日本にいると述べ、「われわれに何ができるんだろう」という思いから、2年ぐらいかけて、難民ホームステイ、対話プロジェクト、緊急シェルターづくり、小中高校への出張授業、企業・自治体での研修など、さまざまなプロジェクトに取り組んだと語りました。

出典:朝日新聞Globe、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)Refugee Data Finder、法務省発表資料

 そしてそのような中から、難民人材が日本の企業で活躍するためのプログラム(企業に専門業務として雇用されれば一時的な残留資格から「就労ビザ」に切り替えられ安定して日本に滞在できる)にたどり着き、この取り組みを通じて38件の就労に繋がったことなどを紹介しました。難民申請中の不安定な在留資格から、ホワイトカラーの在留資格へ、命綱である在留資格をどう取得していくのか。渡辺さんは難民認定の代替案を生み出す重要性と必要性を強調し、「難民認定されるべき人とがきちんと保護されていくのが王道だが、日本だけじゃなく世界中でそれが追いつかない今、その他の方法、オルタナティブな方法をどれだけ社会の中で見いだせるかに挑戦している」と語り、締めくくりました。

 講演後、視聴者から寄せられた意見について渡部さんや辻元代理が感想が述べ、石川大我議員からは立憲民主党の多文化共生に関する法案について説明がありました。