衆院本会議で5月21日、出入国管理法などの改正案が賛成多数で可決、参院に送られました。

 採決に先立ち鎌田さゆり議員は、立憲民主党提出の「外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案」(通称「外国人労働者安心就労法案」)に賛成、政府提出の「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案」「出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案」に反対の立場で討論しました。外国人労働者安心就労法案は、(1)人材不足の産業分野や地域の活力向上と多文化共生への寄与(2)日本で就労する外国人の人権尊重・職業生活の確保と希望に応じた職業能力の開発――の2つを基本理念としたもので、技能実習制度のもと賃金が低く劣悪な労働条件で働かせる事例が横行する現状を踏まえ、「日本が外国人の方々に選ばれる国となり、多くの方々に来日していただき、より長期間、安心して就労・定住することができ、経済界のみならず農業・漁業の現場からも喜ばれる」法案だとあらためて意義を強調しました。

 その上で、政府の外国人技能実習法改正案については「国際的にも批判されている技能実習制度の『看板のかけ替えに過ぎない』と言わざるを得ない内容」だと批判。特に、「故意に公租公課の支払いをしない」場合等に永住者の在留資格を取り消す条項は、有識者会議での議論がないのみならず、委員会質疑でも立法事実が明らかになっていないとして、「税の滞納の場合は、国籍の違いに関係なく現行法で公正に対応できるし、対応している。永住外国人にだけ、永住資格の喪失という、その生活の基盤の根幹を失わせる極めて重い罰則を課すこととなるこの条項は、極めて差別的で人権侵害の恐れがある不当なものだと言わざるを得ない」と断じました。

 さらに、季節性のある分野を対象として派遣労働を認めていることにも、育成就労外国人の立場が不当に不安定なものとなり、労働条件が悪化する懸念があると指摘。「海外から一時的に働きに来てもらう単なる労働力扱いのままで、どこが抜本改革なのか。低賃金や不安定な労働環境が失踪や人権侵害につながってきたことを、政府は学んでいるのか」と訴えました。

 法案審議と並行して、立憲案に基づいた9つの修正項目を示して修正協議を呼びかけた結果、自民党、公明党、日本維新の会、立憲民主党の4会派で、永住外国人の永住資格の取り消しにあたって支払い状況や生活状況などに十分配慮することなどを附則に盛り込むことで合意、附帯決議の内容も含めて、一定の成果があったことには敬意を表明。しかしながら、修正部分を除く政府案は、来日前の高額な初期費用や監理費の負担や、家族帯同の長期制限、悪質ブローカー介在の問題点など、根本解決に至らない点が色濃く残り、多文化共生社会実現への意思が見えないとして、反対を表明しました。

 また、在留カード等とマイナンバーカードの一体化に関する入管法等改正案についても、「立法趣旨に疑問があるだけでなく、プライバシー保護の観点から疑念が残るものと言わざるを得ず、反対する」と述べました。

20240521 入管法討論原稿 鎌田さゆり議員.pdf