参院内閣委員会で5月30日、岸田総理出席で子ども・子育て支援法などの改正案の質疑が行われ、塩村あやか議員が(1)就職氷河期が少子化に与える影響(2)若年層の労働力流出、若い女性の婚姻による海外流出が少子化に与える影響(3)出産費用の保険適用――等について見解をただしました。

 塩村議員は「東京に若い女性が集まり、そこで出生率が下がる負のスパイラルに陥っている。人口80万都市が毎年1つずつ減っている状況」との問題意識のもと、就職氷河期が少子化に与える影響について質問しました。岸田総理は「就職氷河期と少子化は、関係があると考えるのが常識」だと答え、就職氷河期世代が30代前半を迎えた2000年当時に合計特殊出生率が1.20となったことにも触れ、「経済的な不安定さは少子化の要因の1つ。就職氷河期世代における経済的な不安定な方々の結婚や子育ての希望を十分に実現するに至らなかったことは重く受け止めるべき」との認識を述べました。

 若年層の労働力流出、若い女性の婚姻による海外流出が少子化に与える影響をめぐっては、塩村議員は、2005年から23年での総人口の純減が343万5千人(総務省)、うち日本人の海外移住による減少数は57万4727人で人口の0.5%にあたること、日本人の海外永住者約130万人の約6割が女性(2023年)で、海外における日本人の婚姻数の約7割が日本女性と外国人男性の組み合わせで、バブル崩壊後の30年間で国際結婚により約20万人が海を渡っていることなどを指摘。問題意識を尋ねました。岸田総理は「大きな原因とまではなっていないのではないか」と答えたため、塩村議員は「日本より賃金が高い海外に出ていく若者は増えている。総理は楽観的だ」と断じました。

 加えて、若年層の女性たちが海外移住する割合が増加すれば、少子化がさらに進行することになると有識者が指摘し、「ジェンダー平等」の推進や「社会意識の変革」が必要であると訴えていることにも言及。塩村議員が「変わらないといけない」と総理の受け止めをただすと、岸田総理は「経済社会のなかでいきいきと働いてもらうためには働き方改革と並行して意識改革が必要。性別役割意識が根強いとの指摘は真摯(しんし)に受け止め、社会全体の意識を変えていく取り組みが重要。車の両輪として進める」と答えました。

 塩村議員はまた、出産費用の保険適用を通した無償化が必要だと主張しました。