参院憲法審査会が5月29日に開かれ、立憲民主党の辻元清美、古賀千景、小西洋之の各議員が、緊急事態における議員任期延長や参院の緊急集会などの課題について意見を述べました。

 辻元議員は、2011年の東日本大震災時に総理補佐官として被災地支援に当たった経験を踏まえ、一部繰り延べされた統一自治体選挙を振り返り、「2万人以上が亡くなった大津波、そこに世界最大級の原発事故の中でも、全国の選挙は被災地以外スムーズに行われた」と述べ、東日本大震災を理由に議員任期を延長すべきとする改憲論を批判しました。

 また、自民党が原発事故処理の続く緊迫した時期に内閣不信任案を提出したことや、大阪維新の会が2020年、コロナの真っ最中に大阪都構想の住民投票を推し進めたことに触れ、「不信任を出したり住民投票を強行したりした政党が、今度は、危機の中では選挙ができない、何が何でも衆院の任期延長改憲が必要だと主張している」、と改憲派の偽善を厳しく追及しました。

 その上で、議員任期延長とは「時の政府の失策隠しの延命に使われたり、政局に利用されたりする可能性が十分にある」と指摘して、「立法府の役割は、どんな危機の事態でも、選挙の機会、国民の選択の機会が奪われないようにする」ことだと強調しました。

 古賀議員は、衆院の優越が認められる予算や条約の審議が参院の緊急集会の権能を超えるとする改憲派の主張に対して反論し、「緊急集会が予算や条約を議案にできることは、憲法制定時における、GHQと日本政府の会議録から明らかであり、また憲法学界においても当然の通説だ」と述べました。改憲派の議論は「永田町だけで目にすることができる独自の主張」だと指摘し、「子どもから見て恥ずかしくない憲法の議論」が求められている、としました。

 小西議員は、岸田総理が5月27日、改憲派の集会にビデオメッセージを寄せて、憲法改正について「いたずらに議論を引き延ばせば、選択肢の提示すら行わなければ、責任の放棄と言われてもやむを得ない」と発言したことに関して、「責任放棄という言葉が、緊急集会の制度、それを愚弄するものであり、また参院のこの憲法審査会の否定に当たるのではないか」と厳しく批判しました。