衆院憲法審査会が5月30日に開かれ、法制局が国民投票広報協議会その他国民投票法の諸問題について報告した後、自由討議が行われました。立憲民主党からは、奥野総一郎、階猛の両議員が発言しました。

 奥野議員は、憲法改正に必要な国民の承認手続を定めている国民投票法について、「憲法上の要請として、投票結果が民意を正確に反映させるような制度でなければならない」と指摘しました。その上で、「運動資金の多寡や外国政府の介入で投票結果が左右されるおそれがいまだ存在している」として、国民投票法の抜本的改正の必要性を訴えました。

 また、立憲民主党の国民投票法改正案を紹介し、「国民投票運動の全ての期間について賛否勧誘のためのCMを禁止し、また意見表明CMについても政党などについては全期間を禁止して、全て国民投票広報協議会の広報放送に委ねるべきではないか」と主張しました。

 さらに、ネット規制や運動資金規制の必要性についても言及。国民投票法附則4条が投票の公平及び公正を確保するための放送CM・ネットCM、資金規制、ネット等の適正利用に関する措置を規定し、この期限が本年9月18日であることから、「附則4条の定める期限が迫る中で、国民投票法の見直しこそ憲法審査会の最優先の課題ではないか」と強調しました。

 階議員は、EUで5月21日に成立したAIの開発や利用に関する規制を定めたAI法を引き合いに出し、国民投票法にネットないしデジタル関連の規定を設ける必要性について言及しました。

 現行法の見直しに関して、附則4条1号の投票環境整備に関する改正だけでは不十分であり、「附則4条2号の国民投票の公平及び公正の確保のため、放送CM規制や国民投票運動の資金規制はもとより、有料ネットCMの規制やフェイク情報対策などを盛り込んだ改正を行うべき」と主張しました。

 例えば、有料ネットCMについては、「政党等に対して有料ネットCMを禁止する代わりに、国民投票広報協議会がネットでも広報活動を行い、賛否それぞれの政党等の意見を公平に伝えるようにする」ことを提案し、「国民投票法を改正してネット広報の定めを置くべき」であると提案しました。

 また、フェイク情報対策については、国家権力による検閲を防ぐため、民間のファクトチェック団体やSNS事業者を介する「間接的な手法が望ましい」と述べ、「まずは規制の方向性について各会派と早急に議論を詰めた上で、条文案の検討に移るべき」と主張しました。