立憲民主党は6月11日、「GID特例法改正法案」(正式名称:性同一障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の一部を改正する法律案)を衆院に提出しました。

 2023年10月、最高裁判所は、GID特例法の「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」(いわゆる「生殖不能要件」)という規定が、個人の尊重を定めた憲法13条に反し、無効であるとの判断を示しました。

 トランスジェンダーは、性自認と戸籍上の性別が異なることで、さまざまな困難に直面しており、GID特例法の性別変更要件は、性自認と戸籍上の性別が異なることによる困難の解消を望む個人の権利を不当に制約しています。

 立憲民主党はかねてより、戸籍上の性別変更要件を見直すべきことを政策に掲げており、本法案は、戸籍上の性別変更要件を定めるGID特例法の要件の一部(「未成年の子なし要件」「生殖不能要件」「外観要件」)を削除すること、性同一性障害について「脱病理化」が進んでいることを考慮した検討の結果に基づいて必要な法制上の措置を講ずることを定めるものです。

 法案提出後の会見で、小宮山泰子衆院議員(筆頭提出者)は「性同一性障害特例法が成立したのは、私が初当選した頃。最高裁の判決もあり、国会としてしっかりと改正の提案をするべきだ」と述べました。

 大河原まさこ衆院議員(SOGIに関するPT座長)は「やっとこの日にこぎつけた。国会がなかなか動かなくて信頼をいただけなかった。国会も変えていく。この法案を成立させなければ意味がない。未来につなぐ橋を作るのが国会の役割だと改めて感じている」と本法案を成立させる意義を強調しました。

 西村智奈美衆院議員は「性同一性障害特例法が成立した2003年当時は、世界最先端をいく法律だと言われていたが、20年の間に世界的な状況もかなり変わってきて、日本の特例法は遅れをとったということだと思う。まだ性同一性障害という名称をどうするかという課題は残っているが、ぜひ成立させて、次のステップに踏み出せるようにしたい」と述べました。

 福山哲郎参院議員(SOGIに関するPT顧問)は「最高裁の判決が出て、立法府の不作為が本当に問題になっていることが示されていた。早急にやらなければいけないと思うし、ICD-11(国際疾病分類・第11版)においてLGBTQは障害ではないと明示されたことが大変大きい。そのことも1日も早く世間に知っていただき、当事者の皆さんがより生きやすい社会を作ることが大事だと思っている。この改正とともに、名称移行についても強く厚生労働省に求めていきたい。各党におかれては、最高裁の判決の後の法改正で、国会の不作為が問われないように責任を果たすよう、協力をお願いしたい」と述べました。

 法案提出者は、小宮山泰子(筆頭提出者)、西村智奈美、大河原まさこ、鎌田さゆり、源馬謙太郎、道下大樹、米山隆一各衆院議員で、福山哲郎、石川大我両参院議員が同席しました。

GID特例法改正案.pdf
GID特例法改正案要綱.pdf
GID特例法改正案新旧対照表.pdf