立憲民主党農林水産キャラバン(隊長:田名部匡代参院幹事長)は6月28日、東京都練馬区の農園3カ所を訪れました。今回のキャラバンには隊長の田名部匡代参院幹事長(農水部会長)、ネクスト農林水産大臣の金子恵美衆院議員、徳永エリ参院議員、山岸一生衆院議員、高松智之衆院東京28区総支部長が参加しました。

 農林水産キャラバンは、6月23日に閉会した第213回通常国会で成立した「農政の憲法」と言われる「改正食料・農業・農村基本法」が審議されることを踏まえ、全国各地の農業現場を訪問し、各地で得た地域の声を党の政策に反映させ、地域と一緒に新しい農林水産政策を作っていく取り組みとして、昨年から実施しているものです。今回のキャラバンは、6月20日立憲民主党が発表した農林水産大綱で「都市農業の振興」を掲げている中、意欲ある都市農業の担い手の育成・確保、都市農地の保全・有効活用、市民農園の開設・整備、地域農業の持つ役割、また農家が抱える課題などについて話を聞きました。

■白石農園 白石好孝さん

 江戸時代から300年以上農業を続け、100種類以上の野菜を練馬区大泉町で生産販売している白石農園では、ただ農地を貸し出す一般的な市民農園とは異なり、プロの農家として白石さんが計画に沿って技術指導を行い、参加者が1年間を通して野菜づくり体験を楽しむことができる体験農園も行っています。また、小学生に練馬大根の種蒔きや収穫などを体験してもらう食農教育の受け入れや、福祉作業所に除草や収穫物の選別・梱包などの作業を委託する、農業と福祉の連携などにも取り組んでいます。

 白石さんは、「耕作が難しくなった時の対策や国からの支援の必要、耕地面積は減少傾向にあるが下げ止まりつつある」などと語る一方で、「地産地消による地域との共生、新しい魅力的な施策が生まれるなど、都市農業は貴重な社会的インフラになってきている。地方の大規模農業とは別の役割がある」と述べました。

■杉森園芸 杉森健二さん

 花の栽培農家として52年。20アールほどの農地では、1年に50~60種類の花を育てています。

 杉森さんは、「温度の管理には気を遣う。品種改良でどんどん新しい花が出てくる。コロナ禍の時は切り花の需要が減った。また、うちは後継者として息子がいるが、後継者のいない農家もある。出荷時に使うプラスチック製のトレイやポットという資材、土なども高騰している。ビニールハウスの建設費は倍ぐらいになっている。物価は上がるが花の価格は上がらない」として、次世代への事業継承、コスト高が課題だと話しました。

■田中農園 田中聖晃さん

 現在は40アールの農地でキャベツや大根、枝豆、ブドウ(品種は高尾)などを栽培しています。15代400年に渡って現在の地で農業を続けて来ました。東京都東部の学校給食用に春キャベツなどを卸しています。

 田中さんは問題点として、「夏場は暑すぎて苗作りがうまくいかなかったとか、暑すぎて生育がずれて10月下旬ぐらいに野菜ができてしまう。円安などによる資材高騰が進んでいるが、野菜は価格転嫁がなかなかできない」などと指摘しました。

 現在の取り組みとしては、「何件かの農家と一緒に、練馬で採れた枝豆を『ねりまめ』としてブランド化して販売している。また実際に野菜が育っているところを、子どもたちに見てもらうことが出来るのも都市農業のいいところだと思う」と述べました。


 視察終了後、田名部議員は、「現場で話したり、見ることが大事。また、都市農業は都市だけの問題ではない。都市農業を守ることは、結果として地方の農業の振興にもなること。そこの連携を強めていくことも必要だ。さらに、災害時の都市農業の役割、食育なども含めて都市農業が担う役割が多いこともあらためて認識した」と感想を述べました。

 さらに田名部議員は、「(農業政策は)農家を守る政策ということではない。われわれ消費者、国民にとって必要なことなので、税金を使って土地を守り、農業従事者を守ること。それが、回りまわって自分たちを助けることになっている。そういう認識が(国民の皆さんの中で)高まっていくことが望ましい」と話しました。

 徳永議員は、「今回の視察で、都市農業にはいろいろな役割がある。これまでの認識と違うことを発見した。今党内でいろいろな議論をしている。戸別所得補償制度もバージョンアップしていかなくてはならない。耕作放棄される農地も保全していけるような制度設計をしていきたい」との考えを示しました。