由利本荘市議会議員2期目(2024年6月27日現在)で多くの地域の声を聴いてきた小川幾代(おがわ・のりよ)秋田3区総支部長。政治に興味を持ったきっかけ等について寄稿していただきました。
■行政の婚活支援は根本解決ではない
4年前、私は有期雇用契約社員でした。そして今は由利本荘市議会議員、39歳、未婚です。
私は3姉妹の次女で祖父母、両親の7人家族で、家庭内で女性にも物事の決定権が当然にある環境で育ちました。
しかし、短大在学中に「職場や地域、家庭の中には性別による格差がある」ということを学び、社会に出た後は格差を実感することになりました。
格差は結婚相手を探すときに実感し、特に低賃金や非正規労働の女性は、男性に経済力を頼らざるを得ない状況がありました。一方、男性は女性に選ばれるため、所得や安定した仕事がなければならない、といった認識があるように思いました。
私は就職氷河期世代です。この世代は、採用試験を受けては不採用となり、「社会に必要とされていないのでは」と感じたり、求人票は非正規雇用や低賃金労働が多く、自ら稼いだお金で自己投資や車や家等の高価な物を購入する等の物事を決断できる機会が少なかったという人が多いのも事実です。
時代や政治に流され、社会から自尊心を削がれ、家族を養う金銭的、時間的、心理的余裕も無くなり、多くの人が結婚を諦めているように思います。
現実に行われている行政の支援は出会いの機会を増やすのみで、原因の根本解決ではないと思いました。まずは賃金アップが必要で、その上で性別役割分業など、社会の意識が変わることが必要だと感じました。
■当事者の声を政治に届ける
私は、ジェンダー問題がきっかけで政治に興味を持ちました。そして、私の強み・希望は当事者の声を聞いて、意思決定の場に届けることです。
市議会議員として医療的ケア児を取り巻く環境整備をしています。預ける保育園が見つからず、育休延長しているが「子どもの手術を控えていて、兄弟の学校用品など経済的に余裕がない」との声がありました。そんなとき、融資制度があります。しかし、借金をしなければ子どもを育てられない社会で子どもを産みたいと思うのでしょうか。
保育施設では保育士確保が課題です。賃金が安いことが指摘されています。保育や教育、医療や福祉など、人の命に関わる仕事をする人たちの賃金を上げなければならないと考えます。
他にも、高齢女性の1人暮らしの問題も深刻だと感じています。「年金だけで生活はできない」といった声が届いています。現役の時に納めた年金額が異なることで将来にまで影響が出ます。こうした点を今後のために見直す必要があります。
■未来はみんなでつくる
市議会議員の活動の中で、声を上げたくても上げられない人がいることを実感しています。一方で、政治を諦めている人にも出会いました。「今までは諦めていたけど今回は選択肢がある」と、応援してくれる人もいます。
政治はお金や権力でつながった、一部の特権階級の人たちのものではありません。私たちが声を上げていくことで、社会が変わると信じています。
政治は未来です。「未来は、みんなでつくる」。
私たちの身近な政治を、私たちの求める社会を、「あなた」と私で変えて行きましょう。