泉健太代表は7月5日、国会内で記者会見を開き、(1)賃上げ等の労働施策(2)石破議員の発言に見る自民党の裏金体質(3)東京都知事選挙(4)令和5年度税収(5)川崎重工業による海上自衛隊員の接待疑惑――等について発言しました。

(1)イギリスの労働党が議席を伸ばし政権交代したことに関連して、泉代表は「労働党のマニフェスト概要に『ミッション主導型政府』と書いてあり、私が言ってきた『ミッション型内閣』と似ている」と指摘し、「何よりも国民のためになる政策を実現」したいと述べました。

 泉代表はまた「社会全体としては物価高が賃上げの効果をかなり減殺している。ここで満足して良いものではない。まずは賃上げに取り組む」と述べて、具体的な施策として非正規雇用の正規化を挙げました。

 「望まぬ非正規は1割だと矮小化されているが、そもそも今の働き方が当たり前と思ってしまっている人。本来はもっと待遇が良いはずが、非正規だから仕方ないと思って働いている人が多数いる」と、問題の深刻さを指摘しました。

 さらに泉代表は、「労働分配率を上げていくこと」を挙げました。「わが国の全体60%台だが、大手は30%台。近年会社が受ける収益に比べて労働分配率が低い。この点を変えていく必要がある」と述べました。

(2)自民党は総裁選に関連して、石破議員が「自民党総裁は公職ではない、だから金をばらまく」との発言について、泉代表は「おかしくないか」と問いかけ、「自民党の実態を表す象徴的なこと」「これまで選挙の時に自治体議員にお金を配ったりといろいろなことをしてきた。こういう政治を変えなければならない。公職がどうかではなく、裏金体質、使途不明金体質を変える」と訴えました。

(3)東京都知事選挙について、蓮舫候補に対して「ぜひ、最後の最後まで追い上げを続けてがんばってほしい」と述べました。

(4)令和5年度税収が当初見込みよりも上回ることについて泉代表は「岸田政権が予定していた7000億円の防衛費の確保には至っていない」「43兆円の想定に無理があった」「防衛費増税のメドが立っていないのが岸田政権」と批判しました。

(5)報道されている川崎重工業が海上自衛隊員に金品や飲食代などを提供していた疑いのある問題について、泉代表は「党の部会でヒアリングをしたが、大臣直轄の防衛監察とすべき案件」「他の防衛産業も同様のことがないのか、厳格にチェックすべき」と強調しました。


泉健太代表記者会見

2024年7月5日(金)10時31分~11時15分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtube.com/live/_TkZvDAamOQ


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○英国総選挙 政権交代について

【代表】
 おはようございます。
 まず、イギリスが政権交代ということになりましたね。労働党が大きく議席を伸ばして、今回、保守党からの政権交代となりました。
 私は改めて労働党のマニフェストの概要を見たのですが、その一番先に来ていたのが、労働党のマニフェストは6月の中旬に発表されたものなのですが、「ミッション主導型政府」ということが書いてありまして、ちょうど私が言ってきた「ミッション型内閣」とある意味似ているなと思いました。
 とにかく今は政策を実現するということが求められている時代ですから、これはやはり立憲民主党が樹立する政権においても、とにかく国民のためになる政策を実現するということで、おそらく待っているのは日本の場合はねじれ国会ということになりますが、そういう中でも政策を実現していくということを全力で取り組んでいきたいと考えております。

○賃上げに向けた取組について

【代表】
 労働党は明確に、ある意味日本の国民から見ても、より明確に労働者のための政権をつくるということを言っている党がイギリスで政権を取るわけですから、日本も今、確かに連合の集計で、33年ぶりですか、(春闘の賃上げ率)5%超えということで、本当に連合が頑張って成果を出してきているということがある一方で、社会全体としては、ある意味、物価高がその賃上げの効果をかなり減殺しまっているということで、この状況はまだまだここで満足していていいものではありません。引き続き、もっと賃上げに取り組んでいく。
 そのためには、立憲民主党が特に言っているのは、やはり働き方という意味で、非正規雇用をやはり正規化していかなければいけないということですね。これがまず一つです。
 望まぬ非正規ということに、全体の非正規が2000万人以上おられる中で、望まぬ非正規はそのうちの10%です、1割ですというような話で話が矮小化されてしまっていますが、そもそも今の働き方が当たり前だと思ってしまっている方々も大勢ある中で、しかし、改めて、本来はもっとちゃんとした待遇を受けていいんだということを国民の皆さんにもっと感じていただかなければいけないと考えます。もうこの募集はそもそも非正規だったからしようがないよねと思って働いている方々が多数おられるということをよく受け止めて、立憲民主党としては、この非正規を正規化していくということ。
 そして、労働分配率ですね。これをもっと上げていかなければいけないわけです。特に、我が国全体でいえば60%台と言われますが、大手については実は30%台ということで、近年、会社が受ける利益や収益に比べるとやはり労働分配率が低いという状況がありますので、ここはやはり変えていかなければいけないですね。
 そういったことにも立憲民主党としてはこれから政権を目指す上で取り組んでいきたいと考えております。

○自民党総裁選について

【代表】
 次なのですが、自民党のほうは今、総裁選云々ということで、誰と誰が会食をするとか、そんな話になってきていますが、石破さんがまた面白いことというか、率直なことを言いましたね。たしか、自民党の総裁選ということについて、「自民党総裁は公職ではない。だから金をばらまくというのがある。おかしくないですか」と。総裁選に過去4回立候補した自身は金をまいたことがない、だけど、ほかはまいてきたというような、この発言ですよね。本当に自民党の実態を表すという意味で象徴的かもしれません。
 ですから、これまで政策活動費、官房機密費、そして派閥の裏金、少なくともこの三つの使途不明金は、今、世の中には明らかになることになっていて、そういうものが自民党総裁選の中でもやはり使われてきたのではないかということですよね。いろいろな形でこの派閥の金も使われてきているだろうと思います。
 こういう体質があるから、石破さんは「総裁は公職ではない。だから金をばらまくというのがある」というふうに言っていますが、いやいや、自民党さんと。公職である国会議員として、あるいは党の幹部として、お金をばらまいて選挙をやってきたのが自民党でしょうと。ですから、「自民党総裁は公職ではない」に限らないわけですよね。これまで選挙のときに自治体議員に金を配ったりだとか、いろいろなことをしてきた。
 このことはもう本当に自民党の体質の象徴ですから、こういう政治を変えなければならないということも改めて立憲民主党としては、公職であろうがなかろうが、この使途不明金体質、裏金体質を変えるということが立憲民主党のミッションでもあるということも改めてお伝えしたいと思います。

○東京都知事選・都議補選について

【代表】
 そして、東京都知事選ですね。
 これはもう蓮舫さんの戦いということを、それぞれがある意味自主的に応援をしたり賛同したり取組をしているということで、東京都民の方を中心に支援者の方々と、その支援をするそれぞれが一人ひとりとなって、立憲民主党の仲間たちも応援をしているという状況であります。ぜひ、この最後の最後まで、蓮舫さんにはこの追い上げを続けて、頑張って、そして、東京都知事に当選をしてもらいたい。当選してほしいということで、我々もまた頑張ってまいります。
 私はきょうはこの都知事選と連動した東京都議の補選、こちらのほうの応援にも行かせていただく予定をしています。
 私もこれまで蓮舫さんの活動ということで街頭でスタンディングをしたりマイクを持ったりということがありましたが、皆の力で次の都政をつくってまいりたいと考えております。

○防衛費増額 財源問題について

【代表】
 令和5年度の税収が、当初(予算での想定)よりも上回るということではありますが、しかし、政府・岸田政権が当初予定していたような7000億円の防衛費を(決算剰余金から)確保するということにはこれは至っていないわけで、かなり捕らぬタヌキの、ある意味膨らませた予算をつくっていたのではないかと思いますし、やはり43兆円という規模ありきには無理があったということが実態であるし、防衛増税もはっきり言っていませんからね。
 言葉では防衛費倍増と言っているものの、結局のところはめどは立っていないというのが岸田政権だし、国民に覚悟を求めるわけでもないという、非常に中途半端な政策を取っているということが今の岸田政権の問題点だと思います。

○潜水艦乗組員への接待・金品提供問題について

【代表】
 そういう中で、川崎重工業の、今発覚をした、防衛装備品の調達をめぐって海上自衛隊の潜水艦を受注している川崎重工業において(架空取引による)裏金を使って乗組員への接待を繰り返していたということが発覚をしました。
 きょう先ほど、立憲民主党の部会で、これはヒアリングを行わせてもらいました。ここで我々として政府からヒアリングをしたわけなのですが、改めて、まず、幕僚監部をトップに調査委員会をつくるということを政府側から説明を受けたのですが、これは立憲民主党としては大臣直轄の防衛監察とすべき案件であるということですね。幕僚監部をトップにした調査委員会ではなく、大臣直轄の防衛監察をすべきだということです。
 しかも、川重がこうしたことをやっていたということから鑑みると、他の防衛産業についても同様のことがないのかどうかということは、この際、やはり厳格にチェックをしなければならないと考えます。
 かなり、そろいのTシャツを作るだとか、ゲームを乗組員に渡していたとか、いろいろな手法があったという報道が伝わってきていますので、これはぜひ国会においても場合によっては議論すべきではないかということで、まず、安保委員会の筆頭間協議を立憲民主党としては申入れもしていきたいと考えております。
 これまでの規模がもう十数億円というふうになっているということですから、これが単に懇親会費、いわゆる親睦費みたいなものだけに充てられたのか、ほかに乗組員たちがどのような何かしらの接待なり便宜を受けたのかということについても、これは明らかにせねばならないということであります。
 我々、自衛隊を、それは日常については真面目に頑張っている自衛隊を応援する立場ではありますが、こういった不祥事についてはやはりしっかりとただしていかねばならないと考えております。


■質疑

○次期衆院総選挙に向けて

【東京新聞】
 次期衆院選について伺いたい。早ければ秋にもあるとされている次の衆院選に向けて、御党は政権交代をずっと掲げていらっしゃるが、擁立数は今のところ、まだ183程度にとどまっている。また、裏金議員がいる選挙区での空白も目立っている状況だが、今後の擁立作業についての意欲を改めて伺いたいのと、党大会でお決めになった擁立目標の200の達成時期の見通しについてもあわせて教えていただきたい。

【代表】
 ありがとうございます。
 今、「りっけん政治塾」にも、この前お話ししたように、500名近くの方が集まって、国政志望者も何人も出てきていますので、徐々にマッチングを始めています。その意味では、4月28日の補欠選挙を経て、政権交代を一緒に頑張りたいという方々が来ていただいていますので、その方々が擁立に結びつくように、これからも引き続き努力をしていきたいと考えています。
 時期というのは、本当に一人ひとり候補者を決めるのはものすごく大変なことなので、簡単に時期を決めたからそれで達成できるなんていうほど、工業生産でも何でもありませんから、あくまで人を扱うものでありますので、とにかくできる限り早期に努力をしていきたいということに尽きます。

【東京新聞】
 500人の方が政治塾にエントリーされていて、意欲も高いということだが、おおむねその中のどれくらいの方が、例えば自分はいずれ政治家になって、早ければ次の総選挙で戦うんだというような志をお持ちか。代表がご覧になってどれくらいという感じか。

【代表】
 いえ、まだそれが、今さまざまな、より精緻な意思確認をしている最中ですので。一番最初に「自治体議員も含めて何らか政治家ということを考えたい」という方々は全体の6割でしたね。まだそこまでしか我々としては意思確認はしていないという状況なので、ここからさらに次の国政でというところの数が何割かというのは、まだ確認はしていません。

○閉会中審査について

【日本テレビ】
 閉会中審査について伺いたい。国会が閉会してからも、旧優生保護法の下で行われた強制不妊手術について最高裁が国の責任を認める判決を出したことや、沖縄県のアメリカ軍兵士による女性への性暴行事件が相次いでいるのに政府が県に知らせていなかったというようなことが、国会が閉会してから起きている。共産党の田村委員長は昨日の会見で、これらの問題について閉会中審査を要求したいと述べた。先ほど代表も、川崎重工のお話も、安保委員会の筆頭間協議を申し入れたいという国会の動きについても言及されたが、旧優生保護法の問題であったり、在沖米軍のこの問題であったりということについて、閉会中審査を党として求めたいという考えはあるか。

【代表】
 実際に求めることになるかどうかというのは、まだ、これは国対と相談はありますけれども、必要なものは閉会中審査をやはり求めていくということになります。

○在沖縄米兵の性暴力事件 県への無連絡問題について(1)

【日本テレビ】
 ちょっと質問が前後してしまうが、この沖縄県の、女性への性暴力事件が相次ぎ、政府が県に知らせていなかったということについて、沖縄県の玉城知事が官邸に申し入れ、政府側としても真摯に対応を検討するということを述べている形だが、改めて代表としてこの問題をどのように捉えているか、政府にどのような対応を求めたいか伺いたい。

【代表】
 当然、情報として、これは日米両政府での取決めもありますから、日本政府の一部には伝わっていた、しかし、それがやはり地元である県に伝わっていなかったというのは、これはあるべき姿ではない。問題だと考えますので、そこは伝えるべきであったというのは当然のことですね。
 情報によって恣意的な扱いがされることそのものがおかしいですから、ある意味、情報としては必ず伝えるということをこれからの前提にすべきだし、今回の件においてもそうあるべきであったと考えます。

○党代表選挙について

【北海道新聞】
 2点伺いたい。1点目が、先週の会見でも出た質問なので大変恐縮だが、次期代表選について、現時点でのまず泉代表の考えを改めてお聞きしたい。

【代表】
 何か、これからもう毎週、誰かが聞きそうなお話ですね。
 何か今、先週と変わったことはございません。
 今は、国会が閉会して、きのうも徳島県に行ってきました。徳島の、我々が総支部長として決定した徳島1区の高橋永さんと一緒に活動してきました。とにかく、まだ党大会で決めた200の候補者数を達成していませんから、徳島でも徳島2区の候補者擁立を進めるようにということは県連に対して伝えてきたところでもあって、そういった空白区をいかに埋めるかというのを、今、全力を尽くしています。
 とにかく今はそこですね。代表選云々ということは現時点では何か動いていたり考えたりしていることはございません。

【北海道新聞】
 もう一点だが、代表は先週の会見で、総選挙に向けて、そして東京都知事選に向けて、目の前の一つ一つの選挙で結果を出していきたいと述べていたが、次期衆院選と御党の代表選の時期がまだはっきり見通せていない中で、次期衆院選の前に代表選の日程が固まるということもあり得ると思うが、その場合、泉代表の意思表明、出馬をするかしないかといった、その表明のタイミングはどのように考えておられるか。

【代表】
 わかりません。これからですね、考えるのは。

○政治改革 第三者機関に関する議論について

【時事通信】
 さきの国会で成立した改正政治資金規正法に関連してお尋ねしたい。附則には政治資金の使途をチェックする第三者機関の設置について明記されているが、この検討を具体化していくために立憲の党内ではどのように議論を進めていくお考えか伺いたいのと、与野党での協議のあり方について、急ぐべきであるとか、お考えを伺いたい。公明党はPTを立ち上げ議論を始めているが、自民党はまだ議論が始まっていない状況で、こうした自民党の姿勢についてもお願いしたい。

【代表】
 まず、第三者機関という前に、政策活動費を確認する第三者機関ということでいえば、そもそも政策活動費を認めるのがおかしいということですよ。
 ですから、いや、本当にね、これまで自民党が隠しに隠し、使途を全く明らかにしてこなかった、しかも10年後公開なんていうことを今回盛り込んだ政治資金規正法を通して、第三者機関で何ができるんですかと。新たな事務局をつくり、そして、どんな権限が与えられるかもわからない。何人がその第三者機関で監査・検査をするのかも不明というものに、正直、全く期待はできないですね。期待はできない。
 ですから、改めてですが、自民党・公明党には、政策活動費は廃止せよと。これは廃止をすれば新たな組織をつくる必要もなくなるわけですから、この使途不明金の温床、使途不明金の元凶である政策活動費をなくせということがやはり第一ですね。
 その中で、今回、与党多数でこの法案を可決したわけですから、第三者機関なるものがちゃんと機能するのかどうかということは、ぜひ国民に説明していただきたい。我々にも説明してもらいたいと。我々からすれば、そこはぜひ与党の考え方なり手腕なり運びを与党の側が見せるべきだという考え方です。

【時事通信】
 与党側は、維新も含めてだが、議論を急ぐべきかどうか。そこら辺についてはいかがか。

【代表】
 繰り返しになりますが、急いだところで、大したものはできないのではないのと、本当に実効性あるものができるのかというふうに思いますよ。だから、第三者機関に今の時点で全く期待はできません。

○潜水艦乗組員への接待・金品提供問題について(1)

【NHK】
 冒頭発言のあった川崎重工業の件で伺いたい。安保委員会の筆頭間協議も申入れしたいということだが、この問題で安保委員会の閉会中審査を行いたいということでよろしいか。

【代表】
 今後どうなるかはわかりませんね。それの一つは閉会中審査かもしれません。筆頭間協議の中で、例えば至急理事会を開いて理事会において説明をするということもあり得ますから。閉会中審査もそのうちの一つですね。

【NHK】
 重ねて、川崎重工業の中で、防衛監察をすべきだということだった。

【代表】
 防衛大臣のですね。

【NHK】
 防衛大臣の。防衛監察をすべきだという理由を伺いたい。

【代表】
 それだけの重大事であり、巨額であるからです。

○自民・堀井議員の香典報道について

【テレビ朝日】
 自民党の堀井学議員が、自身の選挙区での有権者の葬儀に秘書を通じて香典を渡した疑いがあると報道されている。これについて受け止めがあればお願いしたい。

【代表】
 まだちょっと私は細かくはその件を知りませんが、それは過去も、たしか宮城県の自民党の議員が同様のことをして、一定の罪(有罪判決)を受けたというものであると認識しています。

【テレビ朝日】
 堀井学議員に関しては安倍派で問題になった議員でもあるが、こうした問題が、ご本人、事実かどうかはまだわからないとして、続いていることについてはどう思うか。

【代表】
 彼はたしか、裏金(問題)で次の選挙には出ないような、そういう今、立場なのですかね。ですから、選挙に出なくなったという背景に、そういったほかの問題もあったのかもしれないですね。

○日本維新の会について

【読売新聞】
 日本維新の会との関係について伺いたい。先週、維新の馬場代表が福岡の講演で、自民党と立憲民主党の両党について、国会の対応をもたれ合っていてぬるま湯につかっているという批判を強めて発言された。また、おととい都議補選の応援に馬場代表が入られた際に、旧文通費のことを取り上げ、自民党と立憲民主党がやはりもたれ合って、なれ合いをして、約束したことを実行しないというような街頭演説もされていた。代表は先週の会見で、政策活動費の一連の経緯を引き合いに出し、維新の対応は支離滅裂であるとか政党の体を成していないのではないかという厳しいご指摘をされていらっしゃったが、改めて馬場代表のこの発言についてご所感を伺いたい。

【代表】
 もう先週言っていますからね。改めてというのはないですね。
 もたれ合いという意味では、我々からすると、あの党首会談はもたれ合い、なれ合いに見えましたね。自民党と維新の、政治改革最終盤における政策活動費10年後公開を妥結するというのは、もたれ合い、なれ合いの象徴だなと感じましたね。

【読売新聞】
 維新とは次期衆院選で競い合う選挙区も多数及んでいるが、今のところ選挙区調整であったりとか、例えば何か政策協議であったり、協調していくことについてのお考えというのは、どのように考えていらっしゃるか。

【代表】
 立憲民主党は、私は、常に「ミッション型内閣」というのがあり得るということをずっと言ってきて、やはり自民党政権を明確に倒す、自民党の政治では駄目だということの意思表示をしてもらい、そして、例えば教育の無償化を実現するんだと、その本気の思いがあるのならば、そういった政策で合意をして一緒に政権を担うということはあり得るのではないかということは各党の皆さんにある意味考えていただいていると思っていますので、そこに乗れるのか乗れないのかではないですかね。乗るつもりがないということであれば、それは何の協議も協力もしようがないですね。

○在沖縄米兵の性暴力事件 県への無連絡問題について(2)

【関西テレビ】
 アメリカ軍の沖縄での少女への性暴力を外務省が県に伝えていなかった件について伺いたい。この話が表に出てきたタイミングというのが、選挙の後になった。この辺りはどういうふうに代表はご覧になっているか。

【代表】
 やはり疑わざるを得ないですね。県議選の前にこういう話を沖縄県に伝えれば、必ず大きな世の中のメッセージ、インパクトになるというふうに感じたのではないかと、そう疑わざるを得ないですよね。
 先ほども言いましたが、情報伝達というのは恣意的になってはいけないものですよ。しかも、仕組み、システムをつくっているわけですから。ある種の通報システムというか情報共有の仕組みですから、それを恣意的に運用して、これは後からでもいいとかいう話はやはりおかしいですよね。ですから、何でそういう運用が可能なのか。これはやはり何かルールを無視しているのか。その辺りも問われるのは当然だと思いますよ。
 被害者のあることですからね。それは沖縄県にしたって、何も被害者の情報を表に出そうなんていうふうに思うわけもなく、個人情報の管理というのは、当然、沖縄県、行政機関、どこだって気を使うわけですから、そんなことを外務省なりが一方的に何か忖度というか理由をつける必要はないわけで、ちゃんと情報は本来共有されるべきものだったと思います。

【関西テレビ】
 代表が何か疑念のように持たれているものの具体的な中身としては、例えば外務省の中で何か忖度のようなものがあったのか、あるいは、何かどこか権力のあるところから何らかの意思表示なりがあったことが疑われるのか。この辺りはいかがか。

【代表】
 あるいはという意味では、そういうことが疑われるということはあるでしょうね。それは外形的にはそう見えるのではないですか。本来であればもっと、事件が起きて時を置かずして県に伝わるものが、伝わっていなくて、そして、それが県議選の終わった後に伝わっているわけですから。では、なぜこういう形で伝わるんですかということは、疑わざるを得ないですね。

○株価・為替について

【「FACTA」】
 日経平均が史上最高値と。2011年当時を振り返るとドル円で75円で8000円台だった。今の立憲というか旧民主党時代だが、それがやはり染みついているような面があると思うが、この今の史上最高値の4万1000円、超円安、この辺のところを立憲民主党はどうご覧になっているか。バブルと見ているのか。それとも、この円安160円がもう新ノーマルと見ているのか。その辺を伺いたい。

【代表】
 我が国では今が最高値ということであっても、欧米各国に比べれば決してこの株価が高過ぎるということはなく、また、過去の伸びの率からしても、それはまだまだこれから株価が上がっていってよいと思います。
 しかし、そういう中で、この間、この数十年間、日本の株価は確かに各国に比べれば伸びなかったという中での最高値でありますが、一方で、この数十年間を見ていくと、株主利益のほうが優先されてきた数十年であったし、労働分配率はむしろ下がってきたというこの数十年であったし、そして、働く方々にとってもっと優しい会社であるべきだった、賃上げを進めていくべきだったというふうにも感じます。
 そして、金融資産についても随分と偏在が見受けられると考えているので、NISAも始まりましたが、やはり国民の側がいかにして資産運用をもっともっと広げていけるかというところで、富を、国が、政府が税として取って分配をするということだけではなく、この金融の世界においても一般の国民が富を享受できる環境をいかにつくるかということは立憲民主党として常に考えたいですね。
 これからも、立憲民主党としてはやはり産業は大きく伸ばし、株価も上げていきたいし、そういう中で分配を、というのは、旧来型の政府による分配だけではない富の分配というのが実現していくような世の中にしていきたいと考えています。

○選挙ポスターや政見放送のあり方について

【朝日新聞】
 都知事選の選挙活動をめぐる問題について伺いたい。候補者のポスターが、わいせつなポスターが張られたり、同一人物のポスターが張られたり、あとは事実上売買されているという話もある。この件について、現行の公選法ではたぶん想定されていない事態が起きていると思う。立憲民主党として、どういうふうにあるべきか、また、仮に規制をかける場合に留意する点などはどうお考えか。

【代表】
 それは留意する点といえば、政治活動の自由とか表現の自由ということをまず留意をしながら、しかし、あくまで掲示板というのは候補者本人のためにあるということで、さまざま他のものを利用するということについてどう考えるかということが一つ論点。
 そして、あくまで公が設置しているものですから、それが売買をされたり利益の対象になってはいけないということもあろうと思いますから、そういった点をこれから何かしら縛りをかけられるかということを考えなければいけないですね。

【朝日新聞】
 関連で、同じく政見放送でも、表現の自由という問題はあるのでしょうけれども、内容を見ると全く選挙に関係ない話題だったり、手話通訳者に大声を出したりとか、そういう表現も見受けられる。この点についても、党として何か、どう改善すべきかというのは、代表の考えでもいいが、何かあるか。

【代表】
 政見放送で、ある意味、何というのかな、意外なことを話すというか、ある種目立つことを話すというのは、もう何十年も前から実はあったことなので、それは今に始まったことではないというのはあるとはいえ、例えば暴力的な行為みたいなものが当然許されてはいけないとは思いますので、単にカメラに向かって、世の中に向かって何かを主張するということについては、これはなかなか規制はしにくいかもしれませんが、他者に迷惑をかけるようなことがもしあるのであれば、そこをどうルール化していくかということは考えなければいけないとは思います。

○英国総選挙 政権交代について

【NHK】
 イギリスの政権交代に関して言及があったが、改めて、14年ぶりの政権交代ということで、この受け止めと、立憲民主党も政権交代を掲げる中でどのように取り組んでいかれるか教えていただきたい。

【代表】
 やはりイギリスも似たような環境があって、与党側の不祥事、特にジョンソン首相のときの(ロックダウン中に首相官邸で開いた)パーティーの問題だとか、そして、その後の首相の経済政策の失敗だとか、やはり政権に対する不満、これがかなりたまっていましたね。ブレグジットもそうですが。
 日本においても同じような状況が私はあると思っていて、イギリスの場合、我々からしてうらやましいのは、ある意味、野党に対する、イギリスの場合は(次期政権担当政党としての)位置づけがはっきりしていて、政府として野党に予算を投じるということも、例えばネクストキャビネット(シャドーキャビネット)の運営に対して国として予算が確保されているだとか、野党の側にも政府の情報を一定渡すことになっているだとか、こういう我々にとってはうらやましい、政権交代をシステムとして考えている国のすばらしさというのは感じますが、日本においてはそういう政権交代をシステムとして捉えて野党第1党にインセンティブを与えるというのはほぼない状況ですけれども、それでも国民の皆さんの怒りは大きいわけですから、立憲民主党は次の政権交代に向けて努力をしていますし、次の総選挙で政権交代を果たしたい。
 このイギリスの今回の政権交代は、大きな、我々にとっての勇気です。

○東京都知事選について(1)

【日本テレビ】
 蓮舫候補の街頭演説について伺いたい。蓮舫候補は連日街頭活動をされていると思うが、街頭活動が主に1日2回ほどで、他の石丸候補や田母神候補に比べて少し少ない傾向にある。蓮舫さんはチャレンジャーと本人が訴えている割には露出が少ないのではないかという指摘もあるが、この街頭演説がちょっと少ないなという感覚は代表としてはあったりされるか。もう少し活動量を上げてほしいみたいな部分とかは。

【代表】
 さすがに、蓮舫陣営の戦い方まで今回党が担っているわけではないので、そこは考え方ではないですか、陣営の。それに尽きますね。

○潜水艦乗組員への接待・金品提供問題について(2)

【文化放送】
 冒頭お話しになった川崎重工業の架空取引問題についてだが、改めて泉代表の受け止め。それから、裏金というとどうしても自民党の裏金問題を思い出してしまうが、政界とか産業界とか、裏金という、そのコンプライアンスも含めて、こういう体質が蔓延していると感じているのかどうか。その辺りの見解などもお話しいただきたい。

【代表】
 これはむしろ、川重の場合も20年前くらいからといいますから、自民党の調査で明らかになっている20年近くと結構似ている時期ですよね。でも、もしかしたら、それはもっと前からもあったかもしれない話で、ただ、追っていける検証可能なものが20年近くの分しかないということではないかと感じます。
 その意味では、この5年、10年で始まったというよりも、過去ずっとあった、ある意味「よっしゃ、よっしゃ」みたいな、「お互いに得するんだったらいいじゃないか」みたいな、この文化が各所にあって、それが今のこの、さまざまな情報がいろいろな人たちがある意味アクセスできるようになって、おかしな情報についてはやはり世の中に出てくる時代になってきて、ようやく明るみになったのではないかというふうにも感じます。
 ですので、この体質そのものは一掃されるべきだと思いますからね。これは民間でも、政界においても、場合によっては役所の中でも、例えば役所では、かつてでいうと、役人たちが共同執筆で本を書いて、法律の解説本みたいなものを書いて、その出版の収入を事務机の引き出しに入れて皆で懇親会に使っていたとか、そういうのもありましたよね。いろいろな手法で、何か皆で宴会をするときのお金をためようみたいなものがかつてあったのかなということが、でも、今の時代はやはりそれは許されないことですから、そういうことをちゃんと明らかにしていく、なくしていくというのは当然大事です。
 しかも、今回のこの川重の場合でいうと、当然防衛費、国の税金が入っているものですから、これが今、関連性がどうかということも問われていますが、調査の中で明らかになっていくと思いますが、本当にこうしたさまざまな接待や懇親会や便宜を供与するみたいな話の中で、上乗せ請求的なことが、過大請求的なことが国に対して行われていなかったのかどうか。ここは本当に大事な観点ですからね。ここはちゃんとチェックしなければいけないと思います。

○東京都知事選について(2)

【共同通信】
 都知事選について、関連で伺いたい。先週末の各社の情勢調査では、小池さん、蓮舫さん、石丸さんという順番と報じられている。石丸さんが今かなり追い上げているそうだが、その要因についてどういうふうにお考えになっているか。あるいは、蓮舫さんを自主的に支援されている立民として、小池さんにもう一歩追いつくため、追い越すためには、どういう戦略や取組が必要なのか。それぞれ教えていただきたい。

【代表】
 これはもう蓮舫さんの陣営が一生懸命、今、取組をして、もう最終盤ですから、今から戦略を変えるとか変えないとかという話ではないのかなとは考えます。
 もう最後の最後まで頑張り抜くということだし、より今の時代、さまざまな情報の取得の仕方がやはり変わっているのと、あとは小池さんが討論に応じないということの影響で、例えばテレビを見る人だとかネットを見る人にとっては、ほとんど小池さんとの比較の情報が得にくい環境にありますよね。そういったことがもっと都民に伝わらなければいけないなと思うので、やはり蓮舫陣営についても、このインターネット、SNSでの発信というもので、最終最後、頑張る必要はあるのかなというふうには思います。  ほかは何でしたっけ。

【共同通信】
 石丸さんの追い上げの要因。

【代表】
 それはよくわかりません。それはやはり石丸さんは石丸さんの何らかの努力をされているということではないですかね。

【共同通信】
 蓮舫さんへの応援演説、さまざま幹部の方、代表もスポットで入られたりもしていると思うが、今週は長妻さんとか大串さんとか、裏金問題を起こした自民党から応援を受けている小池さんという印象づけというか、そういうふうなところを強調されているかと思う。その意図としては、次の衆院選、あるいは今後について、自民党の裏金問題をある意味では風化させないというか忘れさせないようにという、そういう意図もあったりするのか。

【代表】
 それはたぶん推測ではないですかね、記者さんの。あまり、たぶんそういう話に基づいて弁士が行っているわけではないと思いますよ。

【「FACTA」】
 政治塾含めて、僕は立憲は上げ潮なのではないかと思っている。やはり蓮舫さんの勝ちっぷりなのか負けっぷりなのか、どちらにしても最終日だが、あした代表は奔走するというか、新宿でやるとか、何か最後のてこ入れというのは考えて、もう公表されているのかどうかわからないが、あしたどんな活躍をするのか、少し教えていただきたい。

【代表】
 これはあくまで、この蓮舫さんの選挙の初日から、というよりも始まる前から、あくまで蓮舫さんの選対の側でどういう弁士を求めるかということを個別にやっている状況でして、党の側から派遣するということはやっていないのですね。ですから、最終日についても、もう数日前から大体、派遣をするという形ではない中で、蓮舫選対として演説のメンバーとかは決めているというふうに認識をしていて、私のほうが最終日に一緒に演説するという予定は聞いていません。

(以上)