立憲民主党ジェンダー平等推進本部は7月11日、国会内で総会を開き、経団連が6月18日に発表した選択的夫婦別姓の導入を求める提言書「選択肢のある社会の実現を目指して~女性活躍に対する制度の壁を乗り越える~」について、魚谷雅彦経団連審議員会副議長/ダイバーシティ推進委員長をお招きしてヒアリングを行いました。

 冒頭、ネット中継で参加した泉健太代表は、経団連の提言は社会に大きなインパクトを与えた、選択的夫婦別姓は国会で決めなければならない最優先事項と考えている、可能な限り早期の国会による立法につなげたいとあいさつしました。


 続いてあいさつした西村智奈美・ジェンダー平等推進本部長は、これまで党として何度も民法改正案を提出し国会審議でも選択的夫婦別姓の実現を求めてきた、今回の経団連の提案を受け止め、次の時代を若い人たちのためにも1日も早く実現できるよう私たちも考えを深めたいと語りました。

 魚谷さんは、婚姻時に姓の選択を強制される現行制度が働く女性のキャリア形成などで障壁になっていると考えて選択的夫婦別姓の実現を求めることとなったと提言の背景を語り、旧姓の通称使用は多くの企業で定着しているが不都合も多く、女性活躍が進むほど通称使用の弊害が顕在化している現状について海外渡航時のトラブルなど数々の具体例を挙げて説明しました。

 魚谷さんはこのような現状を踏まえ、政府に対して夫・妻それぞれが希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けることができる制度の早期実現に向けて国会で建設的な議論が行われることを期待する、姓名はその人の人格を示すもので職業人にとっては築いてきたキャリアそのものであり、本人が望めば婚姻後もそのアイデンティティを継続できるフレキシブルな社会の実現が重要と述べました。さらに立憲民主党の選択的夫婦別姓実現に向けたこれまでの尽力に感謝するとともに、今後も引き続き積極的な活動をお願いしたいと語りました。

 長妻昭政調会長は、お話をお聞きしてまったく同感だと述べた上で、選択的夫婦別姓に対する自民党の姿勢は目に余るものがある、自民党に対して積極的に選択的夫婦別姓の実現に向けた努力をしなければ経団連の献金の指針にも影響するとプレッシャーをかけるべきではないかとの考えを示しました。

 辻元清美・ジェンダー平等推進本部参与は、経団連が選択的夫婦別姓の提言を政府にしたことは私たちにとって非常に大きな後押しになっており政治的なインパクトも大きい、国際機関で働く女性の多くが不都合を被っているので連携していきたいと語りました。

 魚谷さんは出席者の質問に答え、経団連の提言に対する自民党の受け止めについて、昨日も自民党の政調会長からワーキンググループを作り議論するとの説明を受け、その際、多様な意見・価値観を認め合うという考えが今回の提言の根底にあるので賛成派の意見だけではなく保守派と言われる方々の意見も聞いて結論を出してほしいとお伝えした、若い議員が増えていることもあり賛成派が増えているようだと説明しました。選択的夫婦別姓の具体的な制度設計については、法制審議会の1996年の答申をベースにしつつその後の議論も踏まえて考えたい、通称使用が本質的な課題解決になるのかも見極め、立憲民主党の考えも詳細を確認させていただきたいと語りました。

 早稲田ゆきジェンダー平等推進本部副本部長は閉会にあたり、通称使用の限界とその事例からこのままでは経済損失が止まらないことを再確認した、今回の経団連の提言が大きな話題となっている好機を逃さないよう活動したいとあいさつしました。

 司会は岡本あき子ジェンダー平等推進本部事務局長が務めました。


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