立憲民主党ジェンダー平等推進本部の西村智奈美本部長、早稲田ゆき副本部長、大河原まさこ副事務局長らは8月20日、女性団体による女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める法務省、内閣府の男女共同参画局、外務省への要請行動に同席し、共に要請を行いました。

 ジェンダー平等を実現するために重要な国際的基準である女性差別撤廃条約を日本は1985年に批准しています。しかし、条約の実効性を高めるために制定された女性差別撤廃条約選択議定書は批准していません。国連女性差別撤廃委員会は今年10月に、第6回日本報告審議を行うことを明らかにしました。ここでは日本のジェンダー平等政策が女性差別撤廃条約に照らして審議されることになりますが、選択議定書の批准に後ろ向きな日本政府に対して厳しい評価を受けることになると予想されます。今回の要請は、日本が選択議定書を批准することを目指して活動する73のNGOのネットワークである「女性差別撤廃条約実現アクション」とともに政府へ選択議定書の批准を求めるものでした。

 法務省において「実現アクション」共同代表の浅倉むつ子さんは、「選択議定書の批准はジェンダー平等実現に重要な意味を持つと考えて長年にわたり批准を求めてきた。8年ぶりの国連女性差別撤廃委員会の審査で、批准を検討しているという前回同様の回答ではなく、批准を進めると明言していただきたい」と述べ、選択議定書の批准を強く求めました。法務省の中野英幸政務官は、「批准に向けて現行の司法制度と齟齬(そご)の起こらないよう慎重にすり合わせを行う必要がある」と答えました。西村本部長は、10月の国連女性差別撤廃委員会にどなたが出席するにせよ恥をかかないように対応していただきたいと述べ、政府に前向きな対応をするよう求めました。

 次に訪れた内閣府の男女共同参画局において「実現アクション」事務局長の亀永能布子さんは、「政府の中でも内閣府の男女共同参画局が推進しないと選択議定書の批准は実現しない。10月の国連女性差別撤廃委員会をチャンスと考え、この機を逃さずに批准する方向を国際社会に向けて明言してほしい」と訴えました。内閣府の工藤彰三副大臣は、「どうやれば外務省と法務省に『検討』から前進させられるか考えてチャレンジしていきたい。日本が遅れていることは十分承知しているし世界基準に合わせなければいけないことを踏まえて発信したい」と応じました。

 最後の要請先となる外務省で「実現アクション」世話人の山下泰子氏は、「選択議定書が1999年に国連で採択されて25年が経つ。外務省に人権条約履行室が設置され批准の準備をすると聞いていたが、これまで何が行われていたのか」と批准に向けた外務省の姿勢をただしました。外務省の深澤陽一政務官は、「現時点で批准に関する見込みを述べるのは困難だが、早期の批准に向けて検討したい」と応じました。また、西村本部長が政権与党で外務政務官を務めていた際に設立された人権条約履行室は、現在、人権人道課が業務を引き継いていると外務省職員から説明がありました。

 早稲田副本部長は、「8年前とまったく同じ姿勢を示すのは恥ずかしい。外務省のリーダーシップで批准を進めてほしい」と語りました。

 大河原副事務局長は、「日本がリスペクトされる国に進化したいという思いは誰も変わらない。日本が本当に変わったと思ってもらえるような動きを期待している」と述べました。

 最後に西村本部長は、「現在の上川外務大臣は女性であり、この説明の場にも多くの女性職員がいらっしゃっている。今進めなければいったいいつ進めるのか。10月の国連の審査では恥ずかしい思いをするのではなく、ここで一歩前に進まなければならない」と政府の更なる取り組みを強く求めました。


国連女性差別撤廃委員会の日本審議に向けて、女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める要望書.pdf