立憲民主党は8月23日、訪問介護の基本報酬引き下げの早急な見直し等を求め、濵地雅一厚生労働副大臣に申し入れました。
政府が行った訪問介護の基本報酬の引き下げにより、訪問介護を受けられなくなる要介護者や介護離職が増えることが懸念されていました。そのため、立憲民主党は引き下げ撤回等を求める要請を行ったり、訪問介護緊急支援法案や介護従事者等の処遇改善を行う法案を提出するなど、介護崩壊を防止するための方策を提案し続けてきました。しかし、政府が提案を受け入れなかったため、残念ながら懸念が現実のものになりつつあります。例えば、全国コープ福祉事業連帯機構が今年7月に訪問介護事業を展開する14法人を対象に行った調査では、基本報酬引き下げにより事業収入が減少し、事業利益が赤字転落するという結果が出ています。
そこで立憲民主党は、将来的に地域包括ケアシステムが崩壊し、介護保険制度による「介護の社会化」に逆行する事態が起きかねないとの強い危機意識の下、主に以下の事項を早急に実施するよう、厚労省に強く要請しました。
(1)国会決議を踏まえて、訪問介護の基本報酬引き下げによる影響について事業所の規模別・地域別に調査・分析すること。
(2)上記(1)の調査に先立ち、今年9月末までに訪問介護事業所に対する規模別のサンプル調査を実施すること。
(3)上記(2)の調査結果に基づき、訪問介護事業者に支援金を支給すること。その上で、訪問介護の基本報酬引き下げの見直しを含めた介護報酬の期中改定を行うこと。
申し入れ後に記者団の取材に応じたネクスト厚生労働大臣の高木真理参院議員は、「訪問介護の現場では悲鳴の声が上がっている。このまま見過ごしていては事業所の倒産や介護を受けられなくなる人の増加など大変な事態になる」と要請の理由を述べました。また、濱地副大臣からは「事の重大さは十分認識しているものの、国会決議を踏まえ迅速にやれる調査もあるが十分な影響調査をするには時間がかかる」旨の回答があったことを報告しました。
中島克仁衆院議員は、濱地副大臣の回答を「危機感が足りない」と指摘し、「特に地方では人材不足や高齢化が進む中で、厚労省が基本報酬の引き下げというとどめを刺した。全会一致の国会決議で問題意識は共有されているはずであり、与党に閉会中審査を求め実現していく」と決意を述べました。また、柚木道義衆院議員は、訪問介護事業所への支援について、「補正予算や基金で対応するなど、早急に対策すべき」であり、「処遇改善加算を取れてもなお赤字の事業所には赤字補填し、その上で介護報酬の期中改定を行うこと。厚労省には速やかな対策と十分な対策の2段階の対応を求めたい」と強調。さらに、井坂信彦衆院議員からは、「処遇改善加算は人件費の上乗せにまわすものであって、経営にまわすのはルール違反。処遇改善加算で経営赤字が改善されるという政府の認識を改めてほしい」と求めたことを報告しました。
その他、人件費や処遇改善加算を増やしても、人材紹介会社への手数料に消えていくケースもあることから、「上限規制などシステムを変えていく必要性」に言及したことも報告されました。
今回の申し入れには他に、早稲田ゆき衆院議員、川田龍平、塩村あやか、奥村政佳各参院議員が参加しました。