立憲民主党、農林水産キャラバン隊(隊長・田名部匡代参院議員)は8月21日から23日の3日間の日程で、沖縄県那覇市、東村、今帰仁村、名護市、うるま市を訪れました。今回のキャラバンには、隊長の田名部匡代参院幹事長のほか、屋良朝博衆院議員、金城徹沖縄4区総支部長らが参加しました。

■JAおきなわにて意見交換(那覇市)

 那覇市のJA会館を訪問し、沖縄県農業協同組合中央会及び沖縄県農業協同組合の方々と意見交換を行いました。

 冒頭、嘉数康雄沖縄県農業協同組合中央会代表理事会長からは、「沖縄は本州から遠く離れた離島県であり、さらに本島以上に輸送コストがかかる周辺離島での1次産業の割合が高い。自助努力だけでは農業は継続していけず、国や県の支援が必要な地域であることを是非ご理解いただきたい」との発言がありました。

 また、花城正文沖縄県農業協同組合中央会農政営農部部長から、今年7月に県の農業団体によって構成された沖縄県生産資材高騰対策本部から出されている「沖縄県農業政策確立に関する要請決議」について説明がありました。この中では(1)生産資材の安定供給体制の確立及び生産資材高騰対策の措置(2)食料安全保障にかかる基本政策の確立(3)沖縄振興特別推進交付金の拡充・強化等――が要請されています。

 前田典男沖縄県農業協同組合代表理事理事長より、消費者の皆さんに農家経営の現状を知っていただき、適正な価格での消費行動の変容を促すための新聞全面広告の取り組みについて説明がありました。また、生産資材価格について、「沖縄本島は輸送コストが上乗せされているため、他府県よりも高く、沖縄が抱えている離島では、さらに輸送コストが上乗せされている現状があり、県の対策措置として『農林水産物流通条件不利性解消事業』が講じられているものの、沖縄振興予算の減額に伴い、同事業の縮小を余儀なくされている」という報告がありました。補助単価が減額された経緯に触れ、「離島であるがための不利性なので支援が必要だ」と訴えがありました。さらに、離島における畜産農家が、飼料等高騰と牛の価格の低迷により立ち行かなくなっていると述べ、「他の農家の手伝いをしてアルバイト代を稼いでいるが、それでも賄えないので他のアルバイトを探している。近くの大きな離島まで出かけてコンビニでアルバイトをしているが、往復の船賃が3000円かかるので、コンビニで5時間働いて5000円稼いでも、2000円にしかならない。牛の餌を減らさざるを得ず、(牛を)セリに出しても値段は下がるといった悪いスパイラルに入っている」と農家の厳しい実情への懸念が表明されました。その上で、飼料価格を安くしていただけないか。安くならないのであれば補填していただけないかと要望がありました。

 さらに、さとうきびの生産については、大半を離島が担っている。離島の一大産業になっているさとうきびを守らないとその島から人がいなくなってしまう。そうなると国防上の問題も発生する。離島の生活を守るためには離島のさとうきびを守らなければならない。そのためには製糖工場がなければならないが、老朽化による建て替えが大きな問題となっている」と、厳しい状況についての説明がありました。

 前田理事長は、「もうかる農業の絵を描いてみせないことには、農は国の本なりという状況が作れない。日本農業の縮図が沖縄にある。是非ご理解をいただき、政府の背中を押していただければありがたく思う」と熱く語りました。

■東村総合農産加工施設を視察、意見交換(国頭郡東村)

 東村総合農産加工施設を訪問し、パイナップル缶詰の製造工程を視察した後、佐久川雄一工場長等と意見交換を行いました。

 質疑応答では施設側から、「パイナップルは夏の果実であるため、台風の影響を大きく受けることが一番の課題。植え付けてから収穫まで2年間かかるが、新規就農者はその間補助金だけでは足りず、工場でアルバイトをするなどして生活費を得ている」との説明がありました。また、新規就農者は生産しやすい加工用のパイナップルに取り組んでおり、加工用を中心として生果用にも取り組めるのが理想的であるとの認識が示されました。

 パイナップルの植え付けと収穫について、重労働であるにも関わらず、機械化が進んでいないことが課題であることの報告もありました。

 高級品種であるゴールドバレルの生産について、「計画的な出荷の取り組みがなされているものの生産に高い技術を要するため、品質の悪いものが出回り全体のイメージを下げてしまうことが課題である」との懸念が示されました。

■髙田農場を訪問、意見交換(国頭郡今帰仁村)

 今帰仁村の農業生産法人有限会社今帰仁アグーの髙田農場にて、同社代表取締役髙田勝さんからは、肉牛、在来種の豚、鶏を飼養する畜産経営の経験について、さまざまなご意見が述べられました。

 畜産をめぐる厳しい現状にあって、補助金はとてもありがたいとしつつ、「経営感覚を持たない農家へ補助金を投与しても持続可能性はない」として、「自立した経営のためには内需が必要だ。一つの便法として、農産物をふるさと納税の返礼品とする場合の調達額が3割を超えるようにすべきだ」との考えが示されました。

 また、国は法人化を推進しているが、昼夜問わない分娩に対処する繁殖経営は、8時間労働ではやりきれず、企業化できないという認識を示したうえで、補助事業について「法人等だけでなく、個人農家でも使えるようにしてほしい」との要望がありました。

 また、さとうきびを除いた沖縄県のカロリーベースの食料自給率が6%という現状を踏まえ、食料自給率は、農家だけでなく、地域住民で考える必要があることから、食料安保のため「食料自衛隊」を創設し、高カロリーの農産物を生産させ、農家は付加価値の高い農産物の生産をすべきであるとの考えが示されました。

 農業について、収益率が高くないので、農業に対して収益性以外の価値観を持っている人が担うべきだとの見解が示されました。

■名護市食肉センターを視察、意見交換(名護市)

 名護市食肉センター(沖縄県北部食肉協業組合)にて、金城辰美専務理事等より概要説明を受け、豚の畜解体処理工程を視察した後、意見交換を行いました。

 食肉センターからは、老朽化した機械の更新、施設の建て替えが必要であり、検討はされているものの、進んでいるとは言えないとの現状説明がありました。

 また、人手が足りず、事務方の職員も食肉処理工程のシフトに組み込まれている状況下であっても、「牛豚におけると畜解体と内臓処理の作業については日本人のみで外国人労働者には認められていないので、解決してほしい」との意見がありました。

■ゆがふ製糖株式会社との意見交換(うるま市)

 うるま市のゆがふ製糖株式会社を訪問。島尻勝広代表取締役社長、祖慶史哉専務取締役より製糖工場の老朽化への対応をめぐる現状と課題を中心に説明があり意見交換を行いました。

 同社は、9年前、コスト低減を見据え、翔南製糖と球陽製糖が合併した際に国内産糖交付金が大きく減額されたため、収支が悪化したとのことでした。製糖工場の老朽化が進み、その建て替えが喫緊の課題となっていますが、整備費の見積額が数百億円にのぼり、国や県の既存事業や既存予算の支援だけでは対応が困難で、苦慮していることを伺いました。老朽化した機械については、非製糖期にメンテナンスを行い万全を期しているものの、限界を迎えていることから製糖工場の建て替えに向け、中国、タイの製糖工場を視察を行ったところ、「日本のさとうきび製糖技術がかなり遅れていることを認識した」と述べました。

 その上で、「沖縄の基幹的な作物であるさとうきびの生産農家と製糖工場は車の両輪である」として、その経済波及効果にも考慮し、製糖工場に観光、教育などの付加価値を加えて、一体的に整備する構想が示されたものの、その具体化への道筋が見いだせていないことから、「さとうきび、糖業についての冷静な議論と、一日も早い判断、知恵をお願いしたい」と語りました。

■株式会社沖縄県鶏卵食鳥流通センターを訪問、養鶏関係者と意見交換(うるま市)

 うるま市の株式会社沖縄県鶏卵食鳥流通センターでは、長山敬同センター代表取締役社長、諸見里元沖縄県養鶏農業協同組合代表理事組合長をはじめとする養鶏関係者と意見交換を行いました。

 養鶏関係者からは、県内の養鶏場が飼料高騰などの影響で入雛を半減したり、ストップしたりしているので、このままでは確実に卵の供給量が減るとの懸念が示されました。また、鶏舎などの施設の老朽化が進んでいることについて、「(担い手の)高齢化と後継者不足の中、農家には資金力がないため、新たな投資は難しいという現状がある。補助率の高い事業による支援があれば農家の意欲も変わってくるのではないか」との意見がありました。

 また、量販店が県外産鶏卵を特売品とすることによって鶏卵価格の下落を招いているとの指摘もありました。鶏卵価格下落時に差額を補填する仕組みについて、「基準が全国一律なので、地域別とすべきだ」との意見がありました。また、コストの価格転嫁による適正価格の形成については、消費者の購買行動に与える影響が懸念されるとして、「地域の実情を把握した上で生産者に補填する方がいいのではないか」との意見がありました。

■照屋義実沖縄県副知事と意見交換(那覇市)

 沖縄県庁にて照屋義実副知事を訪問、意見交換を行いました。

 照屋副知事から、「沖縄の農業は亜熱帯農業であり、全国の農業とは異なる」として、オールジャパンで農業を行うのとは少し異なるとの指摘がありました。資材費高騰に加えた輸送コストの問題について「JAから県に要望があり、JAとともに政府に要望を行った」との説明がありました。また、ゆがふ製糖工場の建て替え問題については「さとうきびの産出が年々減少する中、工場の適正規模がどの程度なのか、議論が続いている」との話がありました。

 さらに、県内の遊休農地に牧草の作付けを広げ、地場産飼料による畜産振興を図ろうとする考えや県内の一部で取り組まれている野菜工場を遊休農地やビル内に整備するというアイディアが示されました。

 キャラバン終了後、田名部議員はメディアの取材に応じ、「沖縄は輸送コストの問題など厳しい条件の中で頑張っている。ご要望いただいたことにどれだけ応えられるか、しっかりと検討していきたい」「離島であり、国防という役割を担い、素晴らしい財産をもった沖縄が発展していけるよう、新しい取り組みとしてどういうことができるのか、県や現場の皆さんと相談しながら、国が後押しできるような環境を整えたい」と語りました。