立憲民主党は代表選挙の告示日である9月7日、名古屋市内で、「東海ブロック立会演説会」と、政治行政改革・党改革をテーマに「東海ブロック候補者討論会」を開催。野田佳彦、枝野幸男、泉健太、吉田はるみ各候補(届出順)が政見などを力強く訴えました。同月23日の臨時党大会で新代表が選出されるまでの間、全国11ブロックで立会演説会と討論会を開催します。なお、発言順は各会毎に変わります。
東海ブロック立会演説会
■枝野幸男候補
枝野候補は、アベノミクスによる円安・物価高で国民の生活は厳しくなっていると強調。新しい日本を作るために、経済の危機に立ち向かわなければならないと述べ、「腐敗した自民党政治」を一掃し、立憲民主党が「もう一つの選択肢として国民政党にならなければならない」と力を込めました。また、自民党総裁選の候補者が掲げている政策を念頭に、「規制緩和をすれば経済が良くなるというのは昭和の時代遅れの改革」であると断じ、「人を使い捨てにする経済」から「人間中心の経済」に変えていく、そのために「目先の利益」ばかりを追うのではなく、「一人ひとりの暮らしを支える経済」に変えていくと訴えました。
■泉健太候補
泉候補は、野党の中で「次の内閣(NC)」があるのは立憲民主党だと強調。これまでは野党として、政府・与党を監視する役割を果たしてきたが、いつでも立憲民主党は政権を担いうると力説しました。その上で、「日本を伸ばす」ために、たとえば東海地域には魅力的な産業があるとし、脱炭素・環境産業を伸ばすために(環境省が指定する)「脱炭素先行地域」を倍に増やしていきたいと力を込めました。また、教員や保育士・看護士も含め地域で働く人たちの待遇を改善し、地域を伸ばし、日本を伸ばしていくと訴えました。
■吉田はるみ候補
吉田候補は、「政治から縁遠い、山形の八百屋の娘」であり、衆院1期の女性議員が代表選挙に立候補できたことが、まさに立憲民主党の「自由闊達さ」であり、「新しい政治の幕開け」だと強調。その上で、生まれた地域や家庭環境に関わらず「自由で寛容な教育」を子どもたちに届けること、それがこれからの日本を変えるエネルギーになると力を込めました。また、女性に「らしさ」を求めるのではなく、子育てや介護も「社会で支える」という視点で社会保障政策を実行していくことが「人を元気にしていく」と訴えました。
■野田佳彦候補
野田候補は、かつて出演したテレビ番組でキャスターから、「自民党みたいな顔をしているね」と言われたことがあるとのエピソードを紹介。しかし、県議会議員時代からも、そしてこれからも「自民党には入らない」と強調。たとえば中日ドラゴンズの投手・監督として活躍した星野仙一さんの「生き様」のように、「打倒ジャイアンツ」のつもりで「自民党をやっつける」と力を込めました。また、松下政経塾の出身者として「政治を正さなければ、日本は良くならない」との松下幸之助氏の言葉を肝に銘じ、裏金にまみれた自民党に代わって「政治に信頼を取り戻す」ために、「政権交代こそが政治改革」だと訴えました。
東海ブロック候補者討論会(テーマ:政治行政改革・党改革)
■枝野幸男候補
枝野候補は、(1)公文書管理の徹底、情報公開のさらなる透明化(2)ジェンダー平等の推進(3)地方組織、自治体議員の活動の充実――を訴えました。
日本の政治について「自民党の裏金問題もあって国民の不信が高まって、その極みに達している」と指摘。裏金問題だけではなく、公文書の改ざんや隠ぺい、大臣がまともに答えない姿を見せていることを原因として挙げ、「公文書管理の徹底、情報公開のさらなる透明化、そして今回の裏金事件がもたらしたような政治腐敗を一掃するための大きな政治的なエネルギーが求められている」と話しました。
ジェンダー平等の推進については、女性候補者擁立のさらなる拡大、女性の衆院議員を増やすために比例代表名簿を柔軟化する法改正を進めることを主張しました。また、党の会議でも子育てや介護を抱えている等の理由で、仕事に取り組めない、家庭を犠牲にしなければならない状況があることに触れ「自ら変えていきたい」と述べました。
さらに、地方の声を受け止めるためにも地方組織、自治体議員の活動を充実させるとし、「津々浦々の暮らしの声をしっかりと受け止めることのできる力を立憲民主党がつけていくことが、国民の信頼を得る国民政党への道だと確信をしている」と話しました。
■泉健太候補
泉候補は、(1)非現職総支部長への交付金支払いの前倒し(2)党各組織の女性役員や非議員役員の増加(3)代表選挙立候補に必要な推薦人要件の緩和――を訴えました。
2021年に代表に就任した当時は、党が借金を抱えていて非常に厳しい財政状況であったことを振り返りつつ、「次の総選挙を戦えるだけの財政再建を果たすことができた」と実績をアピールしました。その上で、「全国で総選挙を戦おうとしている多くの現職ではない総支部長の仲間たちには、ぜひ支援の交付金を前倒ししたい」と主張しました。また、総支部長のいない地域では「そこで頑張っている自治体議員や党員・サポーターの皆さんがおられる」と述べ、「そういう皆さんに活動していただくための交付金を出していこうじゃないかということで、一部の地域にその要件を緩和して地域活動をしていただけるように取り組みもしてきた」と振り返りました。
代表就任当初に執行役員の半分を女性議員にしたことに触れながらも、地方組織には女性の役員が足りないことを指摘。自身の衆院京都3区総支部で自治体議員以外に学生やNPO活動をしている女性を常任幹事にしていることを紹介し、「まさにボトムアップ。市民が中心の地域組織をつくっていく。そういう形で、まさに国民、市民の声が通じる党にしていきたい」と述べました。
■吉田はるみ候補
吉田候補は、(1)委員会定足数割れの防止(2)官僚の働き方改革(3)党の情報発信やコミュニケーション方法の改善――を訴えました。
国会の委員会は委員の半数以上が出席しないと成立しないにも関わらず、自民党委員席に空席が目立ち、野党から出席を促すことが何度もあったことを取り上げました。国会中継は発言者ばかりが映り、空席の状態がなかなか映らないために「国民の皆さまに伝わらない」と指摘。カメラで委員会場内を360度映すようにすれば「緊張感をもった議会になる」と話し、「国会ですぐに行う」と主張しました。
行政改革については、官僚志望者が減っていることについて触れました。国会質問で残業が続き、子育てをしながらでは仕事を続けられないため、待遇の良い企業に優秀な人材が流れてしまっている状況に「大変危機的」と訴えました。かつて法務大臣秘書官として官僚と一緒に働いてきた経験に触れ、「せっかく志を持って国のためにと思っている公務員の方、自治体の公務員の方、皆さまの志を潰さない働き方改革も行っていく必要がある」と述べました。
また吉田候補のインスタグラムの投稿は大学生に全て任せていることを紹介し、「国民の皆さまとのコミュニケーションも変えるときではないか」と述べました。
■野田佳彦候補
野田候補は、(1)政治資金規正法の再改正(2)国会議員の世襲制限(3)議員定数の削減――を訴えました。
今回代表選挙に立候補した理由は「裏金の問題に決着がついていないから」と述べた上で、裏金問題は政治資金規正法違反の単なる未記載ではなく「脱税だ」と指摘。政治倫理審査会を開いて対象議員に質問をしても実態は解明されず、自民党内の処分は500万円未満の裏金議員を対象としなかったことについて「けじめがついていないのではないか」と話しました。野田候補は、政治資金規正法は抜け穴だらけであると指摘し、企業団体献金や政策活動費等のあり方を変えるために「政治資金規正法を再改正しなければならない」と訴えました。
国会議員の世襲制限については、政治資金は非課税であるため、相続税を払わないで国会議員の子息が相続して政治活動を引き継いでいることに触れました。「お父さんがいっぱいパーティーしてため込んだ下駄を履いて選挙に出ている人たちに、地盤・看板・カバンのないわれわれの若い仲間たちが戦って勝てるか、というと違うんじゃないんですか」と述べ、この点についても政治資金規正法の改正を主張しました。
議員定数の削減については、野田候補が総理大臣当時に安倍元総理との党首討論で約束したにも関わらず果たされていないことを取り上げました。「今回はしっかりと実現をするために、政権交代の先頭に立つ決意で頑張りたい」と話しました。