立憲民主党は9月13日、徳島市内で「地域活性化・農林水産業」をテーマに、「四国ブロック候補者討論会」を開催しました。吉田はるみ、野田佳彦、枝野幸男、泉健太各候補が政見などを力強く訴えました。なお、発言順は各会毎に変わります。

四国ブロック候補者討論会
(テーマ:地域活性化・農林水産業)

■吉田はるみ候補

 吉田候補は冒頭、自身の選挙区である杉並区でも阿波踊りの祭りを開催しているとのエピソードを紹介。阿波踊りのようなエネルギーが、地域活性化につながるポテンシャルになると強調。大きな企業を「誘致」すればよいという発想だけではなく、地域で新しい産業を作っていくことが必要だと述べました。そのためには、どの地域に生まれても、どのような家庭の経済事情があろうとも、「すべての子どもたちに最高の教育を保障したい」と訴えました。
 さらに、国公立大学の授業料を値上げする動きがあると指摘。徳島大学をはじめ、四国の国公立大学の授業料が値上げされるかもしれないと懸念を表明。自民党のように地方の教育、研究を切り捨てるのではなく、むしろ、地域の大学を研究拠点とし、新しい産業を作っていくことが必要だと強調しました。
 また吉田候補の父は長男ではなく次男であったために、田畑を受け継げずに八百屋になったと述べ、その娘として、自民党のような「儲かる農業、企業としての農業」ばかりを進めるのではなく、兼業農家や小規模農家をもっと支援しなければならないと強調しました。また、地域の大学などを支援することで、農業に従事したいと思う若者を増やしていきたいと訴えました。

■野田佳彦候補

 野田候補は、昨年の参院徳島・高知補欠選挙をふり返り、「合区」の問題に言及。特に高知県より徳島県の投票率がかなり低かったとして、これは「民主主義の危機」だとの認識を示しました。街頭でマイクを握り訴えようにも、人口減少でメッセージを伝えることが困難な地域が増えているとして、「むしろこうした地域の声を国政に届ければならない」と述べ、政治改革の一環で参院選挙制度の「合区解消」の議論を、後押ししていきたいと述べました。
 また、民主党政権時には、自民党が下げ続けてきた地方交付税を3年連続で引き上げたと強調。当時の地方の首長から感謝されたと述べ、財政の基盤があってこそ地域活性化、コミュニティーの再生が可能だと、経験を踏まえながら訴えました。そのうえで、自民党政権下では農林水産予算は、他の省庁の予算に比べ圧倒的に少ないと強調。自民党は5年間で43兆円という防衛予算を「ざくっとつけてしまった」と述べるとともに、「国民が飢えないようにすることも防衛」だと述べ、農林水産予算を増やしていくと強調しました。
 さらに、徳島県は情報通信インフラが整っていると指摘し、これからは「2拠点居住」、リモートワークをしながら兼業で農業をするという「チャンスがある」と述べました。加えて、自民党政権では歯止めをかけられない農業従事者の減少に対し、「令和版の国立農業公社」の創設に関する構想を提案しました。

■枝野幸男候補

 枝野候補は、「人間中心の経済」に転換することで、「どこに住んでいても力を発揮できる状況を作る」と強調。若者が地方に住み続けられないのは、安定的な仕事がなく、医療・子育て・介護の基盤がぜい弱だからだと指摘しました。その上で枝野候補は、「これらは2つセットで解決できる」と訴えました。
 その理由として、医療・子育て・介護に従事する方の多くが、重労働で責任が大きいにも関わらず、非正規で低賃金だからだと指摘しました。工場の誘致や観光のインバウンド需要ばかりに頼るのではなく、公的な仕事に従事する方の待遇をよくすることは「政治の責任」だと強調しました。自民党の総裁選候補者たちが言うような「小さな政府」や「規制緩和」は「とっくの昔に時代遅れ」だと断じました。
 また、人口減少地域では、一次産業で稼ぐことが必要だと強調。荒れた農地や森林を守ることは「公共的な仕事」であり、その担い手の皆さんの所得を補償する「個戸別所得補償制度」を大々的に復活させたいと力を込めました。さらに、荒れた農地や森林を守ることは、災害対策や二酸化炭素排出量を抑えることにもつながり、それは「国土を守る」ことだと強調しました。

■泉健太候補

 泉候補はこの間、「政権交代行脚」を続け、全国を回ったことで、「駅を降りれば繁華街はシャッターだらけ、アーケードもガラガラ、耕作放棄地で草ぼうぼう」である状況を見続け、怒りが湧いてきたと強調。こうした経験から、党で「農林水産政策大綱」をとりまとめたと述べました。
 その上で、食糧自給率を高めるため、「輸出米」を増やす施策を推進していきたいと訴えました。その理由として、荒れた耕作放棄地をなくすことにつながるとともに、有事の時にはそれを国民の消費に回すことができると指摘しました。また、農業の人手不足を解消するためには、消防署員や郵便局員などが、繁忙期には兼業を可能にすることが必要だと提案しました。
 さらに、地域活性化の大きな鍵は、再生可能エネルギーを「コツコツ進める」ことだと強調。その際、英国で政権交代した労働党の施策も紹介しながら、住宅の断熱化も同時に推進することが必要だと指摘。住宅の断熱化により、燃料費や電気代が下がるだけでなく、電力消費を効率化すると、家計が助かるだけでなく、地元の工務店や街の電気店の仕事が回るようになり、「東京頼みではない、地元でお金が回る仕組み」になると力強く訴えました。