立憲民主党代表選挙9日目となる9月15日、仙台市内で「子育てを含む社会保障政策」をテーマに「東北ブロック候補者討論会」を開催しました。野田佳彦、枝野幸男、泉健太、吉田はるみ各候補が政見などを力強く訴えました。同月23日の臨時党大会で新代表が選出されるまでの間、全国11ブロックで立会演説会と討論会を開催します。発言順は開催場所ごとに変わります。

東北ブロック候補者討論会(テーマ:子育てを含む社会保障政策)

■野田佳彦候補

 社会保障についてお話をさせていただきたいと思います。16日の敬老の日には100歳以上が全国で9万人います。100歳まで健康だったら生きたいですと言われます。そこがポイントです。病気にならないように予防することを医療の中心に据える予防医療と健康作りに視点を変えていくということを、私は提案をしたいと思います。日本版家庭医制度、かかりつけ医を決めて相談しながら病気にならないようにしていく。お医者さんは患者さんを診てお金取ってるけど、なるべく患者さんを作らずに、みんなが健康になる制度に変えていくことが、私は医療を画期的に変えると思います。医師会の影響を受けている自民党には絶対できません。立憲民主党が政権を取った時に実現できるテーマだとまず申し上げたいと思います。

 お年寄りが増えて、支える側が減ってくることは問題です。間違いなく1人が1人を支える時代に入るので、肩車の時代に下で支える世代のことを考えていかないと、社会保障の持続可能性がありません。下で支える世代のための教育支援、子育て支援、若者の就労支援とか人生前半の社会保障にもっと力を入れていかないと肩車が倒れてしまうと思います。1番みんなが不安に思っているのは老後の不安と子育ての不安。その不安を解消するための社会保障改革に全力を尽くします。

■枝野幸男

 子育てを含めた社会保障は、自民党とどう考え方が違うのかをしっかりと打ち出すことが大事だと思います。考え方の違いをしっかりと行わないと実は本当の意味で、子育て支援や社会保障の充実にはならないと思います。

 1番大事なことは現物給付の時代だと私は考えます。私よりも上の世代の皆さんどうでしょうか。お金をお持ちの方でも不安が大きいんじゃないですか。病気になった時の医療やあるいは寝たきりになった時の介護で、少しぐらい蓄えがあっても心配。大事なことは、実際に介護や医療というサービス、子育ても安心できる保育所、そしてお金をかけずにちゃんと公立の小中高でも、意欲や能力のある子は勉強が進んでいく。そういった仕組みで、しっかりとしたサービスそのものを提供しなければならない。これが、これからの社会保障の基本です。

 2つ目は、サービスの担い手を支援しなければなりません。まさに医療も介護も保育所も今や公立の小中学校の先生すら、実は残業代ゼロです。こうした社会保障の担い手をしっかりと支えていく。希望をすれば結婚をして子どもを育てることができる収入を得られるようにするのは当たり前です。

 3つ目は社会保障を充実させることそが何よりの経済対策。人間中心の経済と訴えているのは、実は社会保障政策でもあります。是非こういう社会を目指してみんなで頑張ってまいりましょう。

■泉健太候補

 私自身、国会議員になる前にはデイサービスのスタッフをやっていましたが、本当に大変でした。仲間たちは、どんどん仕事をやめていく。賃金が安いからです。それでは人材も育成できないし、介護を受ける方がせっかく馴染んだ職員さんがいなくなることは、お互いにとって良くないです。ですからやはり介護の現場の待遇改善は絶対必要です。党として法案を出してきました。これに引き続き取り組んでいきます。

 少子化対策を考える上で絶対に忘れてはいけない視点が、地域における固定的役割分担を見直すことです。ジェンダー平等とよく言われます。皆さん私も、気づかぬうちに、そういうものはいっぱいあると思います。例えば、地域でお祭りをやっている時に、男性は神輿の担ぎ手で、なぜかいつもお料理を出す係は女性というのを今の若い女性たちはずっと見ていて、ここでは生きていけないなと思ってしまう。女性が地方から流出する大きな要因の1つが地域における生きづらさだそうです。意識を変えるには子どもたちの教育はもちろんですが、行政あげてジェンダー教育をやらなければいけないです。

 年金は改めて財政検証が行われていますが、その数字は政府が少し下駄をはかせているのではないか。都合の良いデータを集めて作っているので、特に低所得、低年金の方々への給付をしっかりやっていきたいと思います。

■吉田はるみ候補

 今日は社会保障に関してということで、医療に関してお話をさせていただきたいと思います。実は、私の出身の河北町は人口2万人を切りまして、唯一あった県立病院がなくなりそうです。私が生まれた病院です。人口減少と医療のひっ迫をすごく実感しています。

 若手の医師を医師が少ないところに配置しようとしていますが、これダメだという声が上がっています。結局そこを若手に押し付けてしまうと定着することもできなくなってしまう。去年何が起きたかというと、200人ぐらいの医師が診療報酬がつかない美容外科の方に流れてしまいました。自民党は、こうやって人を駒のように動かそうと思っている。ここで大事なのが教育です。若手の医師が先輩の医師と一緒に経験を積んで1人でもそこの町の診療に当たれるぐらいに力を伸ばしてから行かなければならないのに、目の前の課題で、人を動かしていく。これが自民党政治。私たち立憲民主党はそうではない。きちんとその人の力を伸ばすための教育が必要。人の暮らしを見ることが必要だと、まず申し上げたいと思います。

 私の政策の柱は教育。国立大学の無償化。そして、その地域の子供たちが望めば、国立大学まで行ける道筋を私はつけたいと思います。小中高大まで、その子が望めば無料で教育が提供される道があることが、とても大事だと思います。






東北ブロック立会演説会

 その後行われた立会演説会で4人の候補がそれぞれの政見を訴えました。

 野田候補は(1)教育の無償化(2)政治改革――の2つを訴えたいと述べました。教育の無償化について新生児取り違え事件や「親ガチャ」などを取り上げ、親は選べないが学ぶチャンスは社会・国が作っていく、そういう国にしていかなければならないと訴えました。政治改革については、政治資金規正法を改正し、政治団体を世襲できない、相続できないようにしていきたいと述べました。

 枝野候補は「国民生活の危機だ」「昭和の自民党と今の自民党は違う」と述べ、自分たちも勝ち組である一部の人たちが、強い者、勝ち組ばかりに光をあて、多くの国民の暮らしに目を向けず働く者を使い捨てにしてきたと指摘。人間中心の経済に変えていき、またそれぞれが力を発揮するために互いに支え合う仕組みを作ることで社会の裾野を底上げしていけると述べ、時代遅れの政治を変えようと訴えました。

 泉候補は自民党の裏金問題について、「見えないお金を手中に収め、支持基盤を開拓していた。ルール違反、即刻退場だ」と指摘。「次の総選挙でルールを守る政治を取り戻す。おかしな政治を退場させよう」と訴えました。また、今回の代表選では「日本を伸ばす」を掲げており、国産化を推進するとして、農業や省エネ・再生可能エネルギーを挙げ、一つになって力を強くしていこうを訴えました。

 吉田候補は、「今必要なことは、目の前の物価高をどうするか」だと述べ、次の総選挙では食品の消費税ゼロ税率を訴えていくと述べました。自民党政権でわれわれの暮らしは良くならなかった、生活者の感覚から大きくかけ離れていると指摘。日本経済の一番の肝は個人消費だとして、「だからこそ個人消費に光を当てていく政策を打たなければならない」と訴えました。