野田佳彦代表は衆院選挙のラストサンデーとなる10月20日、JR日暮里駅前で木村たけつか候補(東京29区)とともに、「自公の過半数割れを目指す」と訴えました。

 皆さん、こんにちは。お昼前の日曜日の静かなひととき、大きな声で、恐縮でございます。9月23日に 立憲民主党の新しい代表に選んでいただきました、野田佳彦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 9月23日に代表になって、じっくり準備して総選挙に臨もうと思っていましたが、10月9日に、解散になってしまいました。「もっと議論をする人だろう、論戦から逃げない人だろう」と思っていた石破さんでありましたけども、残念ながらこんな急な解散となりました。しかし、受けて立ち、そして勝利しなければなりません。勝利できるかどうかは、今日は選挙戦の中盤、山場の10月20日、日曜日です。15日から始まり、27日が投開票日。今日がまさに1番のヤマ場だと思っています。このヤマ場、東京は今、選挙区が30あります。競り合っているところが多くあります。だからラストサンデーは、競り合いに勝てるように、議席を確実に増やしていくために、今日は東京で1日マイクを握ることにさせていただきます。

 木村さんのところは、解散する日の10月9日に朝のビラ配りのお手伝いをしに来ました。私はずっと地元の船橋で38年間、朝6時から9時までビラ配りをやってまいりました。でも、もう自分のところではなくて、「大事な仲間を当選させるために何をしたらいいか」と考えた時に、真っ先にまず身近な都内でビラ配りをしようと思いました。最初に選んだのが木村さんです。12年前に落選をし、苦労しながら歯を食いしばり、歩いて、歩いて、活動してまいりました。そういう人こそ、格差が広がり困っている人、弱っている人がたくさんいますから、そういう人の声をたくさん聞いてきたはずです。そんな人こそが、国政で仕事をすべきであるということを私は確信しています。だから今日も、また来ました。心配で心配でしょうがなく。ここも激戦なんです。なんとしても今回は勝ってほしい。今日はこういう思いで参ったしだいであります。

 日暮里駅前でお買い物をしている方も、最近また物価が高くなっていると皆さん思いませんか。高くなっています。ウクライナの戦争は、もう2年になりますよね。ウクライナは小麦など、たくさん穀物が採れるところです。そこで戦争ですから、小麦を輸入すると高いんですよ。小麦粉を使った食べ物が、いっぱいありますよね。パスタ、うどんとか。みんなどんどん食品が高くなっていく。パレスチナの紛争が始まって1年になりますね。どんどん飛び火して、原油価格がどんどん高騰していく。油代が高くなっていく。これはガソリンだけではありません。飼料や肥料にも油を使いますよね。

 いろいろなものが高くなっていく要因がたくさんある時に、今やっている日本の金融政策は金融緩和です。これはアベノミクスの延長です。金融緩和は物価を上げる政策です。物価高の上に物価を上げる政策をやっていたら、国民が困るのは当たり前じゃないですか。前の岸田(前総理)さんも、やりにくかったのだろうと思います。今の石破さんも、またやりにくいのでしょう。アベノミクスを総括するところから経済を変えていかなければいけないと私は思っています。

 アベノミクス、要は為替を円安に持っていく、そのことによって輸出型の大きな企業が儲かるようにする、株価が上がって投資家が儲かるようにする、そういう政策だったと思います。それをやれば、やがては中小企業や地方で働いている人、年金生活者にも、その恩恵が回ってくるという考え方だったかと思います。確かに円安へ誘導して輸出型の大きな企業が儲かりました。史上最高の収益を上げて、内部留保もたくさん溜まりましたね。投資家も儲けましたよ。不動産を持っている人、株持っている人、だけれどもそこまでだった。中小企業にも地方にも、働いている人にも年金生活者にも、いくら待っても恩恵が回ってこないで、むしろ格差が広がったのではないですか、皆さん。

 アベノミクスは結局、道半ば道半ばといって11年続いているんです。11年経ってデフレから脱却できないで景気が良くならないのなら、道半ばではなくて、その道は間違っていたと私は判断するべきだと思いますが、皆さん、いかがでしょう。アベノミクスは間違いだった。では、どう間違っていたのか。物価はもっと上がる、まだ上げようとしている。それよりも賃金が伸びれば、物価よりも伸びれば生活は豊かになりますよね。使えるお金が増えるということ、ずっと春闘で頑張って賃金が上がっても、それよりも物価が高いから、みんなの生活が苦しくなるのではないですか。

 実質賃金を引き上げるということを内容にした、政府と日銀の共同声明を作り直すこと、ここがスタートだと私は思っています。賃金を上げることを政府も日銀も共有をして、それぞれの政策を推進するというところから始めなければいけないと思っています。賃金を上げるためには、「異次元の金融緩和」ではないのです。「異次元の人への投資」が大事です。人への投資です。われわれは、これまで教育にずっと力を入れてまいりました。先ほど木村候補もおっしゃっていただきましたが、私どもの時(民主党政権時)に公立高校の授業料の無償化を言いました。あの時、自民党、公明党はなんと言いましたか。「ばらまき」だと批判しました。でも、高校の授業料の無償化を実現して5年ほど経った時、私は地元の千葉の集会に出ました。若者の集会でした。いろいろ厳しいご批判もたくさんありました。でも、その中で1人、スクっと立ち上がり、われわれの政権の評価をしてくれた若者がいました。中学3年の時、母1人子1人の貧しい家庭で、高校の進学はできないだろうと諦めていたけれども、公立高校の授業料の無償化によって3年間学ぶことができた。そして今、もう5年前のことですが、千葉大学の教育学部の2年生にいると。学ぶチャンスをもらったおかげで、「私は教員になって子どもの教育を行う仕事に就きたい」、そういう夢を語ってくれる若者がいました。そういう若者がたくさん増えたがゆえに、高校の授業料の無償化を皮切りに、どの政党も今、教育の無償化を語っているのではありませんか、皆さん。これからも、われわれは自信を持って税金の使い方が正しかったならば、敵対勢力でもまねをするようになるのです。もっともっと教育の無償化を推進していきたいと思っています。

 今度は、国公立大学の授業料の無償化をわれわれはお約束をしています。なぜならば、ここ(日暮里)は今日も地方から出てきてこられた方もたくさんいらっしゃるのではないですか。 国元から仕送りをいただいて、学費を払ってもらいながら大学で学んだ、そういう人たちもいっぱいいらっしゃるのではないでしょうか。なぜ教育の無償化、公立大学の無償化が必要なのかというと、若者に学ぶチャンスを作るというだけではないのです。教育費の負担を減らすという意味です。都内で若者が勉強をする、大学に入る、地方からは授業料と仕送りも必要ですよね。学生が一生懸命バイトをやっても、奨学金をもらっても足りない。 同時に親が仕送りもしている。平均して、地方から都内で学ぶ学生への仕送りは250万円だそうです。4年間で1000万円がかかります。皆さんの親御さんもそういう経験をされたのではないでしょうか。 2人の大学生がいれば、なんと2000万円がかかります。3人目の子どもには、「もう学校へ行かないでくれ、大学へ行かないでくれ」と、なるかもしれません。学ぶために、教育を受けるために、親が2000万円も負担しなければならないような国を、私はおかしいと思います。教育は国の底力になります。個人の負担を減らしていくということは、その分、可処分所得が増えて、その分、消費が増えるのではないですか。そういう国を皆さんと作っていこうではありませんか。

 かつてイギリスの労働党のブレアは、政権を取った時に言いました。「1に教育、2に教育、3、4がなくて5に教育」。私は人への投資、異次元の人への投資が大事な時だと思っています。加えて賃金を引き上げるためには、人への投資だけではなくて、労働法制を変えるということも大事だと思っています。これも木村さん、さすがにピンポイントで本質をつきました。小泉純一郎政権の時に派遣法を改悪しましたね。極めて専門性の高い分野では契約社員や派遣社員としての働き方も、私はあると思います。しかし、一般のいわゆる製造業まで拡大をしてしまいました。職種を広げすぎたがゆえに非正規だらけの世の中になったではありませんか。今、非正規の割合は4割です。この非正規の割合が多いことが賃金を抑えている大きな要因だと思います。希望をすれば非正規から正規になれるようにする、そういう労働法に私は改善を行うことが大事だと思っています。

 非正規の大半は女性です。だとすると、女性との関係で申し上げるならば、同一労働同一賃金、同じ仕事をするならば同じ額の給料をもらえるようにする。残念ながら、今男性が10だとすると、女性は7です。こういう改善をすることも賃金を引き上げていくために大事だということを申し上げたいと思います。また、さすがによく歩いているから、木村さんは分かっている。最低賃金なども含めてね。中小企業が決断できるのかが大事です。中小企業が省力化投資などをしたら国が後押しをすることで、(企業は)賃上げが決断できる、そういう要因をつくっていくこと。あるいは価格転嫁しやすいように、公正取引委員会の人員を拡充していく、こういうことも大事だと思います。加えて中小企業へ減税をすることについては、あまり効果がないです。法人税率15%を維持しながらも赤字法人が多いでしょ。中小企業にとってプラスなのは社会保険料を減らしていくことです。正社員を増やしていくならば、社会保険料を減免する、こういう法律をわれわれは作っています。そういうこととセットで中小企業が賃上げをしていく環境整備をする、それが立憲民主党の賃上げをする方法であります。ぜひ、皆さん、確信を持って木村たけつかを応援していただきますよう心から、心からお願い申し上げたいと思います。

 だんだん調子が出てきたところではありますけれども、最後に触れなければいけないのは、今回はいろいろな政党の候補者(東京29区)が出ています。なかでもデッドヒートを演じているのは公明党の候補者です。公明党の幹部の方です。私は当初、今回の選挙、自民党の過半数割れと言っていました。それは裏金問題、不祥事を起こしたのが自民党だからです。でも、公明党はどうしたのでしょうか。自民党も公認しない議員に推薦を出しています。これは驚きますね。政治腐敗と戦ってきた歴史を誇ってきた公明党ではないですか。その歴史にピリオドを打つのですか。かつての安倍派の幹部たちは今、公明党推薦候補として戦っています。これは私、あらためて申し上げたいと思います。「自公の過半数割れを目指す」そういう総選挙にしたいと思います。自公の過半数割れに追い込むために、「木村たけつか」この名前を覚えていただいて、ご支援をいただきますように。そして、 比例区では立憲民主党のご支持をいただけますように。政権交代こそ最大の政治改革であります。皆様のご支援、心からお願い申し上げてマイクを置かせていただきます。ありがとうございました。