小川淳也幹事長は11月12日、国会内で会見を開き(1)特別国会(2)首班指名における無効票(3)NC人事――等について発言しました。

 昨日開会した特別国会について、小川幹事長は「非常に穏当でないスタート」と指摘。衆議院本会議場で各党の座席割り当てが大きく変更したことを受けて「私は率直に自民党が過半数を割ったことを議場内で重々しく感じた」と印象を述べました。

 決選投票で石破総理が221票と絶対過半数に届かなかったことについて、「改めて少数与党政権の実情が浮かび上がってくる」と述べました。

 さらに決選投票で84票の無効票があったことについて「おそらく、憲政史上初くらいではないか」と指摘し、「努力が実らなかったとの批判は受け止める」としつつも、「有権者も無効票にならないように努力しつつ投票している。無効票にならないようにと呼びかける立場にありながら無効票を投票した」とその責任の重さを指摘しました。

 小川幹事長は「我が党は新人が3分の1をしめる。よくいえば活気がありエネルギッシュ。一方で、気を引き締めて国会対応していく」と意気込みを語りました。

 役員会の報告として、ネクスト子ども担当ネクスト大臣に高木まり参院議員、ネクストデジタル・行政改革・公務員改革担当大臣に中谷一馬衆院議員、ネクスト外務・拉致問題担当大臣に武正公一衆院議員、ネクスト環境大臣に篠原孝衆院議員を任命したことを明らかにしました。


小川淳也幹事長記者会見

2024年11月12日(火)10時29分~10時51分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtube.com/live/tgBc-HM1DNI


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

【司会(中谷幹事長特別補佐)】
 それでは、皆様、お待たせいたしました。幹事長の記者会見を始めさせていただきたいと思いますので、まず冒頭、小川淳也幹事長より、ご報告、ご挨拶を申し上げたいと思います。よろしくお願いします。

【幹事長】
 おはようございます。

○特別国会開会を受けて

【幹事長】
 いろいろな、非常に、静かでない、穏当でない国会のスタートになりました。
 きのうの国会で、実際に議場の中から、記者傍聴席から議場の中をご覧になった人、いらっしゃいますかね。皆、見たかな。
 私は率直に、議場の中で「自民党が過半数を割るというのは、こういうことか」ということを非常に体感しました。野田代表以下、私どもが中心線から議長に向かって左側に食い込んでいるということを、何というかな、言語化しにくいのですが、体感・肉感的に「自民党が過半数割れするということは、どういうことか」ということを議場内で非常に重々しく感じたのが第一印象でした。
 それから、決選投票で石破総理、きのう野田代表もおっしゃいましたが、221票ということで、絶対過半数に届いていないのですね。これも、改めて言うまでもないことかもしれませんが、改めて、この少数派政権、少数与党政権の実像というのが、これから浮かび上がるにせよ、起点としては非常に印象的な数字。(過半数の)233に届かない支持しか得られない総理大臣ということを痛感しています。
 それから、後ほどちょっとご質問があるのかもしれませんが、84票という無効票は、ちょっと私、これ調べていないのであれなのですが、おそらく、どうなんでしょう、憲政史上初くらいじゃないのかな、465人中84人が無効票を投じるというのは。
 かねてからいろいろな指摘がある中で、私どもとしても努力をし、その努力が実らなかったという批判は受け止めるにしても、有権者も皆さん各選挙区で投票所に(おいて)無効票にならないよう努力しながら投票しているわけですから、有権者もね。投票を呼びかけ、そして、無効票にならないような投票行動を呼びかける立場にある人間として、この84人もの方々が無効票を投じられたということは非常に残念です。これは、その責任をそれぞれよくかみしめていただきたい。改めて、そう感じております。
 最後に、我が党に関しては、両院(議員)総会も行われたのですが、かつてなく、新人が3分の1近くを占めるということで、非常に、よく言えば活気があるし、エネルギッシュであるということ。一方、これから引き締めて党運営、落ち着いて国会対応を進めていく責任も、また執行部として非常に感じております。それこれのバランスを取りながら進めていきたいと思っています。

○「次の内閣」人事について

【幹事長】
 一点、きのうの役員会の報告です。
 委員長人事に伴いまして、ネクスト子ども(政策)担当大臣に高木真理さん。これは法務委員長に転出された西村智奈美さんの後任です。高木真理さん。
 デジタル・行政改革・公務員改革担当大臣に、同じく(経済産業)委員長に転出された牧山ひろえさんに代わって、ここにいらっしゃる中谷一馬さん。
 そして、ネクスト外務担当大臣・拉致問題担当大臣に、政治改革特別委員長に転出された渡辺周さんに代わって、武正公一さん。
 最後に、ネクスト環境大臣。環境委員長に転出された近藤昭一さんに代わって、篠原孝さん。
 以上のネクスト大臣の変更がありましたので、ご報告いたします。


■質疑

【司会(幹事長特別補佐)】
 ありがとうございます。それでは早速質疑応答に入らせていただきたいと思いますが、質問のある方は挙手にてよろしくお願い申し上げます。

○「熟議と公開」の国会に向けて(1)

【読売新聞】
 今後の政治改革の進め方についてお考えをお尋ねしたい。きのう野田代表は、今後の政治改革に当たっては、政治改革特別委員会の場での協議であるとか、最後は自民党と立憲民主党が党首会談で合意をしなければならないとおっしゃっていた。一方で、国民民主党の玉木代表は、公明党との会談の後、与野党協議会を設置する必要性で合意したとおっしゃっていた。この今後の協議のあり方について、幹事長のお考え、どのような進め方が望ましいか教えていただきたい。

【幹事長】
 そこも含めて今後のすり合わせだとは思いますが、野田代表は、きのうの石破さんとの党首会談、それから、その場に限らず、非常に重要なことを三つおっしゃっていまして、一つは、熟議であるということ。
 そして、それが公開の場の下で行われるべき。つまり、委員会ですよね。はっきり言えば国会。国会を実質化していきたいという強い思いを持っています。
 それから、もう一つ大事なことは、先般、自公の、いわば無理やり野党の合意を得ず政治資金規正法を改正したわけで、いや、それは違うでしょうと、筋が。やはり民主主義のルールに関わることですから、主に与野党の第1党同士、ライバル同士、正当なライバル同士が協議をして一致点を見出すということが筋ではありませんかと。
 以上三つのことを申し上げておりますので、その前提に立って、ですから、一義的には、与野党協議会、非公式な協議体ということにはならず、正々堂々、白昼堂々、公開の場で議論していくということを一義的には目指すことになると思いますが、これから野党各党いろいろな意見を聞きながら進めていかなければなりませんので、具体的に実際にどうなるかは今後の協議次第。ただ、我が党の方針としては、そういう前提で進めていきたいと思っています。

【読売新聞】
 追加で一点だが、けさ自民党と公明党の政調会長のほうで合意したということだが、立憲民主党あるいは日本維新の会に対しても自公との協議を呼びかけていく、その内容としては今後の経済対策について自公の案を説明したり、あるいは立憲や維新から考えを伺うということで小野寺政調会長おっしゃっていたが、この呼びかけがあった場合、立憲民主党としてはどのように対応されるか。

【幹事長】
 補正予算、経済政策についても、基本は政治改革と同様でございまして、あまり非公式な談合と見られかねないような対応については抑制的であります。公開の場で、これから早期に臨時国会を開会して、予算委員会を含めて公開の場でしっかり協議していくというのが基本になると思います。

【読売新聞】
 では、あくまでも臨時国会後の公開の場でというのが基本になるのか。その前の時点で自・公・立という枠組みで協議するというのは、あまりお考えではないか。

【幹事長】
 はい。非公式な談合と見られかねない行動・言動については、むしろ控えたい。白昼堂々やっていきたいというのが基本的立場です。

○政治改革 企業・団体献金について

【朝日新聞】
 先ほどの政治改革に関連して伺いたい。昨日深夜の石破総理の会見の中で、石破総理は具体的な改正項目として、政策活動費の廃止、旧文通費の使途公開と残金の返納、第三者機関の早期設置、データベース化の構築を具体的に挙げた。これらは立憲が掲げている案と重なっているところと、重なっていない、足りない部分があると思うが、これをどう評価されるか伺いたい。

【幹事長】
 やれるところからしっかりやって、成果を出すべきだと思います。
 しかし、重要な、抜けているのは、企業・団体献金(廃止)。ここについても、30年前の約束であり、そして、今回の腐敗・金権政治の温床でもあり、しっかり廃止に向けて、我が党としては野党各党含めて呼びかけをして迫っていくということを考えていきたいと思います。

【朝日新聞】
 今あった企業・団体献金だが、石破総理は昭和のときの最高裁判例を持ち出し、政治活動の自由との兼ね合いで消極姿勢を示しているが、立憲民主党としてはこうした主張をどう捉えているかと、どのようにこの必要性を訴えていくか伺いたい。

【幹事長】
 まず、30年前に、300億のお金を国民からいただいて政党を養う政党交付金制度ができ、そのときに企業・団体献金を廃止しますと言ったことが約束です。30年前の約束が30年たったからほごにされるということでは決してない。政治の信頼回復と石破さんおっしゃるならば、まずそこからやってくださいということを一つ申し上げたい。
 それから、それを推進する立場の人が常套句で言うんですよ、企業にも政治活動の自由ってね。企業には1票ありませんから。
 民主主義というのは、資金力によって政治的影響力に差が出るのを極力制約することで初めて成り立つ。どんなお金持ちも、どんなに生活が貧しく苦しい人も、等しく1票を持っているという前提ででき上がっている制度ですから。
 私、ちょっと外でも申し上げるのですが、率直に申し上げて、1万、2万、5万、10万の企業・団体献金にどこまで目くじらを立てるかは、ちょっと個人的には逡巡がある部分もあるのです。だけど、今、経団連が斡旋して、名だたる日本中の大企業に、1社当たり数千万、合計すれば数億、数十億となりかねない資金を一人自民党に投入しているというのは、これは日本の政治経済構造の極めて大きなゆがみであり矛盾ですから、そうしたものを前提に石破さんがそういうことをおっしゃっているとすれば、甚だ見当違いだと、見識が疑われると、非常に憤りを持ってその発言を聞いているところです。

【朝日新聞】
 関連で、もう一点。企業・団体献金で、立憲民主党の案では政治団体が除外扱いになっており、国民民主党の玉木さんはこれを含めるべきではないかという主張をされている。きのう夜のテレビ番組では野田代表も見直しに前向きな姿勢を示したが、この除外された理由と、見直す必要性はいかがお考えか。

【幹事長】
 一応ちょっと厳密に議論させてください。
 直接かねてから金権腐敗政治の原因になってきたのは、企業収益を原資とし、企業の経営層の一存で巨額のお金が政党に投入される、いわゆる企業献金。これが本丸です。
 一方、政治団体は、様々な業種や職種に応じて構成員が政治的目的を持って政治団体を構成し、原資は任意の個人献金ということで、そして、その団体の仮定された、仮想された総意によって政治団体に寄附されるということで、ちょっと最初に厳密に議論させていただくと、いわゆる企業献金と政治団体献金には一応区別のミシン目が入っているということはご理解いただいて、それを前提にそのような議論をしてきました。
 しかし、一方、国民の側から見ると、何々政治連盟はなぜよくて何々株式会社はなぜ悪いのかという非常にわかりにくさと、実質においても、ちょっと私見も交えますが、任意で献金だとはいえ事実上そこに同調圧力はないのかという視点はあるでしょうし、それから、計上団体構成員の総意とはいえ、その団体役員の一存ということもあるでしょうし、したがって、極めて実質において似通ってくるわけですね。
 その意味から言うと、改めてそこも含めてちゃんと見直そうではないかという議論には一理あるわけで、これはいま一度党内でしっかり諮りたい。そう思っています。

○裏金問題 「不記載相当額を国庫に寄附」自民方針について

【テレビ朝日】
 自民党が、裏金事件をめぐり、収支報告に不記載のあった7億相当を国庫に返納するという一部報道がある。これについて立憲の受け止めをお願いしたい。

【幹事長】
 これは同郷同士の玉木さんがかねてうまいことをおっしゃるなと私は感じていたので、ちょっとその言葉を繰り返させてください。
 泥棒が物を返したからといって、泥棒でなくなるわけではない。罪は消えない。
 一番いいのは、一度国会から退出いただくことではないかと思います。

○首相指名選挙 決選投票での無効票について

【共同通信】
 冒頭ご発言あったが、昨日の決選投票で84票の無効票が出た。かねがね幹事長懸念されていたことではあったが、全体のほぼ2割弱に当たる無効票が出たことに対する受け止めを改めて伺いたいのと、それは裏返せば野党第1党の立憲民主党が野党をまとめ切れていないのではないかという議論もあるが、その点についての受け止めを伺いたい。

【幹事長】
 野党第1党としてまとめるに至らなかったというご批判があるとすれば、それは受け止めたいと思います。構造要因としては、比較第1党にならなかったこと。そして、参議院で多数派を依然自公が持っていること。この大きな構造要因があった上で、私どもが、いま一歩二歩、各野党を束ねていく推進力を生み出せなかった。そのご批判は正面から受け止めたいと思っています。
 それとは別に、無効票を投じたことは、人のせいにしないでください。無効票を投じる責任なり判断なりは、それぞれ無効票を投じた方で引き取っていただきたい。それを人のせいにはしないでほしい。皆、有権者はそうしていますから、あらゆる選挙の際に。人のせいだと言って無効票を入れている人はいないでしょう。それだけは申し上げたいと思います。

○「熟議と公開」の国会に向けて(2)

【共同通信】
 追加で一点。先ほど自公の政調会長の会談で政策協議に関する呼びかけがあったという点で、補足で確認させていただきたい。談合と見られかねないようなものには慎重であるべきだという話だったかと思うが、今後、仮に入口としてぜひ政調会長同士で会談の場を持ちましょうとなったときに、ある程度応じた上で判断するというスタンスであるのか。あるいは、入口も何か結論が見えていそうだから、何かしらもうちょっと具体的な提案がないと応じられないというお立場なのか。その辺のスタンスがあれば伺いたい。

【幹事長】
 「熟議と公開」という野田代表の大方針は、私、幹事長小川のみならず、重徳政調会長を含めて、全党に徹底されていますので、どこかだけが例外だとか、どこかだけ何か秘密の通じ合うルートがあるとかということはありません。

【共同通信】
 基本的に公開であることが原則であると。それが国会の場であるという受け止めでよろしいか。

【幹事長】
 はい。そうです。

【西日本新聞】
 先週の野田代表の記者会見で発表された、各党に小川幹事長を中心にペーパーを持って回って説明してご協力を求めているという、このペーパーの一番下に「与党事前審査制の見直し」という方向性を一つ項目で書かれている。与党事前審査制は自民党が主につくってきたやり方で、与党が与党である一番の理由というか、一番おいしいところというか、ということでやってきている制度かと思う。近く与党を担おうと目指している立憲民主党にとっても、自分たちが与党になったときにもこうするという、ある程度その設計図を描いてこの改革の方向性というのを持っているのかという視点で、どういった見直しをしていきたいと考えていらっしゃるかご紹介いただきたい。

【幹事長】
 代表が繰り返し申し上げているように、「熟議と公開」。それはつまり、国会を生かす、実質化するという趣旨に基づいています。
 私なりに申し上げると、国会を殺してきた最大の要因はこの与党の事前審査制で、つまり、自分たちがオーケーと言った議案以外は国会に出させないわけですから、法案も予算案も。自分たちが過半数を握った状態で、事前にオーケーと言ったものを、いわば形式的に審査させ、そして、儀礼的に通過させるという、まるで下請け機関のように国会を殺してきた、その本丸が与党の事前審査制であるという認識でいます。
 ですから、この与党が事前審査することなく、本来は先進民主主義国でそういう国はいっぱいあると思いますが、議案を上程して、与野党を交えて縦横無尽に議論し、そして、修正すべきは修正し、最後、過半数の賛成があれば議案は成立するし、なければ成立しないという、当たり前の国権の最高機関としての権能をちゃんと実質化していくという趣旨で言っているわけです。
 仮に与党になった場合、旧民主党時代も実はこの点で非常に苦労した経験を持っていますので、軽々には言い切れませんが、ここでこういうことを申し上げている以上、そうした国会の実質化を目指して、仮に与党になった場合も、我がほうも我が身を省みつつ努力していくというのが当然のことではないかと思います。

【時事通信】
 今の確認で、今のお言葉は、仮に与党になった場合は法案の事前審査は党としてやらないということをおっしゃったのか。

【幹事長】
 申し訳ない。ちょっとはっきり言い切るだけの、今、確信に満ちてはいないのですね。なぜならば、12年前に随分苦労しましたから。
 しかし、今、自公が実際に過半数割れしていて、ほとんど与党内の事前審査は意味を持たない状態になっていますから、こういうときこそ国会の本来あるべき姿はどういう姿なのかということを与野党挙げて模索したいと思っています。
 その結果、いつの日か、近い将来か、政権を預かった場合には、そこで築き上げた国会文化が、12年前とはまた違った形で、アップデートされて、我が党の新しい文化として根づいていくということは当然あるべき姿だということを申し上げました。

【時事通信】
 現状認識として、自民党と公明党が過半数割れしている以上、それだけで事前審査をしても意味をなさないというのは事実そのとおりだが、仮に立憲民主党あるいは立憲民主党とそれに近い勢力が過半数になった場合は、それだけで事前審査をして法案を通すということも技術論的には可能となるわけだが、そうなったとしても、そういう手法は取らないという考えか。

【幹事長】
 それはどちらが攻守交代するにせよ、国会を殺しているという事実には変わりないですよね。それは本来あるべき姿ですかという問いは、どちらが攻め手であれ、どちらが守り手であれ、変わらない本質ですから。その問題意識は常々、仮に政権を担当する側に回ったとしても、持ち続けたいという趣旨で申し上げました。

【司会(幹事長特別補佐)】
 ありがとうございます。それでは本日の記者会見はこの辺りで終了させていただきたいと思いますので、また皆さん何とぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

(以上)