衆院予算委員会で12月5日、石破内閣の基本姿勢に関する集中審議が行われ、野田佳彦代表、大西健介議員が質疑を行いました。

■野田佳彦代表

 野田佳彦代表は(1)日韓関係など(2)裏金問題――等について質疑を行いました。

(1)日韓関係について
 野田代表は、韓国の流動的な国内情勢、10月に憲法改正した北朝鮮の動向などを指摘し、東アジアの安全保障情勢をどう見るか、石破総理と討論しました。不確定な東アジア情勢について、野田代表は石破総理と危機感を共有するとともに、政府の「つかさ、つかさに危機感を共有し、韓国ときちっと連携する」ように強く求めました。

(2)裏金問題
 自民党の裏金問題に関して、政治倫理審査会における安倍派幹部の発言とは異なる内容が、東京地方裁判所の公判において事実認定されたことについて、野田代表は「新しい事実が出てきたら再調査するとのことだったので、再調査を求めたが、なされなかった」と石破総理に改めて党とし再調査する意思があるか確認しました。
 石破総理は「新たな事実が判明したとは認識していない」と答え、再調査を否定しました。
 野田総理は「裁判所が事実認定したので新しい事実と言える。それを新しい事実と言わないのであれば、司法がなりたたない」と石破総理の答弁を批判し、元安部派の会計責任者の松本氏の参考人招致を求めました。
 安住淳衆院予算委員長は「理事会で速やかに協議する」と述べました。
 野田総理は「不祥事を起こさないために、改革の本丸は企業・団体の献金の禁止」と強調しました。自民党が「企業の政治活動の自由」「企業の表現の自由」を根拠に、企業・団体献金の禁止に慎重であることについて、野田代表は、この30年の政治改革の中で「企業・団体献金の見直しの議論が度々起きた。立法政策として見直しはありうる」「この問題に切り込まないと30年前の改革の精神を忘れたことになる」と指摘し、「責任をもって30年前の宿題」を終わりにするよう求めました。
 野田代表は、自民党案が企業・団体献金に触れていないこと、当初は年内に結論を出すと発言していたが来年以降と報道されていることについて、せめて「議論の遡上にのせる」「お互いに、党のトップにいる間に決めなければ意味がない」「1年前から議論しているのに、まだ結論が出ないのは許しがたい」と企業・団体献金の禁止について早急に結論を出すよう石破総理に強く求めました。


■大西健介議員

 大西議員は、旧安部派の裏金問題に関与した参院議員27人が政倫審への出席の意向を表明していることについて、石破総理に質問。来年の参院選での公認を巡り、総理が政倫審において説明責任が十分に果たされたかどうかを公認する判断材料の1つに据えていることを踏まえ、大西議員は、清和政策研究会(旧安倍派)の裁判での証言と、政倫審で議員が弁明した内容では食い違っていると指摘し、「政倫審で嘘をついていたら何の意味もない」と問題視しました。続けて、出席意向の27人のうち23人が政倫審で議事録にも残らない非公開を求めていることに対し、「非公開では総理さえも内容を知るすべがない。当然国民にもない」「これで説明責任を果たしたことにはならない」と総理に迫りました。石破総理は、「政倫審の委員が当該議員の弁明を聞いている。わが党の議員も含まれる。内容については当然了知をする機会がある」と答弁。これに大西議員は、「委員が聞いているからいいという問題ではなく国民に対する説明責任を果たすべき。総裁から(当該議員に)公開するよう指示するべき」と指摘。総理は「当該議員の考えによるもの。公開する・しないは審査会の判断だ」と述べるに留まりました。

 また、企業・団体献金の禁止を巡り、石破総理が「企業団体献金の禁止が政党交付金の前提となっていたという事実はない」と衆院本会議で答弁したことについて、当時の政党交付金制度等導入の議論にあたり、河野洋平元衆院議長(自民党元総裁)が「企業献金と公費助成はトレードオフの関係」「公費助成が実現したら企業献金を廃止しなければ絶対おかしい」と発言したオーラル・ヒストリーを取り上げた上で、石破総理の答弁は撤回するべきと指摘しました。

 大西議員はその他、「ガソリン減税」「日米防衛協定における自動車・自動車部品の関税撤廃」について質問しました。


■代表記者会見

 野田佳彦代表は、衆院予算委員会集中審議での質疑終了後に国会内で記者団からの取材に応じました。
 今日の質疑を通して、石破総理の政治改革への本気度をどう感じたか問われると、「企業・団体献金について今年の通常国会からずっと言ってきているにも関わらず、未だに自民党の法案の中に一言も入れない」と指摘。総理が政治改革本部に検討を指示した際のことを取り上げ、「上限とかを考えながら言ったのではないか。私たちは満足しないが、支部だけで受け付けるようにするとか、一方で、個人献金を助長しようとか、いろいろなことをミックスして改革をしようというアイデアを出せと言って指示を本部に出したのにと思う。(それにも関わらず)何も出てこないで、年内決着とは失礼な話だ」と憤りました。
 石破総理が政党助成金に過度に依存するのはいかがなものかと反論をしたことについての考えを問われると、「政党助成金だけではなく、だから 個人献金の助長をするために税制の優遇措置なども取るということを合わせてやっていくべきであって、93年に経団連が企業団体献金のあっせんをしなくなった時にも公的助成と個人献金と言っている。その宿題をきちっとこなしてこなかったということを忘れて、公的助成だけに頼るだけではだめなんて言うのはだめだと思います。30年間何もやってこなかった証明ではないか」と話しました。
 与野党の数が逆転した中での予算委員会について受け止めを問われると「本格的に開かれることは良いが、本当は前の国会で各大臣の所信を聞いて、大臣の資質を見極めてから予算を作って、税制改正に携わってもらわなければいけないのに、もう就任して2カ月が経つ時に、まだ委員会で大臣所信の質疑もやっていない。本当はまだあそこに座ってる資格がない人たちばかりだと思う。その違和感はある」と述べました。
 参院の政倫審に出席を希望している自民党議員の大半が非公開を希望していることについて問われると、「それは説明責任を果たしたことにならない」と述べ、公開を求めました。