野田佳彦代表は1月10日、国会内で会見し(1)防衛費(2)給食の無償化(3)政治とカネ――等について発言しました。

(1)24日に開会予定の通常国会に関連して、防衛予算にどのようなスタンスでのぞむか問われ、野田代表は「115兆円の最大規模の予算について、精査している途中」「5年間で43兆円を決めたが、積み上げられてきた数字とは思えない。23年度でも積み残した予算が千数百億あった。精査すべき」と述べました。

(2)給食費の無償化について、野田代表は「昨年の12月に、3党で給食費の無償化を4月から実施する法案を出しているので、他の政党の賛同を得ながら、是非実現をはかっていきたい」と意気込みを語りました。

(3)政治とカネの問題に関連して、旧安倍派の会計責任者の参考人招致について、野田代表は「去年の3月の政治倫理審査会で弁明をしてもらったが、幹部の証言と法廷の安倍派の証言と齟齬があるので、改めて国会の中で精査をしてもらうことが必要」「去年の臨時国会での衆議院の政治倫理審査会では、派閥主導で指示があったり、主導的な役割を会計責任者が果たしていたことがわかったので、解明のためには必要」と指摘し、「理事会の対応になっているが、注視していく」と発言しました。


野田佳彦代表記者会見

2025年1月10日(金)10時30分~10時51分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtube.com/live/23nc64vzIbU


■冒頭発言

  • (なし)

■質疑


■冒頭発言

(なし)


■質疑

○通常国会に向けて(1)

【東京新聞】
 間もなく始まる通常国会で、予算委員会で防衛費に対してどのようなスタンスで臨まれるのか伺いたい。

【代表】
 防衛費のみならず、115兆円という(過去)最大規模の、その予算については、今、精査をしているところでございますので、個別の項目についての、例えば質疑のあり方とかなどは、今、精査をしているという途中であります。

【東京新聞】
 かねて野田代表は、国会の審議などで、現在の政府の防衛予算の積み方について、数字ありきではないかと、もっと兵器の予算も精査して自衛隊員の処遇改善につなげるべきではないかと、具体的な問題意識も発してこられたと思う。現時点で防衛予算全体に対して代表が持っている問題意識を改めて伺いたい。

【代表】
 イメージとしては、今ご指摘のように、5年間で(総額)43兆円という決め方をした中で、しっかりといわゆる積み上げ型で決められた数字とはとても思えないし、23年度でも使い残した予算が千数百億円あったように、これはやはりよく精査をしなければいけないテーマだとは思っています。

○学校給食無償化法案について

【テレビ朝日】
 給食費の無償化について伺いたい。昨日、維新の前原共同代表は、給食費の無償化について、完全実施は2026年度からに後ろ倒しするといったような考えを示した。昨年12月には御党・日本維新の会・国民民主党の3党で給食費の無償化を4月から実施する法案を提出していると理解しているが、この受け止めと、改めて実施時期も含めて御党の給食費無償化への考えをお聞きしたい。

【代表】
 法案を、去年の12月23日だったと思いますが、維新と国民民主と3党で共同提案をしていますので、ぜひその実現を図っていきたいと。3党のみならず他の政党のご賛同も得ながら実現したいと思っていますので、後ろに持っていくという話はちょっと聞いておりませんからよくわかりませんが、早く実現をしたいと思いますし、きのうは沖縄県知事からのご要請もありました。
 ちょうど今、石破さんが東南アジアを訪問されていて、マレーシアとインドネシアに行くということですが、インドネシアは1月6日から学校給食無償化を始めたんですよね。ぜひそういう現場を見てきてもらった上で、早く実現をしたいと思います。
 もちろん、その他の、維新が主張されているような、高校のいわゆる授業料無償化の所得制限なし、これも大事だとは思っていますが、どちらが先とか後とかではなく、チャンスあるものはどんどん実現していきたいと思っています。

【テレビ朝日】
 できるだけ早くというお話があった。御党としての考えでいうと、その実施時期については、やはり4月にも、早急にというところの考えは変わらないという理解でよろしいか。

【代表】
 法案を提出していますので、その実現を図るというのがやはり基本的な姿勢だということです。

○裏金問題 会計責任者の参考人招致の必要性について

【NHK】
 話題変わって、政治と金の問題になるが、間もなく予算審議も始まり国会も始まるという中で、政治と金の問題の真相解明については積み残しがあったかと思う。改めてだが、旧安倍派の会計責任者の参考人招致に対する考え方を教えていただきたい。

【代表】
 これは、去年3月1日の政倫審で安倍派の幹部に弁明をしていただきましたが、そのときの幹部の皆さんの証言と法廷での安倍派会計責任者の方の証言とではそごがありますので、それを改めて国会の中できちっと証言をしていただくということは必要だと思いますし、去年の臨時国会でも、衆議院で政倫審が開かれたときには、派閥主導で指示があったりとか、相談をしたときの受け答えとか、かなり主導的な役割を会計責任者の方が果たしたこともわかりましたので、これは解明のためにはどうしてもやはり国会で証言してもらうということは大事だと思いますので、予算委員会の理事会の対応になっていますが、その動きを注視していきたいと思います。私は実現すべきだと思います。

【NHK】
 国会を停滞させる考えはないということをいろいろな場面で代表は強調されているが、一方で、信なくば立たずという状況を早く改善しないといけないというお考えも示されている。国会の議論と真相解明の関係性というのは今後どうなっていくか。

【代表】
 信なくば立たずの大きな前提になっていると思いますので、ぜひ、特に自民党が説得をして、会計責任者の方に応じるように対応してほしいと思います。

○通常国会に向けて(2)

【NHK】
 予算関連で伺いたい。防衛費の個別のスタンスはということだったが、全体として戦略として何を勝ち取っていくかを、今、精査しているという、そういう状況なのか。

【代表】
 24日から始まるだろうと思いますが、最初は当然やはり来年度予算の審議が一番重要だと思いますので、それにどういう審議をしていくのか。どういうテーマで、何を勝ち取っていくのか。あるいは、そのテーマの中ではどういう弾込めをしていくのか、何を勝ち取るのか、などなど、今まさに準備中というところであります。

【NHK】
 給食費の無償化とか、災害の被災者支援の倍増とか、法案を出しているものは、その弾込めの一つになり得るか。

【代表】
 そうですね。給食費の無償化、これは他党とも共同で提案しているということもありますし、教育の無償化はずっと一貫して主張してきていますので、その流れの中では重要なテーマだと思います。
 被災者生活支援金の倍増についても、これも他党と共同提案をしていますので、そういうことも含めて、幾つか項目はありますが、その他、まだこれまで口にしていないこともあるかもしれませんが、きちっと準備をしていきたいと思います。

○参院通常選挙に向けた取組について(1)

【読売新聞】
 夏の参院選について伺いたい。昨年の衆院選が終わった後に、政策の訴え方や発信の方法に工夫が必要だとおっしゃっていた。ことし夏の参院選では、キャッチフレーズをつくったり、発信方法で考えていることがあれば教えていただきたいのと、現時点で重点的に主張したいもの、テーマとかがあれば教えていただきたい。

【代表】
 今からそれを言うのはちょっと早いのではないかと思っていまして、やはり通常国会の150日間の審議の中で争点化されてくるテーマというのがだんだん浮き彫りになってくると思いますよね。また、我々の政調などを含めていろいろな準備の話もありますので、そういうものが出そろったときに初めてキャッチフレーズであるとか重点的に掲げる政策というのが出てくると思いますので、現時点で申し上げるのはちょっと早過ぎるのではないかと思います。

【読売新聞】
 もう一点、参院選について伺いたい。参院選に向けて、立憲民主党は各地の都道府県連で公認候補者の申請を決める動きが相次いでいると思う。参院選で議席増加を図るためには1人区での野党候補の一本化が大切だとこれまで主張されてきたと思うが、党の候補者擁立の考え方として、できるだけ多くの選挙区にまず候補者の公認を出してから調整をしていくのか。あるいは、逆に、調整した上で党本部として公認をしていくのか。この辺りの考え方について教えていただきたい。

【代表】
 これは一様ではないと思っていまして、地域によって違うんですよね。例えば立憲と国民民主党と連合とその他の政治勢力と、例えば4者協議とか5者協議とかいって候補者を決めていくようなプロセスをたどる地域も複数ありますし、党本部主導でどんどんと候補者を決めていった中で地域に下ろしていくというようなやり方もあるので、今のお話の答えは、正確に言うと、一様ではないとしか言いようがありません。

【読売新聞】
 関連して。もし調整をする場合、どれくらいの期間までにめどをつけたいとか、そういった時期的な目標はあるか。

【代表】
 全県の選挙になりますよね。比例区は全国でありますが、選挙区選挙は全県ですので、やはり知名度を上げていって認知されて評価されていくというプロセスをたどるためには一定の時間がかかりますので、5月、6月に急に決めるというのではなく、なるべく早い段階で決めて、少なくとも半年くらいはやはり準備する期間が必要だと思いますので、なるべく早く決めていくというのが基本だと思います。

○国民民主党との政策協議について

【読売新聞】
 別件で、国民民主党との政策協議について伺いたい。連合の芳野会長が年頭記者会見で、立憲・国民の両党に大きな固まりの軸となって政権交代可能な態勢を整えてほしいと発言された。その前提となる国民民主党との政策協議について、先日の会見では、年度内に一定の方向性を出すスケジュール感だというお話をされていたが、直近の協議日程が決まっているとか、スケジュール感についてあれば教えていただきたい。

【代表】
 政調会長間で協議をして、その中で私が報告を受けているのは、通常国会が始まったら速やかに議論をスタートして、それはお互いの政調同士、責任者同士に加えて、連合推薦議員がいらっしゃいますので、そういう人たちも含めて協議を始めていくと。そして、年度内に一定の方向性を確認することができるならばという、方向感とスケジュール感についての報告は受けています。

○旧文通費の使途公開について

【東京新聞】
 昨年末に野田代表が公開された旧文通費の使い道の件で伺いたい。こちらの使い道を見ると、赤坂議員宿舎の家賃、使用料が滞在費として計上されていた。野田代表に限らず他党の既に公開されている方を見ても滞在費としてこちらが計上されているケースが多いようだが、一方で、議員宿舎に関しては相場より家賃が安いと言われることもある。ただでさえ安いと言われている議員宿舎を旧文通費の滞在費として含めることについて、代表のお考えを伺いたい。

【代表】
 安いか高いかで入れる入れないの話ではないと思うのですよね。ちょっと今の質問の趣旨がよくわかりませんが、安いか高いかで判断をしているわけではなく、決まったルールに基づいたお支払いをしているということであります。高いか低いかは評価はあるかもしれませんが、やはりどうしても国会中にはここを基本として活動していますので、他党の皆さんも、その公開状況を見ると公表の対象にしていましたので、私もそれを参考にさせていただいたということです。

【東京新聞】
 そうすると、ことし与野党で具体的に旧文通費の使途の限定について議論がされるかと思うが、議員宿舎の滞在費というのは滞在費の中に立憲民主党としては含まれるというふうにお考えか。

【代表】
 私の場合は、今、試行的にやっているので、他党の公表状況などを見ながら個人的に試行的にやっていますので、ガイドラインが決まりましたら、そのガイドラインに従って対応したいと思います。

○消費税に関する議論について

【共同通信】
 消費税減税について伺いたい。昨年末発足した勉強会のほうで食料品のゼロ税率を掲げるなど、党内では消費税減税を求める意見が一定数ある。代表は先日来、減税は受けがいいとされつつ、将来世代にとっては必ずしもプラスではないというご意見を表明されているかと思う。勉強会は3月にも財源のあり方も含めた提言を執行部に提出するとしているが、党内で今後どのように議論をしていくお考えか。また、参院選公約に反映される可能性についてもお考えをお聞きしたい。

【代表】
 党内でいろいろな勉強会をやること自体は党内議論の活性化という意味で否定するものではありませんし、大いにやっていただきたいと思いますし、代表選のときにもそういうご主張をされている皆さんが一定数いたことは承知をしていますので、そういうことについてはこれからも耳を傾けていくということは申し上げてまいりました。これからも同じ姿勢であります。

【共同通信】
 参院選公約への反映については、現時点、お考えはいかがか。

【代表】
 現時点は、参院選の公約は白紙であります。

○参院通常選挙に向けた取組について(2)

【産経新聞】
 夏の参院選に関連して、予備選について伺いたい。日本維新の会の前原共同代表は、1月4日の伊勢神宮参拝後の記者会見で、予備選の制度について共産党を含む全ての野党に説明したいとおっしゃっていた。立憲民主党としてはこの説明を受ける側だとは思うが、野田代表ご自身のお考えとして、予備選に参加する政党の範囲はどのようにお考えか。

【代表】
 候補者の一本化ということは、基本的には自民党・公明党と戦う政党がなるべく一つにまとまるほうがいいという意味では、あらゆる政党が入ったほうが望ましいと思います。そこから漏れる政党があると、いわゆる一本化ではないと思いますので、対象範囲を広げるということは一つのアイデアだと思います。
 そのやり方については、今、維新のほうでつくられているということですので、まとめられたらご説明をお聞きしたいと思います。

【産経新聞】
 一方で、予備選に関連しては、国民民主党の榛葉幹事長が非現実的だと言うように、国民民主党としては否定的な考えを示している。連合としては立憲民主党と国民民主党が軸になってということを訴えているが、予備選のあり方と国民民主党との候補者調整の兼ね合いというのか、そこの調整をどのようにお考えか。

【代表】
 まだ予備選をやるかどうかというのはわからないので、アイデアを聞いてみないと実行可能かどうかわかりませんので、よく維新ともお話をしたいと思いますし、国民民主は否定的というお話でありますが、やはり政党間の協議で、丁寧な議論の中で、なるべく調整をしながら、ぶつからないようにはしていきたいと思いますので、両方と誠意ある対話を続けていきたいと思います。

○北九州市議選について

【時事通信】
 本日これから向かわれる北九州市議選の応援について伺いたい。2日間地方選の応援に行かれるのは代表に就任されてから初めてかと思うが、北九州市議選は毎回東京都議選と同じ年に行われる。ことしは都議選の後に参院選も控えており、ことし初めての政令市の選挙でもあるが、改めて北九州市議選に応援に入る狙いをお願いしたい。

【代表】
 一つは、昨年10月の総選挙で北九州の城井さんを含め福岡県連の同僚議員が大変お世話になりましたので、そのご恩返しを地方選で果たそうということと、やはり国民政党として地方議員の数というのは間違いなく底力になりますので、今回応援に入る方はたしか8人くらいいると思いますが、全員当選を目指していきたいと思いますし、それは先ほど来ご指摘をいただいている夏の参議院選挙にもつながると思います。我々は野田国義さんの公認(内定)を決定いたしましたので、その勝利につながるように全力で応援をしていきたいと思います。

【時事通信】
 都議選、参院選に向けて、勢いをつけたいというお考えもあるか。

【代表】
 そのとおりです。各級のいわゆる中間選挙は可能な限り幹部で手分けして応援をしていきたいと思いますし、再来週もたぶん、1月17日の阪神・淡路の追悼式典の後に、福井に行って、県議の補選があるようですので、そちらの応援にも入りたいと思っています。

【時事通信】
 仕事始めのときにもお話があったかと思うが、なるべく幹部の皆さんで手分けして全国を回るというお話があった。改めてその辺りをお願いしたい。

【代表】
 先ほど言ったように、地域で力をつけていくというのはやはり地方議員の数だと思いますので、こつこつこつこつと、1人でも2人でも3人でも増えていくように頑張っていきたいと思います。

○選挙制度に関する議論について

【朝日新聞】
 選挙制度の改革について伺いたい。石破茂首相は年頭の会見で、現行の小選挙区・比例代表並立制について、党派を超えた検証が必要だと発言された。現行の選挙制度の検証の必要性や問題点についてのお考えがあればお願いしたい。

【代表】
 これは各党でそういう検証をしつつあると思います。常に不断の見直しをしていくべきテーマだとは思いますが、ただ、これは、例えば企業・団体献金の禁止法案に対する対応は年度内に結論を出すと(決まっており)、あるいは我々は世襲制限の法案も出したりしていますので、政治と金に関わるようなテーマでまずは決着をつけてからというのが順番ではないか。議論の拡散につながらないように留意しなければいけないなと思います。

【朝日新聞】
 順番はあるとは思うが、その上でお伺いするが、石破茂首相はかつて総裁選のときに中選挙区連記制について言及したこともあった。この中選挙区連記制はたまに話題に上がることもこれまでもあったが、野田さんはこの制度について何かお考えがあればお願いしたい。

【代表】
 かつて、でも、世界で一回だけ試して、一回で終わっちゃっているんですよね。あまり実証的に何とも言えないので、よく勉強させてほしいとは思います。

(以上)