立憲民主党は1月28日、「保険証復活法案」(マイナ保険証併用法案)を衆院に提出しました。

 マイナ保険証をめぐっては保険証利用時に資格確認ができない事案が多発するなど、国民や医療機関、福祉施設等にも様々なトラブルや大きな混乱をもたらし、いまだに不安の声が多く上がっています。政府が昨年12月2日をもって、紙の健康保険証の新規発行を停止してマイナ保険証への一本化を強行しましたが、マイナ保険証の利用率は25.42%(2024年12月時点)にとどまり、国民に浸透しているとは評価できないのが現状です。

 立憲民主党は、誰もが必要な時に、確実に医療を受けられる体制を堅持するため、12月2日の健康保険証の廃止を延期して、国民の不安払拭など一定の条件が整うまでは従来の健康保険証を存続させ、マイナ保険証の利用は本人の選択制とすべきであるとの考えのもと、2024年11月12日に「保険証廃止延期法案」を10月に続いて衆院に再提出しました。しかし、マイナンバー法等改正法の施行日を延期する同法案は、法律施行により実効性を失ったため、新規発行を再開して従来の健康保険証を復活させ、マイナ保険証との併用を可能とするために、本法案を提出しました。

 法案提出後の記者会見で、筆頭提出者の中島克仁衆院議員(政務調査会長代理)は「立憲民主党は医療情報のデジタル化に否定的では全くない。マイナ保険証に一本化されれば医療DXが進展するかのようなイメージを持たれているが、大事なことは必要な方々が確実に医療を受けられること。われわれは政府の医療DXの法案に対して、かかりつけ医を明確に定義してオンライン診療を行うといった対案を用意している。マイナ保険証の信頼性が向上し、国民の不安が払拭できるまでは紙の健康保険証も併用できるようにすることが、必要な人に医療を確実に提供することの大前提だ」と述べ、本法案の必要性を強調しました。

 杉尾秀哉参院議員(ネクスト内閣府統括・防災・国家公安委員会担当大臣)は医療機関の現場でもマイナ保険証をめぐって混乱が生じている現状に触れ、「厚生労働省はもともと、マイナ保険証を導入しても紙の保険証も残す前提だった。今回の法案は本来の政策に戻すものだ」と説明しました。井坂信彦衆院議員は、衆院厚生労働委員会は野党の議席が多数を占めることから、本法案をしっかりと議題に上げることで、「デジタル化は遅らせず、国民に役立つDXを進めたい」と決意を述べました。岸真紀子参院議員は、マイナ保険証は問題が生じる度にシステム改修を繰り返しており、「行政監視の観点からも問題だ。マイナ保険証の欠陥を埋めるために経費をかけて改修するくらいなら紙の健康保険証を残せばいい」と指摘しました。中谷一馬衆院議員(ネクストデジタル・行革・公務員改革担当大臣)は、デジタルとアナログのバランスを取る必要性を指摘した上で、「医療DXがどうあるべきか、立憲民主党も法案を提出したい」と述べました。

 法案提出者は、中島克仁(筆頭提出者)、阿部知子、山井和則、柚木道義、奥野総一郎、吉川元、坂本祐之輔、井坂信彦、早稲田ゆき、森田俊和、中谷一馬、吉田はるみ、本庄知史の各衆院議員です。また、野田国義、杉尾秀哉、岸真紀子各参院議員も出席しました。

保険証復活法案(概要).pdf

保険証復活法案(要綱).pdf

保険証復活法案(条文).pdf

保険証復活法案(新旧対照表).pdf