立憲民主党は1月29日、「訪問介護緊急支援法案」を国民民主党と共同で衆院に提出しました。

 政府は令和6年度介護報酬改定で、訪問介護の基本報酬を約2.4%引き下げました。これにより、小規模な訪問介護事業者の倒産や人手不足に拍車がかかり、訪問介護サービスが受けられなくなる要介護者や介護離職が増加することが懸念されたため、立憲民主党は昨年4月に「訪問介護緊急支援法案」を衆院に提出しました。法案の内容は、訪問介護事業者に支援金を支給し、その上で次回の介護報酬の改定を待たずに、訪問介護の介護報酬の改定を行うというものです。

 与党が立憲民主党の法案に理解を示さず、引き下げの見直しが行われなかったため、訪問介護事業者の経営に深刻な影響が出ています。東京商工リサーチの調査によると、2024年の訪問介護事業者の倒産は81件に上り、2023年の67件を上回って過去最多となりました。こうした状況を踏まえ、介護崩壊を防ぐため、立憲民主党は衆議院の解散に伴って廃案となった「訪問介護緊急支援法案」を再提出しました。

 法案提出後の記者会見で筆頭提出者の井坂信彦衆院議員は、1軒1軒回らなければならない地方ほど訪問介護事業者は大変であることや法案内容を説明するとともに、野党の数が与党より多い状況であることを前提に「仮に自民党がノーと言った場合でも委員会の中で通していきたい」と決意を述べました。柚木道義衆院議員は「基本報酬の引き下げで、介護現場の方の離職、世の中全体の離職が加速してしまうので、それを手当するための緊急支援法案である」と本法案の意義を語りました。大塚小百合衆院議員は、特養で働いてきた経験を踏まえて訪問介護の厳しい状況を説明した上で「働いている人の手取りを増やし、事業所を支える支援をしていかないと事業の維持が難しいという声をたくさん頂いている」と述べました。大河原まさこ衆院議員は、政府が行った引き下げを厳しく批判した上で「小さな事業者にも元気を出してもらえるように、この支援法案を必ず早期に実現させたい」と意気込みを語りました。

 法案提出者は、井坂信彦(筆頭提出者)、山井和則、柚木道義、中島克仁、大河原まさこ、早稲田ゆき、森田俊和、道下大樹、大塚小百合各衆院議員です。厚生労働部門長代理の森本真治参院議員も出席しました。

「訪問介護事業者に対する緊急の支援に関する法律案」概要.pdf

「訪問介護事業者に対する緊急の支援に関する法律案」要綱.pdf

「訪問介護事業者に対する緊急の支援に関する法律案」.pdf