野田佳彦代表は2月7日、定例の記者会見を国会内で開き(1)2025年度予算の「省庁別審査」(2)核兵器禁止条約締約国会議――等について発言しました。

 野田代表は冒頭、2025年度予算審議で行われている省庁別審査について、5日に馬淵澄夫衆院議員が取り上げた低所得世帯向けの給付事業での事務作業の効率化を進めて経費を削減すべきとの提案や、6日の本庄知史衆院議員の予備費1兆円を計上した根拠が薄弱だと指摘した質疑に触れ、「予算委員会のあるべき姿。厳しく省庁別の予算をチェックし、無駄があるならば、使い道も含めて提案するやり方を徹底している」「(所管の)大臣もかなり頷いていたので政府にとっても生かすところを発見できる場になっているのではないか。これから予算修正を要求していく上で参考になる質疑が続いている」と手応えを示しました。その上で、予算の修正案については、「6日の『次の内閣』閣議で予算修正の粗々の項目が提示されたが、審議を通じて絞り込みをもっとしていきたい。来週末ぐらいまでに絞り込んだ予算修正原案をまとめていきたい」と述べました。

 予算の修正に関連し、「これまでもいろいろ主張はしてきたが、与野党が拮抗した状況だからこうした修正の可能性を探ることができる」と強調。「予算だけなく、議員立法についても議論の俎上に乗せて、実現できる可能性があるのは昨年の総選挙で少数与党政権になったからだと思う。その結果をよく踏まえた国会運営にしていきたい」と述べました。

 3月に開かれる核兵器禁止条約締約国会議をめぐっては、自民党が議員の派遣を見送ったことに「戦後80年、被爆して80年という重要な時にせめて与党議員ぐらいは派遣すべきではなかったのではないか」と指摘。立憲民主党は1回目から議員派遣をし、今回もニューヨークに広島県選出の森本真治参議院議員を派遣する予定だと述べました。

 また、就職氷河期世代に対する立憲民主党の取り組みを問われた野田代表は、奨学金の返済支援や、不本意ながら非正規雇用で働く人の正規雇用化や、無期転換の促進などを例に挙げ、「これまで取り組んできているさまざまな政策を整理した上でパッケージとしてメッセージを打ち出していきたい」と述べました。



野田佳彦代表記者会見

2025年2月7日(金)10時30分~10時53分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtube.com/live/6gzs_2S0S3A


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○予算審議について

【代表】
 大変充実した予算委員会の審議が続いていると思います。
 今週の初めは、基本的質疑、岡田(克也)さんの、法の支配に徹した外交ということに対して、石破総理もこの点についてはよくご理解をいただいている感じがありましたが、いよいよ日米首脳会談でその真価が問われますので、この動きを注目していきたいと思います。
 また、省庁別審査も、ある種これは予算委員会のあるべき姿ではないかと。厳しく省庁別の予算をチェックし、そして、無駄があるとするならば、それを使い道も含めて提案するというやり方を徹底させていただいております。
 初日の馬淵さんの質問で、低所得世帯向けの給付事業、これを取り上げ、事務作業の効率化を進めて経費を減らすべきだという指摘。これは赤澤大臣もかなりうなずいておりましたので、政府においても生かすところが発見できている場になっているのではないか。
 本庄さんの、予備費のいわゆる1兆円の根拠、加藤大臣は十分答えられていませんでしたので、こういうものはこれからの予算修正を要求していく上で大変参考になる質疑が続いていると思います。
 きのうNC(次の内閣)でいわゆる予算修正のあらあらの項目が提示されましたが、こうした審議を通じて、政府とのやり取りを通じて、絞り込みをもっとしていかなければいけないと思いますので、来週末くらいまでに絞り込んだ予算修正原案というものをまとめていきたいと思います。

○核兵器禁止条約締約国会議への議員派遣について

【代表】
 なお、今週は、ノルウェー大使館主催の、被団協のノーベル平和賞受賞のお祝いの会に私も出席をさせていただきました。
 ちょうどその席上、政府のオブザーバー参加というのはずっと慎重な立場でありましたが、自民党の議員を派遣するのではないかという話が言われていたのですが、ニュースで派遣しないということがわかり、田中代表委員がある種失望した意見を表明されておりましたが、せめて、戦後80年、被爆して80年という、この重要なときに3月に開かれる核兵器禁止条約の締約国会議に与党議員くらいは派遣すべきではなかったのかと思います。
 我々は1回目から議員派遣をしていますが、今回もニューヨークに、森本真治、広島選出の参議院議員を派遣する予定となっています。


■質疑

○予算審議について(1)

【テレビ東京】
 先ほど省庁別審査のお話もあったが、これまでの予算審議は修正が見通せないままの審議だったと思うが、今回修正を本気でしようということで取り組んでいると思う。これまでの予算審議の意義と、それが今回どう変わったのか、お話をお聞きしたい。

【代表】
 先ほど申し上げたとおり、省庁別にしっかりと歳出改革チームをつくって取り組んできた、その成果が十分に表れてきていると思いますし、審議で、政府とのやり取りを通じて修正の可能性なども感じることができる場面もありましたので、こうしたチャレンジをしてよかったなと思っています。ぜひ、これからの修正の議論に生かしていきたいと思います。

【テレビ東京】
 これまでの予算審議の役割というのをどのように捉えていたか、それがどう変化したのかお聞きしたい。

【代表】
 これまでもいろいろ主張はしていましたが、与野党拮抗状況だからこうした修正の可能性を探ることができるわけで、予算だけではなく、議員立法の法案についても議論の俎上にのせて実現できる可能性があるというのは、去年の総選挙の結果で少数与党政権になったからだと思います。その結果というものをよく踏まえた国会運営にしていきたいと思います。

○能動的サイバー防御法案について

【NHK】
 まだこれからの議論だとは思うが、政府は先ほどの閣議で、いわゆる能動的サイバー防御を導入するための法案を閣議決定した。この件に関して、立民としてはどう受け止めるか。または、今後どう議論していくかなどお聞きしたい。

【代表】
 能動的なサイバー防御については、基本的な方向としては我々も賛成をする立場です。必要だという立場でありますが、どんな中身で政府が提出してくるかについては、これはよく吟味していきたいと思います。

【NHK】
 党内でも今後吟味するというか、議論していくという、そういう手はずになっていくのか。

【代表】
 これは政調の中で当然粛々と議論していくことになると思いますし、通信の秘密など、いろいろ課題もあると思うので、そういうものをちゃんと乗り越えられるかどうかなどの観点から議論していきたいと思います。

【時事通信】
 関連して、能動的サイバー防御法案について伺いたい。通信の秘密のところだが、今の案では、平時から通信情報を監視し、重要インフラへの攻撃の兆候があれば攻撃元のサーバーを無害化する権限を警察と自衛隊に付与すると。新設されるサイバー通信情報監視委員会が運用を監督し、通信の秘密に配慮して、国会への報告規定も盛り込むということだ。国会への報告というのはあるが、平時から通信情報を監視する権限が警察と自衛隊に付与されると。ちょっと聞いてすぐで恐縮だが、これは通信の秘密との整合性に抵触するかどうかという懸念はどう思われるか。

【代表】
 個別に今紹介されても、全体をよく見ないとわかりませんので。ただ、その何とか委員会の位置づけとか性格とか、よくチェックしなければいけないのではないかとは思います。

○旧安倍派会計責任者の参考人招致実現に向けて

【読売新聞】
 衆院予算委員会での参考人招致の件について伺いたい。今、自民党旧安倍派会計責任者の参考人招致の議決まで至った一方で、本人の出席の見通しは現状では立っていない状況かと思う。衆院での予算審議入り前には、議決が予算審議入りの前提だとの考えに立たれていたと思うが、今後、引き続き招致を呼びかけるのかを含め、どのように対応されるか。

【代表】
 きょうが回答期限なのです、2回目の。1回目は何かお断りが来ていますが、よりプライバシーを勘案しながらのやり方などの提案をして、もう一回出席するように要請をしていて、きょうが回答期限なので、その回答状況を見てから判断をしていきたいと思います。
 まだ結果は聞いていません。まだ来ていないのではないかと思います。

○予算審議について(2)

【毎日新聞】
 予算修正について伺いたい。昨日、野田代表は街頭で、せめて1兆円は予算修正をということをお話しになったかと思う。これから絞り込み作業に入ると思うので、額だったりはこれから決まっていくことかとは思うが、最低限そのラインは超えたいという思いが今あるのか、改めて伺いたい。

【代表】
 私のちょっと願望を言ってしまったので、実務をやっている人たちがちょっとびっくりしたみたいなので。現場の協議の積み重ね、それを踏まえて判断をしていきたいと思います。

【毎日新聞】
 関連して。1兆円という規模が頭にある中で、これは必ず修正案に盛り込みたいという案が代表の中にあるからなのかとも思うが、これから絞り込みをしていく中で、代表としてこれは修正案に盛り込みたいというもの、これはというものが一つ、二つ、決まっているものがもしあれば教えていただきたい。

【代表】
 あまり言ってしまうと実務を担当している人たちが仕事しにくいと思いますので、ありますが、言いません。

【毎日新聞】
 あるのですか。

【代表】
 ありますが、言いません。

○高校授業料無償化の適用をめぐる議論について

【フリーランス】
 1月28日、参議院本会議での代表質問で水岡俊一参議院議員が、朝鮮学校に対する行政差別に関する質問をされた。これは国際連盟や国際連合における人種差別撤廃の歴史から始まり、この間、日本政府に対して出されている人権勧告の流れに沿う形で行われた。それに対して石破首相は、朝鮮学校は高等学校等就学支援金制度の審査基準に適合すると認めるに至らなかったとか、国連人権勧告には法的拘束力がないと、従来からの回答を繰り返された。一方で、今週だが、立憲民主党内の国会議員を中心に、朝鮮学校に対する公的助成の実現を目指す勉強会が開催された。この石破首相の答弁や党内勉強会の立ち上げに対して、代表のコメントをお願いしたい。

【代表】
 党内ではいろいろな勉強会がつくられるということは、活発な議論をしていく上で大事なことだと思いますし、そういうご主張を持っている人たちが集まって更に研さんを積むということ自体を私は注目はしていきたいと思います。
 石破さんの議論は、これはまた政府側の答弁でしょうから、残念な部分もありますが、我々の意見もどんどんとこれからも国会で主張しながら、どこでいわゆる合意できる部分が出てくるかどうかは注目していきたいと思います。

【フリーランス】
 今、国会の中で法案として、学校給食の無償化法案や、教育無償化の拡充に向けた議員立法も立憲民主党としてもたぶん出されるのではないかと思うが、こういった動きの中で、朝鮮学校の無償化の問題や、外国人学校に対する保障や、そういったものも多文化共生政策の一環としてやはり議論されるべきだとお考えか。それとも、所得制限の話だけでいいというふうにお考えなのか伺いたい。

【代表】
 学校給食の無償化法案は、もう既に提出をしています。3党共同で。
 そこに何か新しいものを入れるということではありません。もう法案を提出しているので、それが成立するように頑張っていきたいと思います。

【フリーランス】
 審議の中で、そういった少し幅広い、所得制限の問題といったものだけではなく、多文化共生社会の中で学校教育のあり方みたいな議論もやはり広げてやるべきだとお考えか。それとも、現状出した法案の中身だけで議論がとどまっていていいというふうにお考えか。

【代表】
 基本的には提出した法案の実現に向けて議論を進めていくということですが、委員によってはいろいろな観点で主張する人もいるかもしれません。

○東京都議選に向けた取組について

【「FACTA」】
 24日に党大会。きのう野田先生は荻窪、杉並で街宣されていたが、やはり都議選。127で14だから都議会では立憲は10%政党だ。7人区でも人がいないところもあるわけだが、手塚さんは30人近く立てるとおっしゃっていたが、党大会までには都議の候補もまだそろっていないのかと思う。どうしてこんなに都議会が弱いのかも含め、野党第1党として、やはり2割以上ないとしようがないのではないかと思うが、都議選をどう戦うか。党大会を含め、どんなふうにこれから展開していくのか伺いたい。

【代表】
 擁立はこれからもやっていくと都連からは聞いています。内々に候補者が絞られてきたところも報告では聞いていますので、それを加速していきたいと思いますし、目指すところは、自民・公明・都民ファを合わせた議席を過半数割れに追い込むという中で、その他の野党の中で中核的な存在に立憲民主党がなっていくということですので、一定のやはり人数が必要だと思います。
 定数が少ないところについては、ほかの野党との連携の中で調整をして候補者を見出しているというふうに聞いていますので、これは加速されることを期待したいと思います。

○予算審議について(3)

【西日本新聞】
 再び予算修正の件で伺いたい。きのうNCで了承された予算修正項目では、既に法案提出した分も含め、国民生活に関係するいろいろなサービスの充実や負担の軽減が入っている一方、基金の削減や予備費の削減による財源の捻出も一緒に含まれていた。野田代表の号令の下、「本気の歳出改革」チームの下でいろいろ財源捻出に取り組んできたかと思うが、これまでの歳出改革の成果について、評価を教えていただきたい。

【代表】
 具体的に、ざくっと言うと大きいところは基金とか予備費とかありますが、そのほかの支出項目の無駄とか、これまで使われてこなかったことなどは、詳細によく調べて今回の予算委員会の質疑に生かしていますので、そういうものも網羅的にもう一回集計した上で、予算修正の実現のために生かしていきたいと思います。

【西日本新聞】
 財源捻出、基金の削減とか、そういったところは国民生活にそのまま直結する話ではなく、比較的地味といえば地味な作業かとは思うが、これの意味合いについて、改めて教えていただきたい。

【代表】
 やはり納税者の代表ですから、納税者の観点から、1円たりとも税金の無駄遣いはしないようにと、厳しくそれをチェックした上で、そして財源を確保して、どうしてもやらなければいけないと思っている政策実現に生かしていきたいという、ある意味基本的なことなのですが、基本的なことを忠実に今回は予算委員会でやっているということです。

○氷河期世代対策について

【フリーランス】
 高校授業料無償化や給食費無償化といった子ども対策は国会の中で審議されているが、一方で、漠然とは言われているが、氷河期世代に対する対策というのが、具体策がちょっと見えてこない。やはり世代間格差が顕著になっており、60近くの方以上は大体バブルの恩恵とかを受けているが、氷河期の方は、既に40を過ぎていらっしゃるが、失った過去の利益というか、そういったものはなかなか回復できない。若い10代や20代はこれから経済成長でその恩恵を受ける可能性はあっても、氷河期世代はなかなかそういうわけにはいかない。これについて立憲民主党はどういう取組をされるおつもりか。代表の意向をお聞きしたい。

【代表】
 氷河期世代で、例えばいまだに奨学金を返さなければいけないような人たちに対してどういう対応をするかとか、今からでもできることというのは考えていかなければいけないのではないか。
 それから、氷河期世代対策ということではないけれども、非正規(雇用)から正規(雇用)になれるような労働法の改正とか、いろいろパッケージでこれまで取り組んできていると思いますので、それをもう一回ちょっと整理し直さなければいけないかなと。
 氷河期世代という言い方ではないのですが、その世代対象の(取組を)、例えば参議院の吉川(沙織)さんとか、ものすごく一生懸命やってきた人がいるんです。我々もちょっと下手なのは、パッケージのメッセージの出し方だと思いますので、いっぱい取り組んできていることがあるので、それを整理して打ち出しもしていきたいと思います。

○空襲被害者の救済立法を求める運動について

【フリーランス】
 戦後80年だが、全国空襲被害者連というのを知っていますか。

【代表】
 はい。

【フリーランス】
 いろいろと運動をやっているが、正直言って、日本国は軍人と軍属と、ある一部の者にしか補償はしなかった。80年目で、非常に運動をやっている。野田さんもご存じであれば、これにちょっと力をかしてやっていただけませんでしょうか。私は毎週取材しているのですが。

【代表】
 そうですか。では、ぜひ、資料等をいただければ、勉強させていただきます。ありがとうございます。

○国連機関からの人権勧告について

【フリーランス】
 先ほど1月28日の水岡俊一議員の本会議での代表質問について質問したが、この中で触れられていた、国連の様々な条約に対して、日本政府はもちろん国内法を変えるといった動きもある分野もあるとは思うが、基本的に法的拘束力がないという言い方の、勧告に対する対応が多いと思う。特に国内人権機関のことや個人通報制度のこと、これは以前政調会長だった長妻さんなどもずっと記者会見の場でおっしゃっていたが、その辺の必要性については代表はどのようにお考えか。特に国連人権勧告を遵守すべきだとお考えか伺いたい。

【代表】
 国連という機関からのいわゆるご提案とかご示唆ということについては、やはり真剣に受け止めていくというのが基本だと思います。法的拘束力云々ではなく、いわゆる国連加盟国である我々が、加盟しているところの一つの機関からのご指摘については、真摯に耳を傾けるべきではないかと思います。
 その関連で言うと、女性何とかという委員会に対してお金を拠出しないみたいな動きがあるではないですか。あの種のことはやるべきことではないと思います。ご指摘いただいたことが気に入らないからお金を出さないみたいなやり方は決してすべきではないと思います。
 ちょっと蛇足になってしまいますが、日本は今、国連の分担金は7%くらいで、それはアメリカや中国に比べれば相対的にどんどん減ってきていますが、日本が感謝されているのは、必ず4月に1年分、全部お金を払うことなのです。アメリカも中国もそれはできないんですよ。そういう律儀さが国連加盟国ではものすごく評価されているということなので、いろいろな提案がある、受け入れられるものもある、取り入れるものもある、でも、できないからといって、できないことはお金を払わないみたいなことをやってはよくないなと思います。ちょっと話が飛びました。失礼しました。

【フリーランス】
 国内人権機関については何かお考えはあるか。

【代表】
 特段の考えというのはありませんが、それぞれの機関からいただくご提言については真摯に耳を傾けるべきだと思います。

(以上)