衆参両院の正副議長が主催する「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応に関する全体会議」が2月17日午後、衆議院議長公邸で行われ、13の政党・会派の代表者らが出席しました。
立憲民主党からは、野田佳彦・党安定的な皇位継承に関する検討本部常任顧問(党代表)、馬淵澄夫・同本部長、野田国義・同副本部長が出席しました。田名部匡代・同本部長代行は参議院の公務のため欠席となりました。
立法府の全体会議は、今年に入って2度目の開催となりました。前回1月の全体会議では「今後の進め方」について、両院の正副議長から提案がなされ、これを受け今回は、「女性皇族の婚姻後の配偶者及び子の身分」について各党が自由討議を行いました。
この論点に関して、立憲民主党は24年3月、当時の安定的な皇位継承に関する検討委員会において論点整理を取りまとめました。この中で、女性皇族が婚姻した場合、「配偶者及び子に皇族としての身分を付与する案」と「配偶者及び子に皇族としての身分を付与しない案」の両案の長所と短所を指摘し、両案について「検討が必要である」としています。
全体会議の冒頭、玄葉光一郎衆院副議長は、「政府の有識者会議報告書の論点だけでなく、『安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等』退位特例法案の附帯決議を土台にと認識している」としつつ、①女性皇族が婚姻後も皇族として残る案における配偶者・子の身分について、②旧11宮家の男系男子を養子とする案について、の2つ論点に絞って、全体会議の議論を進めることに理解を求めました。
つづいて①の論点について、各党からの自由討議が行われました。
立憲民主党は、他党の出席者から、皇族の身分を付与する案をめぐって、なぜ必要なのか、婚姻を妨げるのではないか、先例を覆すのではないか、憲法上の問題はなにか、といった質問を受け、それぞれについて党の考え方を述べました。
馬淵本部長は、配偶者や子を皇族とする主張について「皇族数確保という当面のこの会議の目的に沿う制度である」と述べ、また、憲法上の不都合もない案だとしました。女系継承につながるのではないかとの指摘に対しては「皇位継承資格を認めるかは皇室典範1条が規定しており、ただちに女系天皇につながるわけではない」と主張しました。先例との関係については、現代日本において「家族が一体であるというのが一般国民の家族観」であり、女性皇族と同様に配偶者と子も同じ身分とすることが素直ではないかと指摘しました。
馬淵本部長は、配偶者や子を皇族としない主張について、憲法24条2項が定める「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項」を取り上げて、女性皇族と配偶者との間に明確に差異を生ずるもので、配偶者の人権を侵害することになるのではないか、と述べました。また、この案の場合、配偶者が政党や宗教団体、営利企業を主宰するのも自由であることから、「女性皇族に皇族としての品位や政治的中立性に重大な影響を及ぼす可能性がある」とも指摘し、懸念を表明しました。
会議の終わりに、玄葉副議長から、正副議長が改めて本日の議論を整理した上で、次回は旧11宮家の男系男子を養子とする案について自由討議したい、とのまとめがありました。
終了後、野田常任顧問と馬淵本部長が国会内で、記者団に対し自由討議の様子などを説明しました。
野田常任顧問は、「それぞれの党の考え方を、自由討議のなかで生で聞いて、これからの議論に役立てていきたい」と述べました。馬淵本部長は、「各党との一問一答でいい形の議論ができたと思う。一定程度論点の洗い出しができた」と、全体会議を評価しました。
皇位継承に関する全体会議 女性皇族の婚姻後の配偶者、子の身分について自由討議
2025年2月18日