立憲民主党は、1月31日午後の衆議院予算委員会散会後、食料・農業・農村政策WT(座長:田名部匡代参院議員)を国会内で開催、農林水産省より、主食用米等の令和6、7年及び令和7、8年の需給見通し、米の民間在庫の推移、米の相対取引価格の推移、本日の食料・農業・農村政策審議会食糧部会への諮問事項(政府備蓄米放出の仕組み、生産者や小規模な集荷業者等の在庫の調査の実施)、「水田政策の見直しの方向性について(概要)」、「『おいしい日本のお米を世界へ!』プロジェクト」について説明を聴取し、質疑応答を行いました。

■備蓄米放出ルールについて

 参加議員からは、政府備蓄米を放出できる新たな仕組みの創設について、「どのようなタイミングで誰が発動するのか。価格帯についてはどのように考えるか」、「放出した政府備蓄米については買い戻すこととされているが、需給状況によっては、集荷業者が損することがあるのではないか」、「放出する備蓄米は何年産のものとなるのか。消費者にとっては新しい米が良いが、備蓄している側としては古い米を放出したいのではないか」(以上、近藤和也議員)等の質問がありました。

 農林水産省からは、「食糧部会にお示ししている案では、備蓄米の売渡しは国が定める基本指針に沿って行う。集荷、流通に滞りがある場合、大臣判断で買戻し条件付きで売ることができるとする。今、米が集荷しきれていない状況。価格をトリガーにするということではない」、「買戻し時の価格については、検討事項であるが、基本的には市価による国の売渡しであり買取りである。その時々で売り買いの差は出てくる。集荷業者にとってみれば、国から買った価格に一定の流通経費を乗せて販売し、集荷時の価格を念頭に国に売るので基本的には同じようなこと」、「今の状況を考え得れば、6年産かなと思う。棚上げ備蓄で5年経ったら主食用米以外に販売するが、食味は落ちないと考えている」との回答がありました。

■水田政策の見直しの方向性について

 水田政策を令和9年度から根本的に見直す検討を本格的に開始することを示した「水田政策の見直しの方向性について(概要)」に対しては、参加議員から多くの質問、意見がありました。
 まず、見直しの対象となる政策について、参加議員から、「『米政策』ではなく『水田政策』を見直すこととした理由は何か。米以外の食品は円安の影響で価格が上昇し、米価は円安の影響が反映されない中、インバウンドで米の消費が増えるという状況で、米を痛めつけるような政策はやめるべき」(篠原孝衆院議員)との質問がありました。

 これに対し、農林水産省からは、「畑地化の取り扱いをどうするのか、米以外の作物を含めてどうするのかということで『水田政策』とした。米の需要を拡大していくことは大切。全力を尽くして米の生産を守っていかなければならない。一方、米の需要は減ってきており、生産農家も減少する中、日本の農地をどうやって守るのか。輸出や米粉用米も考えるが、それ以外にも飼料用米、麦など米以外の作物の振興も一体的にやって農地を守る施策を講じなければならないと考えている」との回答がありました。

 政策見直しの考え方、財源、時期をめぐって、参加議員から、「水田政策を令和9年度から根本的に見直すとしているが、『根本的』とは何か」、「『予算は現行の水活(水田活用の直接支払交付金)の見直しや見直しに伴う既存施策の再編により得られた財源を活用』とあるが、見直しによって困ったことになる向きもあるのではないか」、「令和7年度予算の議論が始まっている中、水田政策の見直し時期を令和8年度としなかったのは水活が影響しているのか。食料・農業・農村基本計画が固まろうとしているときに、水田政策は2年度に見直すとなると、混乱を来さないか」(以上、近藤和也衆院議員)との質問がありました。

 農林水産省からは、「水田に関して、水活だけでなく、輸出、土地改良、飼料、有機、中山間直接支払など、いろいろな政策をテーブルに乗せて検証しようというもの」、「厳しい状況で、ただ予算を要求するのでは難しい。既存の見直し、見直しに伴う施策の再編は大前提。かかりましになるケースもある。構造転換に必要な予算を確保し、現場が納得する支援策を講じたい」、「基本計画では、水田政策の見直しについて検討を開始するということで記載していきたい。様々なご意見をよくうかがいながら制度設計をしていこうとすると、調査も行うため、来年度予算で、というのは現実的でなく、現場が混乱する。令和8年夏の予算要求で令和9年度に向けて、ということとした」との回答がありました。

 水活を転換し、「5年水張りの要件」は求めないとすることに対して、参加議員から、「水張り要件はいいことだと思う。水田として維持し、汎用田化するもので、連作障害を避けることになる。その代わり水路の整備はきちんとやる必要」(篠原孝衆院議員)との意見がありました。

 農林水産省から、「水張りの連作障害を避ける効果は重要と考える。ここで話題になっている水張り要件について、今の仕組みは、水田で何か作物を作るときに支援するため、水田であることを維持しなければならないというもの。見直しの方向としては、作物ごとの支援なので、水張りの有無で支援されるかどうか左右されるのは適当ではない」との発言がありました。
 また、参加議員から、「土地改良について言及されていない」、「棚田を維持しようとして基盤整備を実施すると、半分以上は畑作にしないといけないという話が棚田議連であった。畑作は手間がかかり維持できない。棚田を維持しようとしているのに矛盾している」、「麦、大豆、飼料作物についての支援は明記されているが、そば、なたねが入っていない。油糧種子は重要」(以上、篠原孝衆院議員)等の指摘がありました。

 農林水産省からは、「強力に推進することとしている大区画化は土地改良。輸出でも大区画化がキーになる。土地改良と生産性向上は一体不可分」、「地域計画、担い手の意向を踏まえ、ニーズにあった基盤整備をする」、「手元に棚田議連の議論に係る資料がない」、「なたね、特に、そばは、産地交付金の中で対応している」との発言がありました。