立憲民主党は2月24日、2025年定期党大会を開催。野田佳彦代表のあいさつ全文は以下の通りです。
皆さんこんにちは。代表に就任して、初めての党大会となりました。素晴らしいスピーチが続いて、久しぶりに身の引き締まる思いです。見えませんか。まずは、3連休の最後の日、いろいろご都合もあったと思いますけれども、全国各地からご参集いただいた、衆参の国会議員の皆さん、候補予定者の皆さん、地方議員の皆さん、地方組織の代表の皆さん、心から感謝を申し上げたいと思います。
また、オンラインでご視聴いただいているであろう党員や協力党員、パートナーズの皆さまにも、その参加にあらためて感謝申し上げたいと思います。先ほどごあいさつをいただいた、芳野(友子)会長をはじめ、ご来賓の皆さまにも、お忙しい中ご参加いただいたことに深く感謝申し上げたいと思います。
また、鎌田(さゆり)さん、阿久津(幸彦)さんはじめ、大会実行委員長の皆さん、本当に献身的に準備にあたっていただいて、そして先ほどの鎌田さんのごあいさつは、なんていうんでしょう、大正時代の川上音次郎を彷彿させるような素晴らしいごあいさつでございまして、深く感銘をいたしました。あれを超えることはとてもできない。もう観念したところでございます。本当にありがとうございました。
私はですね、かつて1回だけ党の代表として党大会に出たことがあるんですね。ベテランの方はご記憶だと思いますが、2012年の3月の民主党大会に、内閣総理大臣として出席をいたしました。みんな驚いたと思うんです。眼帯姿だったから。ハプニングがあって、前日に公邸で飲みすぎて転倒して、顔面を打ってしまって、それで眼帯で出たんです。
そんなことのないように、今日はあらゆる占いを見てきたら、実はトラブルが発生するっていう占いなんです、私。嫌だなと思ったので、昨日の鹿児島も一昨日の長野も、慎重に転ばないように歩きました。今日まで来ました。私にはトラブルがなかった。でも、小川幹事長がコロナに感染してしまい、急に来られなくなってしまいました。みんなでその分を補っていきたいというふうに思います。
さて、芳野(友子)会長には、今日は春闘の最中で、「物価よりも賃金を上げる」という大きな使命を担いながら、という大事な時期に今日はこの党大会にお運びをいただくこと、最後までご参加いただけるということに深く感謝を申し上げたいと思います。連合の皆さんも、今日は産別のリーダーの方もたくさんいらっしゃると思います。また、その他のわれわれを応援していただいてる団体の方もたくさんお見えでございますが、皆さんの総力を結集していただいたおかげで、昨年の10月、衆院で50議席を増やすことができました。あらためて皆様に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。
去年の臨時国会で59席増えて、そして初めて私は代表質問で壇上から質問をしたんですね。本当に国会の風景が変わったなと思いました。それまでは、改選前は3分の2ぐらいが自民党だったんですよ。ところが、その佃煮にしたいぐらいいっぱいいた自民党が激減して、半分以下になっているんですね。これは風景変わったと思うんです。しかもその構成が、先ほど女性議員のお話を芳野会長に触れていただきましたけれども、改選前立憲民主党は15人でしたけれども、30人に増えました。この躍進は、他を圧していると思いますし、先ほどまで常任幹事会が臨時で開かれて、今回宮崎県でも次の参院選挙の1人区で女性候補を擁立することになりましたけれども、27人の選挙区の公認候補を決めました。そのうち44%が女性でございます。比例区も今9人ですけれども、全体として4割をキープしていますので、こうしたうねりを引き続き作っていきたいと思います。
また、青年局は45歳以下なんですよね。今青年局に所属できる議員が30人と一気に若い人も増えました。本当に皆さまのご支援のおかげで活力のある組織ができてきたと思いますので、あらためて芳野会長には御礼を申し上げたいと思います。
選択的夫婦別姓についても触れていただきましたけれども、これは戦略的に取り組んでいきたいと思います。法務委員長を西村(智奈美)さんにお願いをすることになりました。打越(さく良)さんを中心に、今、他の野党もできるだけ参加できる法案を作り、そして与党も賛成に巻き込んでいくために、実現本部というのを作って辻元(清美)さん本部長にチームを作りましたので、本気で29年間、棚ざらしにされてきた選択的夫婦別姓を議論の俎上に乗せるだけではなくて、実現できるように頑張っていきたいと思います。ぜひ引き続いてのご支援をお願い申し上げたいと思います。
また、国民民主党との政策協議についても触れていただきました。これについては、政調会長同士では合意をしまして、この国会が始まったら3月、4月ぐらいまでをめどに、両方の政調の責任者と、それから連合推薦議員団がお互いにいますので、わが党だと岡本(あき子)さんですね。こうした人たちによって議論をキックオフしようということは、政調会長間では合意をしていますので、ぜひ連合のお立場からも、側面から、特に相手側のお尻を叩くようにお願いをしたいと思います。
また吉田(桜)さん、驚きましたね。まだ大学2年生ですよね。いや、驚いたですね。もう率直に感銘を受けました。私が20歳だった頃、こんな大勢の人の前でとても喋ることができなかったけれど、明快なメッセージ、刺さりました。しかも、私もいろいろな党大会出てきていますけれども、いろいろな党大会というのは、私の挫折の繰り返しの人生ですけれども、日本新党、新進党、民主党、民進党、立憲民主党と、自民党に入ったことはないんですよ。顔は自民党みたいだと言われるけれど、入ったことはない。非自民の歴史なんですけれども、あまたの党大会に出てきたけれども、スピーチをした来賓の最年少ではないでしょうかね。素晴らしいと思いました。その思いはしっかりと受け止めたいと思います。
せっかく日本被団協がノーベル平和賞を受賞し、高校生の平和大使もこんなに頑張っているのに、一歩前に出なければいけないのは政府ではないでしょうか。核兵器禁止条約の締約国会議が3月にありますけれども、われわれはせめてオブザーバー参加すべきであるということを言い続けてまいりましたけれども、残念ながらその判断もしないし、せめて自民党の議員ぐらい送るのだろうと思ったら、それも取りやめです。
われわれは1回目の会議から国会議員を派遣しております。今回も、森本真治さんを3月の会議には派遣をすることとなりました。政府は重い腰を上げない分、議員外交をどんどんとしっかりと果たして、やはり覚悟を持たない国と、持っている国との橋渡し役を、やっぱり日本が担っていかなければいけないと思っていますので、あらためて吉田さんのお話を聞いて、そのお話をしっかりと受け止めていくということをお約束を申し上げたいと思います。
さて、昨年9月に代表に就任させていただき、助走期間もないままに、すぐ総選挙になってしまいましたけれども、ここにいらっしゃる皆さまのそれぞれのご奮闘で議席を増やすことができて、1つ大きな達成感があったことは、補正予算の審議の中で28年ぶりに政府案の修正をすることができた。数字を入れた修正は69年ぶり、補正予算の修正は憲政史上初めて、そしてその使い道は、勝ち取ったのは1000億円。能登の復旧・復興のお金を1000億円獲得することができました。今、能登で大きな地震が発生をし、1年2カ月が経ちましたけれども、引き続きわれわれは復旧・復興の先頭に立っていきたいというふうに思います。
また、去年の12月22日には福島の帰還困難区域を視察をさせていただきました。あらためて、風化をさせては絶対いけないという思いを強く持ちました。また、1月17日、阪神淡路大震災の30周年、神戸で開かれた追悼式典にも出席をさせていただきました。これからも、過去の多くの犠牲をしっかりと胸に刻んで、それぞれの地域の復旧・復興のためにしっかりと頑張っていくということをあらためてお誓いを申し上げたいと思います。
だんだん調子が出てまいりました。これから大事なところです。1月24日から通常国会が始まりました。始まる直前に、115兆5千億円という史上最大規模の巨額の予算に対して、省庁別に無駄遣いが行われているかどうか、しっかりとチェックしていこうということで、約70人規模の「本気の歳出改革作業チーム」を作りました。そのチームの皆さんのご奮闘によって、分科会に代わるやり方で、省庁別審査が予算委員会で行われましたけれども、ここで具体的に数字を上げながら厳しく政府に、いわゆる対応を迫りました。おかげで3兆8千億円の財源を確保することができました。その3兆8千億円の財源をベースにして、この国会中に実現したい政策要求の項目をセットで作って、今、補正予算の修正フレームを作り、与党と協議をしている最中であります。ぜひこれを実現をしていきたいと思いますけれども、少し考え方を整理をしたいと思うんですね。
とかく、一般的にはメディアの人たちは、例えば国民民主党が103万円の壁を兆単位で予算修正しようとしているじゃないか。あるいは維新が数千億円の単位で教育の無償化の拡充をしようとしているじゃないか。それに比べて、立憲民主党の影が薄いぞと言われるんです。よく言われます。今地方を毎週回っていますけれども、どこに行っても言われます。もう叱咤激励というよりも叱咤ばかり受けます。でも、ぜひご理解いただきたいことがあるんですけれども、国民民主党にも頑張ってほしい、維新にも頑張ってほしい。その横糸を通していくのはわれわれの役割です。だから、国民民主党も主張しているガソリン税の引き下げのための上乗せ税率の廃止、これは共同で実現していこうというテーマですね。教育の無償化は、元祖は民主党です。われわれが先頭に立たなければなりませんが、維新も頑張って要求しているんだったら、こちらにもエールを送るために予算の修正項目に入れています。その他も、他党と一緒に議員立法で提出していることばっかりですね。
何が言いたいかというと、野党が連携をして初めて、次の企業・団体献金の禁止や選択的夫婦別姓の実現可能性が高まるんです。そのことはよく押さえておいていかなければいけない。自民党の思惑はこの3党の巴戦です。巴戦にわれわれは参加しているのではないんです。野党をまとめてさまざまな政策を実現していくというのがわれわれの役割じゃないでしょうか。今、政調会長が中心となって8党派の政策責任者の会議をやっています。これがだんだん生きてくるだろうと私は確信をしているところであります。
ただですよ、いつまでも我慢していようとは思っていません。なぜなら、あの参考人招致についても、きちっと対応してこない。加えて、われわれはいくつもの項目の予算の修正を要求しています。これはわれわれが政権を取ってからどういう社会を作るかというイメージもあるんですね。その意味でも出している予算修正でありますけれども、この中でも、額の多寡じゃありません。命に関わることは、われわれも命掛けて実現しなければいけないと思っています。高額療養費の問題です。自己負担、こんなに急激に上がったら、もちろん審議会が、あるいは政府が社会保険料の低減を図っていきたい。高額療養費制度の持続可能性を考えていきたい。そのことはよく分かっているつもりです。だからといってその財源を、同じ現役世代で働きながら、子育てをしながら困難な治療をしてる人たち、その人たちに負担をお願いをするとやり方は間違っていませんか。命がかかっているんですよ。命を縮めるんですよ。われわれが要求している項目では、200億円は一番少ないわけです。115兆5千億円の中では一番200億円、少ない要求額です。国民民主や維新に比べても、要求額が少ないです。でも、命がかかっていることをいつまでも決断しないんだったら、私は一度、武装解除すると言いましたけれど、戦闘モードに入りますよ、ここは。
ついこの間ですね、記者会見で言ってしまいました。「なめんねよ」って。品のない言葉だから、この言葉は撤回したいと思います。品がない。今日は党大会だから、品のない言葉は使いません。予算委員長、憲法調査会長、法務委員長、政治改革特別委員長など9つのポストを握っています。その150人のリアルパパワー、参院の皆さんを合わせると190人近いリアルパワー。国会を動かすのは政党の支持率ではありません。党首間の信頼関係ではありません。議席の数です。リアルパワーは議席の数です。それを生かさなければいけない局面かもしれません。そこは覚悟を持って戦い取っていきたいというふうに思います。
野党の連携の中で、企業・団体献金の禁止も実現をしたいと思うんですね。さっき言った、高額療養費の問題を決めた審議会で、要は自己負担を上げろと言ったのは、声が大きかったのは、自民党に献金出しているところばかりではありませんか。医師会とか経団連とかね。献金を出せない人たちは審議会のメンバーに入ってない。患者団体、がん患者の皆さん、献金なんか出さない。そういう人たちは審議会に呼ばれずに意思決定をされていく。これが今の政治じゃないですか。企業・団体献金の禁止、ぜひ実現していこうと思います。われわれも痛みを伴う改革です。
いろいろあります。でも覚悟して、実現していこうじゃありませんか、皆さん。驚くべきことに、自民党は「禁止より公開」だと言っていますけれど、長妻(昭)さんのこの間の質問を見ましたか。1000万円以上は公開することになっています。受ける企業、どれぐらい対象になっているかというと、国会議員関係団体7700ある政党支部みんな入っていないじゃないですか。公開率5.6%だそうじゃないですか。「ぶったまげた」と長妻さん言っていました。私もテレビで見ながら、座りながら立ちくらみしました。5.6%で何が公開ですか。顔を洗って出直してきやがれこんちきしょうと思いましたね。これも厳しく対決していこうじゃありませんか。この150日間の戦いが夏の参院選挙のまさに勝負を決すると思います。しっかりと存在感を示して比例区で出る皆さん、選挙区で出る皆さん、新人もいらっしゃる。現職はもちろん、元職の皆さんもいらっしゃる。そうした皆さんの全員の当選を目指して頑張っていきましょう。どうもありがとうございました。