立憲民主党法務部門会議(打越さく良・部門長)と選択的夫婦別姓実現本部(辻元清美・本部長)は2月25日、議員会館において合同ヒアリングを開催しました。

 この日のヒアリングは二部構成で、まず金融庁、外務省、デジタル庁、総務省、厚生労働省から銀行手続やパスポート、マイナンバーカード、社会保障などにおける通称使用の課題について説明を受け、続いて選択的夫婦別姓訴訟弁護団の寺原真希子団長より「人権問題としての選択的夫婦別姓」をテーマにお話しを伺いました。

寺原真希子氏

 寺原氏は、夫婦同氏強制は人権問題であり、具体的な問題点として氏名権(憲法13条)・個人の尊厳(憲法24条2項)の侵害であること、婚姻の自由(憲法24条1項)の侵害であること、平等権(憲法14条1項・24条2項)の侵害であることの3つをあげました。

 そして、これまでの2度にわたる選択的夫婦別姓訴訟の経緯を振り返り、現行制度は合憲という判決だったがこれまで計10人の最高裁判事が夫婦同氏制度は違憲であると判断していることや、最高裁が「選択的夫婦別氏制の導入に関する最近の議論の高まりについても、まずはこれを国会において受けとめるべきであろう」とし、国会での解決を要請していることなどを紹介されました。

 また、戸籍制度の崩壊や家族の一体感の喪失といった制度導入に対する主な反対理由についても、国会での政府答弁や各種世論調査、最高裁での意見などを紹介しながらわかりやすくその懸念を払しょくされました。旧姓の通称使用で足りるのでは?という意見については、公的で重要な手続きであるほど旧姓のみでは手続できないことや、法制化したとしても生来の姓が「正式な姓」でなくなるというアイデンティティの喪失感を解消することはできず、むしろ2つの法的な姓があることによるマネーロンダリングなどの危険性があるなどと指摘し、ダブルネームである限り本質的な問題は解決されないとしつつ、マスコミ調査などから「選択的夫婦別姓と通称使用は二者択一でない」と強調されました。

 「時間をかけて議論すべき」という意見に対しては、2019年に亡くなられた第一次別姓訴訟原告の塚本協子さんが、「これは男女不平等であり人権問題だ」と声をあげてから80年近い年月が流れていることを紹介し、当事者は「もう待てない」という切実な思いで制度導入を求めていると述べました。