衆院総務委員会で3月3日、内閣提出の「地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案」、及び立憲民主党・国民民主党提出の修正案、内閣提出の「地方交付税法等の一部を改正する法律案」を議題に質疑が行われ、立憲民主党からは髙松智之議員が質問しました。質疑後に杉村慎治議員が会派を代表して討論。討論後の採決の結果、内閣提出の地方税法及び地方税法改正案、地方交付税法修正案等は可決、立憲・国民地方税法修正案は否決されました。
■山花郁夫議員 修正案趣旨説明
委員会冒頭で立憲民主党・国民民主党提出の修正案について山花郁夫議員が趣旨説明を行いました。
山花議員は「原油価格の高騰や円安の影響等によるガソリン・軽油価格の高騰に対し、政府が支給していた補助金が段階的に縮小され、今後も大幅な値上がりが見込まれています。事業者の負担を軽減するとともに、国民の皆さんの生活を守るために、『当分の間税率』を廃止し、軽油の価格を下げる必要があります」と訴え、修正案の内容について「軽油引取税の『当分の間税率』は、令和7年4月1日から廃止するものとし、これに関連する規定を削除することとしております」と述べ、賛同を求めました。
20250304【衆院総務委】 地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する修正案趣旨説明 山花郁夫議員.pdf
■髙松智之議員 質疑
髙松議員は「地方交付税等の一部修正案」に関しては、(1)交付税特別会計借入金(2)恒久財源の確保への考え、「地方公務員の給与改定等」に関しては(1)新卒・中途採用の現状(2)民間企業・団体での勤務経験評価の在り方、「地方への人の流れの創出・拡大」に関しては(1)二地域居住・関係人口を巡る課題(2)二地域居住・関係人口拡大に向けた取り組み――等について取り上げました。
髙松議員が自民・公明の与党案における160万円の壁の引き上げによって見込まれる地方交付税減少分はどう対処するのかを質問。与党修正案提出者は「地方交付税が2056億円減少する。この分を特別会計借入金の償還額の減額を行うことで対応する」「与党修正案に伴う交付税原資の減に伴い特別会計借入金の償還を減額しても2兆円の償還の前倒しを行うこととなるもので、政府としては地方財政の健全化を損ねるものではないと考える」などとも答弁しました。髙松議員は立憲・国民が共同で再提出したガソリン暫定税率の廃止法案について石破総理は恒久的な財源確保が必要として慎重な姿勢を崩さなかったが、160万円の壁の引き上げによる地方交付税減少分補填にこうした手法をとるのであれば、ガソリン暫定税率の廃止も検討すべきとの認識を示しました。
■杉村慎治議員 討論
質疑終局後、立憲民主党の杉村議員が会派を代表し、「地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案」に反対、立憲民主党等提出の修正案に賛成、「地方交付税法等の一部を改正する法律案」の原案及び与党提出の修正案に賛成の立場で討論を行いました。
杉村議員はまず、地方税法等改正案について「原油価格の高騰や円安の影響等により、ガソリンや軽油といった燃料の高騰が国民生活や事業活動に大きな影響を及ぼしています。軽油の価格を下げ、事業者の負担を軽減するとともに、国民の生活を守るために、立憲民主党と国民民主党は軽油引取税の『当分の間税率』の廃止等を盛り込んだ修正案を提出しました。自民党・公明党も昨年12月11日のいわゆるガソリンの暫定税率は廃止という3党合意を結び、『令和7年税制改正大綱』に明記されています。国民生活の窮状に鑑みれば、修正の上、地方税法等改正案を成立させ、ただちに『当分の間税率』を廃止し、軽油引取税の減税を実現すべき」と訴えました。
次に地方交付税法等改正案に賛成する理由について、「103万円の壁の引上げの拡大に伴い、交付税の減収も拡大しました。地方の固有財源という交付税の性格に鑑み、本来国費による補填などきちんとした財源対策を講じるべきであり、与党修正案には将来の利払い費拡大の懸念も残りますが、交付税配分の減を埋めるため、賛成やむなしとします」と述べ、討論をしめくくりました。
20250304地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案への討論(原稿)杉村慎治議員.pdf