立憲民主党は、2月14日午前、農林水産部門会議(部門長・金子恵美ネクスト農林水産大臣・衆院議員)を国会内で開催、前回の会議において質問のあった雇用就農資金について、農林水産省の回答を聴取しました。次いで、食料・農業・農村基本計画に盛り込むべき事項について議員間討議を行いました。さらに、森林管理経営法及び森林法の一部を改正する法律案の概要について林野庁より説明を聴取、土地改良法等の一部を改正する法律案の条文について農林水産省より説明を聴取し、質疑応答を行いました。(司会:野間健農林水産部門長代理・衆院議員)。

 冒頭、金子部門長より、「今日も、食料・農業・農村基本計画の骨子についての議論をさせていただく。そのあと、法案についての議論をする。いい政策を構築するため、いい協議ができればと思っている」との挨拶がありました。

■雇用就農資金について(前回の会議における宿題)

 まず、農林水産省より、前回の会議で質問があり、宿題となっていた令和7年度予算における雇用就農資金の1経営体当たりの新規採択人数・交付額についての説明がありました。農業法人が49歳以下の就農希望者を新たに雇用し、研修を実施する場合、1経営体当たりの新規採択人数は5人まで、かつ、2人目までは年間最大60万円のところ3人目以降は年間最大20万円に減額されることについて、「これによる予算節減効果は軽微。法人化は大きな柱であり、雇用就農資金をもっと拡充すべき。検討願いたい」(西川将人衆院議員)との指摘があり、農水省から、「トライアル雇用の仕組みを入れたところであり、効果をよく見て今後検討していきたい」との回答がありました。

■食料・農業・農村基本計画に盛り込むべき事項について

 続いて、農林水産省には退席願い、3月末に閣議決定が予定されている食料・農業・農村基本計画に盛り込むべき事項について、議員間討議を行いました。

 金子部門長より、「食料・農業・農村基本計画に盛り込むべき事項について(申し入れ)(たたき台)」について説明がありました。

このたたき台は、前回の会議における参加議員の意見、昨年の通常国会における食料・農業・農村基本法改正案に対する修正案の内容のうち基本計画骨子案に盛り込まれていない事項を整理したものです。

 たたき台は、冒頭に「新たな直接支払制度の実施」を掲げ、「基本的な考え方」として、「農業所得の確保による農業経営の安定の明記」「食料の安定供給の確保の重要性を明記」「国内の農業生産の増大を図ることの明確化」「食料の供給力に係る施策の重要性の明確化」「農業者の減少の要因-人口動態に限られない旨の明確化」を項目として掲げています。

 「食料自給率関係」の項目として、「食料自給率を向上させることの明確化」等を、「水田政策の見直し関係」の項目に、「水田政策見直し後の支援の継続、単価水準の確保・向上」「飼料用米の更なる生産拡大と青刈りとうもろこし等の生産振興」「畑地化の考え方の明記」等を掲げています。

 さらに、「国産種子の開発・普及」「農業に従事する者の人権への配慮」「農地保全のための多様な用途に利用される農産物の生産の促進」「農産物等の輸入におけるフェアトレードの確保の明記」「備蓄食料に係る施策の整理」「不測時における食品アクセスの確保」「『適正な』価格形成の明確化」「食品表示の見直しによる国産農産物の販売拡大・自給率向上」を項目として掲げています。

 「農村の振興」の項目には、「農村振興の意義の明確化」「都市農業の多様な機能の重要性の明記」「障害者等は貴重な農業人材であることの明確化」「地域資源の活用を通じた地域社会の活力の向上」「中山間地域等への支援策の強化」を掲げています。

 また、「自然災害への対応」「予算の確保」「全体構成の見直し-『農業の持続的発展』の位置付けの明確化」を掲げています。参加議員からは、「予算の確保と担い手の確保が重要」(福田昭夫衆院議員)との指摘があり、この点も含め、食料・農業・農村基本計画に盛り込むべき事項として農林水産大臣に申し入れる内容を整理することとなりました。

■森林管理経営法及び森林法の一部を改正する法律案について

 議員間討議を終え、まず、森林管理経営法及び森林法の一部を改正する法律案について、林野庁より説明を聴取しました。同法案は、森林経営管理制度について、森林の集積・集約化を進める新たな仕組みを創設し、市町村の事務負担を軽減するとともに、太陽光発電に係る不適正事案を背景とした林地開発許可制度の実効性の強化等の措置を講じようとするものです。

 参加議員から、「森林法の一部改正において、第10条の11第3項第2号の表現の適正化とあるが、どのようなものか」(横沢高徳参院議員)との質問があり、林野庁より「施業実施協定制度は、協定を締結したい人が市町村に申請し、市町村が認可する仕組みとなっている。そのため、法律上、「認可の申請」と書くべきところ、単に「申請」と書かれており、表現が適正でないため、改正するもの」との説明がありました。

 また、「法律案に『所有者不明森林等について、市町村への経営管理権設定に関する公告期間を6月から2月に短縮する』とあるが、所有者不明森林の所有者の割り出しは、どのように行うのか」(篠原孝衆院議員)との質問があり、林野庁から「森林経営管理法制定時に林野庁で探索する範囲などを示したマニュアルを作成した。このマニュアルに従って探索すれば、3分の2くらいは所有者が判明する。それでも市町村の少ない林務職員で行うのは手間がかかるため、法律案では探索に長けた支援法人を指定できる仕組みを創設することとしている。支援法人としては、分収造林契約を締結している都道府県の林業公社や電柱を建てるときに所有者を探索する電力会社などを想定している」との回答がありました。

 「林業経営体における森林組合の位置付けはどうなっているのか」(福田昭夫衆院議員)との質問があり、林野庁から「森林組合は林業経営体に含まれる。森林経営管理の受け手として非常に重要な役割を担っていただくべき組織と思っている」との回答がありました。

■土地改良法の一部を改正する法律案について

 続いて、土地改良法の一部を改正する法律案について、農林水産省より説明を聴取しました。同法案は、農村人口及び農業者の減少が進む中、土地改良施設の老朽化並びに自然災害の激甚化・頻発化に対応して、土地改良施設の保全等を図るため、申請によらない国等による基幹的な農業用用排水施設の更新事業の創設等の措置を講ずるものです。同法案の概要については、2月7日の森林・林業・山村振興WT・農林水産部門合同会議において説明を聴取したところですが、今回は法律案の条文について説明を聴取しました。

 参加議員から、「土地改良法と議員立法で成立したため池の特措法(防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法)との関係はどうなっているのか。閣法で議員立法を改正することはあるのか」(篠原孝衆院議員)との質問があり、農林水産省から「ため池に係る事業は土地改良法の手続きに基づいて行うものが多くあるが、特措法では補助率や地方財政措置の嵩上げを担っている」「議員立法で成立した法律についても、引用条文のずれなど、影響する部分があれば改正し、なければ改正しない。今回の改正案に特措法の改正はない」との回答がありました。

 また、「法律案では、『土地改良区は、その理事の年齢及び性別に著しい偏りが生じないよう配慮しなければならない』との条項が新設されるが、地元の土地改良区の役員に女性はいない。女性役員の割合はどのくらいか」(金子恵美衆院議員)との質問があり、農林水産省から「理事に占める女性の割合は令和5年度末で1.4%。農業委員会や農協に比べて一回り二回り遅れている状況」との回答がありました。